80話 犠牲は増えて
最悪の音はいるはずのなかった自由の民が原因だった。ゼストたちの瞳にそいつと撃たれて血を流す平民の姿が写った。信じられない光景に自らの目を疑ってしまう。
ゼスト「何で倒れている? 何で自由の民がここにいる!?」
彼は逃がしたはずの自由の民に疑問と殺意を向けた。
平民「助け……て」
構成員A「フルイの仇だ! 死ね!」
構成員Aは微かに息をしていた平民に止めを刺した。血が床に広がり赤く染まっていく。
ゼスト「何で殺した!? お前はお前だけは!」
殺さないと願っていたはずなのに銃口を向ける。もはや矛盾を抱えていようとゼストにはどうでも良かった。早く殺したら目の前の平民は死ぬことはなかった。選択を間違えたからこうなった。
引き金を引こうとする前にガイアが彼の手を連れて下がる。走ってそのまま逃げていく。
ガイア「ここはひとまず引け! ここにいる自由の民はあいつだけじゃなかった。あいつらは俺たちを殺そうとする。事態は思ったよりも最悪の方向に進んでいるようだ。おそらく、他の自由の民も避難民を憎み殺そうとしている。元々、利用する程度の存在でしかなかったんだ。」
ゼスト「俺が自由の民を救おうとしなければ良かった。あいつらを全員殺していればこうはならなかった。最小限の犠牲で済んだ!」
口ではこう言えても殺す覚悟なんて一ミリも彼にはなかった。
逃げている彼らを物陰で待ち伏せていた自由の民が影で狙っていた。それを異変に気付き、駆け付けた構成員が目撃する。
構成員「二人とも伏せろ!」
そうは言っても間に合いそうもなく彼は瞬時に決断する。すかさず銃で敵となった自由の民を撃ち殺す。そのまま彼は二人と合流する。
構成員「二人とも無事か。」
ガイア「さっきは……助かった。ありがとう。でもいいのか。」
構成員が殺した者を見て思わず聞いてしまった。自分たちのために味方だった者を殺してしまった。構成員はもう自由の民ではいられなくなった。
構成員「助けるためにはこうするしかない。それよりもさっき見てきたが、自由の民は逃げてなどいなかった。このどこかに避難民たちを殺しに来ている。今、サリアにも協力して貰っている。」
ガイア「これからどうするつもりだ。」
構成員「説得も多分出来ない。だから暴走した自由の民を俺たちが始末し、一人でも多くの犠牲者を減らす。君たち二人は逃げてくれ。」
ガイアの体は既に限界で歩くのやっとの状態が続いていた。ゼスト一人では足手まといだった。




