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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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75話 ゼストの伝言

 ゼストは最悪の展開だけは阻止するために無我夢中で走る。ガイアが止めてくれるとはいえ自由の民のほうも止めなければ悲劇は避けられない。

時間か少し経ち、何とか自由の民がいるところにたどり着くことができた。呼吸が荒くなり体力も消耗していた。


構成員「あ、お前が例の新入りか。連絡のあった襲撃者の件はもう済んだのか?」

ゼスト「今はそれどころではないです。落ち着いて聞いて欲しい。今から避難民が私たちを襲ってきます。理由は先日の貴族の件がばれたからです。」

構成員「何だって!」


 構成員は突然のゼストの言葉に驚くことしか出来なかった。丁寧に説明している暇なんてないからゼストはすかさず続ける。


ゼスト「私の仲間が彼らを足止めに徹してくれています。その間に他の仲間に連絡しここから逃げて下さい。」

構成員「分かった。避難民の襲撃を足止めしている仲間には悪いが逃げさせて貰う。だが、約束して欲しい。避難民もお前の仲間も誰一人犠牲者は出すな。死ぬのは生きる価値のない貴族だけでいい。」

ゼスト「分かりました。犠牲者は出しません。」



 既に出ている一人の犠牲者については触れることはしなかった。嘘の罪悪感が少しあった。

 彼はすぐさま他の構成員に連絡し、安否確認と状況を説明する。内容が内容だけに一人一人に時間が掛かる。


構成員『緊急連絡だ、応答してくれ。……』


 もういない構成員には連絡は繋がらない。もう既に時間が経っていることも踏まえて彼は察していた。


構成員(報復で殺されたか。トランの外道作戦を止めることをしなかった俺たちの責任だ。しかし、さっきのゼストも彼らと同じ境遇で真実を知っているはずだ。なぜ俺たちを助けようとする?)


 ゼストの言動に疑問を持っていたが、生存者への連絡を続ける。


ゼスト「私にできることはありますか?」

構成員「通信機を所持していない仲間が四人ほどいる。無理のない程度で彼らに伝えて欲しい。」


 内心、殺意剥き出しの避難民がどこからくるか分からないこの状況ではかなり危険な行為となる。それを分かっていたが協力して貰うしかなかった。駆け出すゼストを彼は見送ることしかできない。


構成員(絶対死ぬなよ。いざとなれば……)




 ゼストは三人に伝えてあと一人となった。その一人はさっき来たばかりの人物。彼にとってあまり会いたくはなかった。


 憎しみと殺意を向けた仇、サリアが目の前にいた。

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