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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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76話 償いのために

サリア「どうしてあなたがいるの?」

ゼスト「それはこっちの台詞だ!」

サリア「荷物を整理してからここから去るつもりだったのよ。失敗もしたし自由の民にも残れないから。」


 サリアは組織内での立場はあまり良くはなかった。それに加え、もう殺さないと約束したから。


ゼスト「今から言うことをよく聞いてくれ。」


 ゼストは時間が押しているため、私怨を一度捨てて事情を急いで話した。


サリア「事情は理解はした。でも、なぜあなたが自由の民を助けるの?」

ゼスト「自分でもよく分からない。きっと死んでほしくないからだと思う。」


 彼自身にも本当のことはよく分かっていない。心の中に今だに憎悪、怒りが渦巻いている。


サリア(本当はあの場所で死ぬはずだった。大勢を殺した私はこれからどうすればいい……。)


 彼女は正しいと思って貴族を虐殺させた。多少の犠牲は仕方のないことだよ思っていた。しかし、慕っていたゴードンやトランがいなくなり、憎しみに囚われ殺そうとまでしたゼストを見てしまった。

 彼女がしてきたことがただの人殺しで忌み嫌っている貴族と何一つ変わらない。もうやり直すことはできない。でも、償いなら今からでも遅くはない。


サリア「お願いがある。ゼストと一緒に戦わせて欲しい。不審な動きがあれば射殺してもらっても構わない。私に償いのチャンスを与えて!」


 彼にとっては彼女は信用なんてできない。きっとガイアも同じ気持ちだろう。しかし、ここで拒否すれば救えるはずの命を見捨てることになるかもしれない。


ゼスト(みんなを救うためには協力してもらった方がいい……。それは分かっているけど、)


 さっきは捨てた私怨が戻り渦巻いてくる。苦渋の決断となる。


ゼスト「分かった。俺たちに協力してくれて。」


 一度だけ許すことにした。きっと今回だけだがそれだけでも構わなかった。


 二人は逃げた自由の民は待つところに向かうまで通り道を塞いだりしながら進んだ。これで避難民が追いかけてきても時間を稼げる。時間を掛けて皆のところにたどり着いた。後はガイアのところに行くだけ。


構成員「ゼスト、無事で良かった。」

ゼスト「これで自由の民は全員だと思います。」

構成員「連絡来なかったフルイ以外にも後二人来ていない。通信は通じていたからここに来る途中のはずだが。」

ゼスト「途中には人はいませんでした。」

構成員「まさか!」


 殺された構成員フルイの敵討ちに向かったと推測し構成員とゼスト、サリアはここにいない二人を探しに行く。


ゼスト(このままだと失敗する! 誰も死なせるものか。)

 

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