79話 歯車は加速して
構成員は他の自由の民が無事かどうかを念のおため再度連絡する。自由の民の一人が通信に応じて無事であることが聞かされた。
構成員「自由の民の無事の確認が取れた。フルイのことは残念だが仕方がない。」
心のどこかでは納得はしきれてはいなかった。それでも本来ならもっと多くの死者が出ていたと思われる。
構成員とサリアは仲間たちのところに向かうためゼストとガイアに別れを告げる。ゼストとガイアの二人は避難民のところに向かうつもりだった。
しかし、何一つ終わってなどいない。止まっていたと信じていた運命の歯車が加速し、回り始めていた。
ガイア「誰だ、そこにいるには!」
動きを止めていたはずの避難民の平民が何人も隠れていた。
ガイア(氷がこんなに早く溶けるはずはない。誰かの能力で溶かされたか。とんだ失態だ!)
隠れていて正確な位置も武器を持っているかも定かではない。彼らは邪魔した二人を狙っていた。
ゼスト「待ってくれ! 俺はもうみんなを戦わせたくない。自由の民は憎いかもしれない。でも、復讐したって何も変わらない。憎しみは憎しみしか生まない! 分かってくれ、お願いだから!」
平民「ゼスト、お前は俺たちと同じだと思っていた。それなのに邪魔をするのか。だったらお前も同罪だ、死んで貰う!」
平民は銃を構えゼストに向けた。もう彼らは敵となった。
ガイア「逃げろ!」
僅かな体力を振り絞り、目眩まし程度の氷の結晶を出した。彼は右手でゼストの手を握り、一緒に逃げる。
ゼスト「何で、みんな戦おうとするんだ! もう嫌だ、もう見たくない!」
自由の民を逃がしてもこのままではどこまでも追いかけ続け、憎しみが晴れるまで続く。断ち切ることは容易ではない。
ガイア「自由の民は幸い逃げてくれている。ここで俺たちが生き延びれば彼らを説得することもできるはずだ。時間が掛かるけどきっと俺を説得したゼストならやれる。」
後ろから平民が追い掛けてくる足音が聞こえる。ボロボロの体で余裕がないためガイアは焦っていた。
ところが足音は消え、銃声が聞こえた。意味不明な音は歯車を最悪の展開へと運んでいく。




