69話 歪んだ殺意
ゼスト(どうしたらいい? 俺は……)
今まで動かなかったゼストが必死で今できることを考える。思い出す、今までの地獄のような光景をまた見ないために。
意を決してサリアを庇うように前に出る。
ガイア「お前、何のつもりだ? その女を庇うつもりか。お前は標的ではないから見逃してやってもいいがそいつは別だ。」
ゼスト「もう止めてくれ、ガイア。お前はこんなことをする人間じゃないはずだ。貴族は憎いがお前は他の貴族とは違うはずだ。昔のガイアに戻ってくれ!」
ガイアがゼストと関係があることを黙っていたのに喋ってしまう。
サリア「ゼストはこいつを知っているの?」
ゼスト「友達……だ。」
言葉がすんなりでなかったがそれに嘘はない。
ガイア「残念だが、もう昔には戻れない。ゼスト、お前は何も知らないからそう言える。」
ゼスト「俺が何を知らないって言うんだ!?」
ゼストは幾度なく地獄を見てきた。知らないことはないと思い込んでいた。所詮は見ただけで知りはしないというのに。
サリア「そいつの言うことを信じないで!」
ガイア「黙れ!」
彼女に対して今までの以上の殺意を感じさせる。そして、ガイアは衝撃の真実を語りだした。
ガイア「よく聞け! 先日の貴族による虐殺は全て自由の民、こいつらが仕組んだことだ。貴族を能力で操り、他の避難民を殺害させた。それが済むとあたかも自分たちが止めたように貴族たちを処分した。今までおかしいと何一つ思わなかったのか?」
ゼスト(確かに、サリアさんの出てくるタイミングがあまりにもよすぎた。それだけじゃない。何故か前回の戦いでも仲間がサリアさんを庇い続けた。)
少し思い出すだけで思い当たることはかなりあった。それでも助けてくれたサリアをゼストは信じたかった。
ゼスト「嘘だ! サリアさんが、自由の民のみんながそんなことをするものか! 人を操る能力なんてそんな都合のいいものがあるか!? 貴族のいうことなど信じるものか!」
ガイア「もうお前も操られているのか。」
ゼスト「違う、これは俺の意思だ!」
ゼストはガイアに殺意とともに銃口を向けてしまう。ゼスト自身にあるのは自分の行いを否定されたくないという歪んだ気持ちだった。




