89話 再会したい
ジェノサイドスレイの動きなど何一つ知らないまま奴隷解放団の面々はアジトにいた。ゼストも保護されたままで過ごしていた。傷ついた心は全く癒されることはなかった。喋ることもできなくなっていた。そんな彼をスジュンたちは心配して見守ることしか出来ない。
スジュン(あれから二日にもなるが彼はまともに食事すらしていない。保護した他の者も心に傷を負った者ばかりだったが彼ほどではなかった。一体俺たちはどうすれば……)
スジュンはゼストについて様々なことを調べていた。あの建物であった事件や貴族による虐殺の事件などが少しずつ見えてきた。それでも完全に理解できない。分かったのは事件の概要ぐらい。 これらは奴隷解放団が全くの無関係とは言い難かった。奴隷解放団がいなければ自由の民は行動を起こさなかったかもしれない。
責任を感じているスジュンに周囲を警備していた団員が声を掛けてくる。
団員「この近くに不審な男がいます。これが写真になります。いかがなさいますか?」
写真を見てスジュンは驚くしかなかった。その人は調べていた事件の関係者のガイアだった。
スジュン「早急に写真の彼をここに連れてきて欲しい。彼はゼストの関係者だ。」
スジュンはリザや他の仲間に事情を話した。武器などを持っていないか確認した後、彼をアジトに招き入れた。
スジュン「初めて。奴隷解放団のスジュンです。君の知り合いのゼストさんを保護させて貰っています。」
ガイア『ありがとうございます。ゼストと話をさせて貰ってもいいですか?』
スジュン「今、彼は事件のショックで喋ることも出来なくなっています。でも、君なら大丈夫でしょう。」
ガイアをゼストにいるところに案内した。ゼストは足音に反応して僅かに顔を上げてガイアを視認した。
ゼスト「……う……そ……」
死んだはずのガイアを見て言葉がほとんど出ないほど驚愕していた。
ガイア『俺が死んだとでも思っていたか。確かに一度は死んださ。だけど覚醒して生き返ることができた。自分でも奇跡だと思ったよ。』
ゼスト「良かっ……た!」
泣きながらガイアが目の前にいることを喜んだ。こんな奇跡があるとは彼は思ってもいなかった。しかし、実際には奇跡ではなく必然である。
ゼストの心はこの夢のような再会で救われた。




