160話 レナ・コナート
大統領ユルゲンの葬式は密かに行われた。参列者は少なく政府関係者や親族くらいだった。国が荒れているため表立ってすることはできなかった。
レナは葬式には出たもののショックで落ち込んでいた。革命軍として戦ってきたが全く予想していなかった結末を受け入れられない。今までの犠牲は何だったのか、もう戦う意味は見出だせない。彼女は誰もいない家に閉じ籠り現実から目をそらした。
レナ「革命軍は終わった……お父様もいない。私には何も残っていない。」
食事すらせずに横たわっていた。携帯電話には着信音が鳴り響くが彼女の耳には届かない。閉ざした彼女の心を開けることはできない。
レナ(もうどうでもいい。私には何もできない。)
共和国がどうなっていようと気にも止めない。所詮はただの少女で国を変えることなど初めから無理だった、そんな思いが募っていく。
レナ(私の役目は終わった。だったら死んでもいいよね?)
見知った革命軍の仲間も父親もいない。守ろうとした国民は彼らの犠牲などなかったかのように過ごしている。生きていく理由も戦う理由も一瞬で奪われた。何気なくつけたテレビはオートマタ反乱軍の話かオートマタの処分の話ばかり。画面の中のレイを憎む気力すらない。
レナ「会いたいよ……みんな、お父様……。」
能力で彼らを探そうとしても見つからない。この世にいない彼らを能力で見つけることはできない。だから拳銃に手を伸ばしてあの世に逝こうとしてしまう。考えたら駄目だと分かってはいてもどうにもならない。頭に突きつけて後は引き金を引けば終わるところ。
『まだ諦めないで。』
『こんな国でいいの?』
『頑張って!』
レナが死を意識した時、革命軍の同志たちの姿が見えた。
レナ「みんな生きて……」
影などない彼らを見て、それでも会えたことが嬉しかった。幻覚でも幻聴でもない。彼らは確かに存在した。
ユルゲン『私たちはもういない。でもレナや国民は生きている。未来を変えることができるのは生きている人間だけだ。この国を滅びから救ってくれ。』
レナに伝えると彼らは消えて見えなくなる。
レナ「待って! いかないでください、お父様!」
レナは泣きながら手を伸ばすが届かない。しかし、声と願いは確かに彼女に届いた。涙を拭いてやるべきことを決める。
レナ「革命軍のみんな、お父様、私を見ていて。もう一度戦ってみせる!」




