33話 染まった者
あの後、警察が来てミーアは事情聴取を受けることになった。ミーアはありのままを警察に全て話し正当防衛扱いとなり無罪となった。本来なら被害者が奴隷でも有罪となるが奴隷の危険性が問題視された今奴隷の殺害は暗黙の了解で罪にはならなくなっていた。そもそも平民のケールが事件に関与していなければ警察は動かず事件扱いにはならず奴隷が事故死しただけの扱いとされる。奴隷の事故死は雇い主が処理をすることになる。
国の法では奴隷を殺したら通常の殺人罪扱いとされるがこの法がまともに機能したことなどほとんどなかった。
あれから何日か経った。ケールは身内がいないため葬儀は行われずにひっそりと墓に埋葬された。ミーアは墓地に行き彼の墓に花を持っていく。その墓の元にきた者は今までミーアしかいなかった。もう彼の死を悲しむ者も気付く者も彼女しかいない。
ミーア「ごめん。色々あって遅くなった。もっと早く来られたらよかったんだけど。とりあえずこの花を置いておくね。短い間だったけどあなたと入れられてよかった。ありがとう。」
もう返事はないその墓を去り、彼女は近くにある自身の両親の墓に初めて向かった。あの事件から日が経っているため墓もできていた。その墓には花がいくつか添えられていた。
ミーア「姉さんと兄さんが来ていたのね。私が最後か。親不孝者でごめんね。さっき友達のところに行ってきたよ。ケールっていうの。とてもお人よしでいい人よ。もし会うことがあったら挨拶してね。
そのケールも父さんと母さんも反対するかもしれないけど私は戦うから。人々を不幸にする奴隷を全滅させてみせるから。それが終わったら会いに行くから。待っていて!それまでは遠くで見守ってほしい。」
語り終わった彼女は三人が眠る墓地から離れタクシーに乗った。行先は彼女がポピーと出会った街だった。
街に着きミーアは周りを見渡す。あの日よりも雰囲気は暗く路地には血痕が残ったままになっていた。
ミーア「あまり変わってはいないようね。」
歩いていると一人の少女がぶつかってきた。
少女「ごめんなさい。怪我はないですか?」
ミーア「大丈夫よ。」
少女の服装はぼろい布きれのようなものでまともなものとは言い難い。あの日のポピーを思い出させるものだった。
ミーア「もしかして奴隷?」
少女「……そうです。ご主人様に頼まれておつかいを。」
ミーア「そう。ちょっと時間いいかしら?」
ミーアは少女を別の場所に連れて行った。少女はその間何も喋らなかった。連れて行かれた場所で少女の服は綺麗な赤色の服に変わっていた。ミーアは少女をその場所に置いたまま少女の元から去っていった。その時のミーアは無表情だった。
ミーアはこの街に他にも奴隷がいないか探しに向かった。見つけた奴隷に対して丁寧に一人ずつ対応して終わらせた。
ミーア「慣れていくと早いものね。この街ではこんなものかしら。」
用事を済ませ彼女がこの街を出て行こうとするとある見知らぬ男に声を掛けられる。
男「ちょっといいですか?」
ミーア「忙しいので。」
男「奴隷が憎いのですよね?」
ミーアは男のその言葉に反応してしまう。まるで今までのミーアの行動を見てきたかのような言い方だった。
ミーア「だとしたら?」
男「我々はあなたのような方を探していたのです。我々の仲間になりませんか?きっとあなたにとって都合がいいはずです。」
ミーア「我々って何?」
男「ジェノサイドスレイ。」
ミーアはその言葉を聞いた瞬間、笑みを浮かべた。




