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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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28話 生存者たち

 あの街が地獄と化したあの日、キルから離反したリザたちは一人でも多くの人間を救うため生存者を探していた。しかし、見渡す限り死体ばかりで激しい吐き気に襲われていた。これに協力してしまったのが自分たちだと改めて思う。


バゲージ「こんな……こと、俺たちがやったってことか?違う、違う!」


 否定してもなにも変わらない。いくら離反したとはいえ協力した事実もこの地獄の光景も事実。


リザ「みんな生存者を探して!それと……」


 リザは言葉に詰まったがここで言わなければ駄目だと思った。もう二度と後悔しないために、この悲劇を繰り返さないために。


リザ「あの男、キル・コープスを見つけ次第……殺して!!あいつを止めなきゃ、また繰り返される!」


 リザは私情はなしでその言葉を口にした。それはキルと同じように仲間を人殺しにさせてしまう。理由はどうあれ人殺しは悪。和解の可能性もあるかもしれない、殺さなくても止める方法は探せばいくらでもあった。だが、彼女にはそれを指示できなかった。冷静な判断などできる心境でもなければ、確実に止められるとも思えない。それに迂闊にキルに近づけば仲間の命が危ないことも分かっていた。


スジュン「みんな、奴を見つけたら俺に言ってくれ。俺が奴を殺す。キルは俺が止める。」


 スジュンはこの中の者で年を取っている方。だからこそ、キルの冒した業は自分が何とかしなければならないと思った。若者に罪を背負わせてはいけない、奴隷制度を認めてしまった自分がするべきことだと。


スジュン(これは俺が為さなきゃならない!俺は奴隷倉庫にいた時もただの傍観者だった。この街に来てからも特に何もしなかった。他の者はこの街で生きていけるように頑張った者もいたというのに!ただ一か月無駄に過ごした。今考えれば奴が奴隷を救うはずがない。仲間を殺した人、いや死神がそんなことはしない。だから今度は、今度こそは俺に一歩を踏み出す勇気を!)


 彼は護身用に持っていた拳銃を確認する。覚悟を決める意味もその行動にはこもっていた。


リザ(スジュンさんも何か思うところがあるのね。)


 リザたちは二手に分かれて生存者を探すことにした。しかし、捜索を開始してから彼らが見たものはキルが無残な姿に変えたかつての生者。今はただの死体である。自分たちのしたことの愚かしさ、そしてこの捜索の無意味さを思い知らされる。幼い子供すら容赦なく命を奪われている。かつての仲間の姿も何人も見てしまった。進めば進むほど精神がおかしくなりそうだった。リザもスジュンも例外はなくこの惨劇を見るだけで耐えられなかった。

 だが、捜索を続けていると無事とは言い難かったが襲撃班の生きている奴隷を見つけた。わずか四人だったがこの捜索は無意味じゃないとリザは感じた。


リザ「よか……った。本当に!」


 リザは嬉しさのあまり涙を流した。たとえ僅かでも救えた人間がいたということに。


奴隷「み……んな?来てくれた?」


 生き残っていた奴隷はかすかな声でそう呟く。彼ら四人は精神的にキルについていくことができず何もできずここに残っていた。


リザ「他のみんなは?」


 奴隷はリザの言葉を聞きあの地獄を思い出してしまう。


奴隷「みんな?みんなは死んだ。死んだ、死んだ死んだ。あああ、あああああ!!!」

リザ「落ち着いて。」

奴隷「いやだいやだいやだ!知らない知らない知らない!!」


 他の三人も同じような状態だった。まともな状態ならキルについて行っているかもしくは罪に耐えきれず自殺している。


リザ(もう他の人はいない?)


 リザがそう思った時遠くの方で爆発の音が聞こえた。


リザ「まさか!またキルが爆弾を使った!?」


 爆弾を使ったということはキルが近くにいる可能性があった。


リザ「みんなを集まって!今からあの場所に向かう!」


 二手に分かれた状態を一つに戻し爆発した場所、避難所に向かった。




 時間が掛かってリザたちは避難所に着いたが、避難所は崩れておりほとんどの人々も逃げた後だった。しかし、足に銃弾を受け動けない少女が一人いた。


リザ「あなた、大丈夫?」

少女「足が動かせない。」

リザ「私たちがあなたを背負うわ。それと他の人はどこか知らない?」

少女「みんなは向こうに避難した。私は逃げ遅れた。」

リザ「私はこの子を運ぶからみんなは車がある合流地点に戻って。」


 リザはこれ以上の捜索は止めることにした。


リザ(他の人たちは避難したなら心配ないね。でも、この子だけは安全なところに運ばないと!)


 リザが少女を背負うとするとスジュンが代わりに背負った。


スジュン「ここは俺に任せて先に行っていろ。俺は力があるからすぐに彼女を運べる。」

リザ「彼女をお願い。」


 リザたちはスジュンに彼女を任せて戻ることにした。



 スジュンと少女は新たな避難所にたどり着いた。避難所にいた人々を見て安堵する。


スジュン「ここならもう大丈夫だ。」

少女「ありがとう!おじさん。」


 スジュンは用事を済ませて避難所から出ることにした。


スジュン(生き残った人がいて本当によかった。)


 無駄じゃなかったと思い彼はリザたちの元に走った。

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