175話 缶コーヒーの先に
オートマタ狩りの連中が暴れている間にレイたち反乱軍は水面下で計画を進行させていた。暴徒たちにあえて暴れさせたのは計画までの時間を稼ぐため。稼いだ時間で共和国各地のほぼ全て監視カメラを破壊することに成功した。その上、計画に必要な準備は整えることができた。
一段落を終えたレイたちはボロい隠れ家で休憩していた。レイは合間に買った缶コーヒーをみんなに渡していく。
レイ「みんな、よくやってくれた。オートマタ狩りの奴らの動きもあって計画の準備は上手くいった。正直、間に合わないかと思った……。ありがとう。」
アハト「……とりあえずこの缶で乾杯でもやるか。」
乾杯してアハトとフィーアがコーヒーを飲む。エムやおじさん、他の者は開けただけで飲まない。レイは仮面をつけたままストローを使って飲んでいた。
アハト「レイ、すまないがこれまずいな……」
フィーア「エムも飲めないものなら先に言ってよ!」
アハトとフィーアは一口で飲むのを止めた。いくら何でも彼らには不味すぎた。
レイ「それは悪かった。次は他の者に買ってきてもらおう。」
エム(レイだけは飲めるのですか……)
他の者も少し引いていたが口には出さなかった。
レイ「あとの準備は私がやるだけだ。みんなは休んでくれ。」
反乱軍のリーダーで発案者でもあるレイはまだやることがあった。宣戦布告前から暗躍しまくったためかなり疲れてもいた。協力者は多いが国一つを敵に回したのだから楽なわけがない。自室に戻り貴重な資金で手に入れたパソコンを操作する。
レイ「こんなものか。あとはエルフを探し出せばいいくらいか。」
ここまでくればあと少しだと思ってしまう。実際はまだ目的の一つすら到達していないのに。
レイ「もしも全てがうまくいったら……あいつらは缶じゃない上手いコーヒーが飲めるようになる。」
想像もしなかったが彼の理想の先にはそんな未来がある。しかし、それは理想でしかない。他者の日常や幸せ、命を踏み潰し破壊した先の彼らだけに都合のいい未来。そんな未来をどうやってもレイだけは見ることができないことは理解していた。
ふと仮面を外して自身の顔を鏡で見てみる。映らないはずの敵が見えて覚悟を確認した。
レイ「ああ、分かっている。俺は戦い続ける……その先に何があろうとも!」




