56話 壊れていく
ゼストたち数人はゴードンに連れられ、自由の民のアジトに案内される。ただのボロい家で中には何もない、床はボロボロの木の板、そう見せかけてその下に隠し階段がある。下っていくと暗証番号と指紋認証、その先には何重もの鍵がかかっていた。
そこまでする必要はないと連れられた彼らは思ってしまう。世間的には自由の民。認識のずれがあった。
ゴードン「少し面倒だが、これも必要なことだ。軍や警察に見つかれば大変だからね。奴ら貴族の味方しかしない。私たち自由の民を犯罪者扱いする。全く嫌な世の中だ。」
彼の後ろから別の自由の民の構成員がやってきて自己紹介を始める。そのなかにはサリアもいた。
ゴードン「私たちは執事やメイドなどに偽装して貴族の近くにいた。彼らが自らの傲慢さを反省し変わることを信じていたからだ。だが、そんな希望や願いは彼ら貴族には通じなかった。だからこそ、あんなことが平然とできたのだ。私は、とても悔しかった。何もできず大勢の死者を出した。私は無力だ。だから、力を貸してほしい。」
彼の言葉がゼストの心に響く。ゼストがかつて感じたことと同じだった。今回も何もできず無力だった。
ゼスト「勿論です。自由の民の助けになりたいです。」
他の連れてこられた者も彼に賛同する。やっていることは詐欺や怪しげな宗教と大差ないだろうに。愚かな彼らは何も見えていない。
ゴードン「みんなの気持ちはよく分かった。さっそく今度の作戦に参加してもらいたい。」
映像を使って彼らに作戦を説明する。悪行を行う貴族たちを倒すというもの。貴族たちは屋敷に住んでおりセキュリティは高く、大勢の奴隷もいる。
ゴードン「貴族も厄介だが、奴隷どもも何匹か住み着いている。そのため、あまりやりたくはなかったが素人集団のジェノサイドスレイと手を組むことにする。」
サリア「しかし、奴らは平民も平然と巻き込むテロリストです。」
ゴードン「だから、ジェノサイドスレイには囮になってもらう。作戦は明日、可能な人は参加してほしい。」
全員が参加することを決め、武器や防具、通信機等を受け取る。まだゼストはこの意味を正確には理解できない。他の者は憎い貴族を殺せることを楽しみにしている。憎しみに囚われていることなど気にも止めない。
ゴードン(何もかも順調だ。明日はきっといい日になるだろう。)




