62話 通信を交わして
サリオ「シェリー様、目標の貴族は逃亡したようです。」
屋敷の外と内側を回っていたサリオが帰ってきて報告する。彼女の能力はそれに適している。
シェリー「これで作戦は一度終了となる。そして、次の作戦だ。これからが本当の戦いになる。敵は自由の民だ。奴らに騙されて協力しているであろう民間人は極力殺すな。」
自由の民がジェノサイドスレイを討とうしていることなど初めから知っていた。それに加えシェリー個人としても自由の民は許せなかった。
シェリー「奴らは多くの人々を殺害した。罪は自らの命で償ってもらおう。」
ジェノサイドスレイのメンバー全員が同じ気持ちだった。
彼女は自由の民への通信を行う。
シェリー『すいません。目的の貴族には逃げられました。作戦は失敗しました。』
ゴードン『そうですか。こちらは奴隷を始末しました。それでは作戦終了ということで、我々は引き上げさせて頂きます。ご協力ありがとうございました。』
シェリー『こちらこそ。そして、さようなら。』
シェリー(あの世に逝きなさい!)
既に準備も整っていた。自由の民の構成員は一人も生かすつもりはない。
自由の民側は通信前から準備をしていた。通信が終わる頃には戦闘を開始する、ゴードンはその予定だった。
密かに持ってきた毒ガス兵器を用意する。
ゴードン「奴らは全員この奥にいる。逃げ場は限られている。逃げた先には爆弾を仕込み、なおかつ仲間が待ち構えている。」
穴の中から毒ガスらしきものを流し込む。ガスが充満し効果が出るまで十分くらいとなる計算。
ゴードン『聞こえているか、愚かなジェノサイドスレイ。毒ガスをプレゼントしよう。さあ、パーティーはここからだ。』
わざわざアホとしかいいようのない挑発を通信をシェリーに送る。勝ちを確信しゴードンは喜ぶ。
ゴードン「後は生存した奴らを始末するのみだ。」
シェリー『これは警告。騙した民間人を今すぐ解放しろ。さもなくば殲滅行動に移る。』
ゴードン『今さら何を! お前たちの負けは決まったようなものだ。』
シェリー『毒ガスの中身を調べた? 素人集団の自由の民さん。』
そう言われて慌てて中身を確かめる。すると毒ガスのボンベが全く別の物にすりかわっていた。
ゴードン(こんなミスはあり得ない。まさか、ジェノサイドスレイが変えた? 毒ガスの存在を知っていなければできない。)
答えは次の通信で明らかとなった。
シェリー『全て盗聴器で聞こえていた。盗聴器は、この前会った時に仲間がこっそりつけてくれたものだ。服を変えなかったおかげで先日からずっと聞こえていた。それで毒ガスもすり替えてこちらにある。そして、屋敷全体にカメラと爆弾を仕掛けている。警告は終わりだ。全員、裁きを受けろ。』




