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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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25話 婚約の結末

 ゼストは拳銃を拾うことを考えたがそんな時間はないと諦める。二人の距離は今は三、四メートルくらい。その距離を保ったままゼストの左手を周囲の空間ごと凍らせた。ゼストは予想外と言わんばかりの表情で負傷した左手を庇いつつ後退する。


ガイア「中までは完全に凍らせてないが左手は氷が溶けるまで動かすことはできない。降参はするか?」

ゼスト「まだ足と右手がある!」

ガイア「そうこなくては!」


 ガイアは両手を地面につける。何か仕掛けてくると察したゼストは急いで逃げようとする。


ガイア「判断は悪くない。しかし、これで足を封じる!」


 ガイアの指先から接しているところからゼストに向かうように地面が凍り始める。ゼストの足元に向かった時、彼はガイアに向かって走り始めた。


ガイア(逃げても無駄と思ったのか。だが、足元の地面は凍っている。すぐに足を凍らせてやる!)


 ガイアがゼストの足を狙った時、まるでそれを狙ったかのようにゼストは爆弾を投げる。まさかの不意を突かれるも咄嗟に爆弾を凍らせ爆発を阻止させた。その間はゼストに意識がいかなかった。その隙をゼストは逃さず間合いをさらに詰める。二人の距離はさっきよりも短い。


ガイア(さっきは焦ったがもうゼストの武器はない。この一撃で決める!)


 ガイアはゼストの頭以外を凍らせる渾身の一撃を放った。距離が離れていないかつ周りの氷で体温が下がっていたからできた芸当だった。


ガイア「頭部以外は動かせない程度に凍らせた。勝負あったな、ゼスト!」


 明らかな状況で執事が勝敗を告げようとする。しかし、執事はゼストの表情を見て勝敗をまだ告げなかった。


ゼスト「確かに。終わっていたな。……俺以外なら!」

ガイア「何!?」


 ゼストは瞬時に両手の体温を上げ氷を溶かす。そのほかの部位も即座に溶かし反撃する。


ゼスト「自分だけが能力を使えると思うな!」


 勝ったと思っていたガイアにはさすがに反応が大きく遅れた。その遅れが命取りとなり押し倒され首を掴まれる。


ゼスト「このまま首を絞めることもできるがどうする?」

ガイア(この状態で凍らせてもすぐに溶かされるか。さすがだな。)

ガイア「……降参だ。」


 ガイアが敗北を認め勝敗は今度こそ着いた。くやしそうな思いをのこしつつガイアはゼストに握手を求めた。


ガイア「見事だった。約束通り婚約は破棄だ。リリアさんの親御さんには俺の方から断ったと電話で伝えておく。」

ゼスト「能力の相性が良かっただけだよ。俺が別の能力だったら負けていた。俺の願いを聞いてくれてありがとう。」


 二人は握手を終え、ガイアは後片付けを行うことになった。ゼストとリリアは部屋で待つことにした。後片付けを手伝おうとしたが客人にはさせられないと断られた。

ガイアは荒れた庭を整える。


執事「私が後始末をしておきます。」

ガイア「やらせてくれ。俺一人で終わらせたい。頼む。」

執事「分かりました。」


 執事は去り、たった一人残されたガイアは改めて敗北を、婚約が解消したことを痛感する。


ガイア「う、うああああーー!!」


 ガイアは地面にうずくまり泣き叫んだ。彼は真剣にリリアを愛していた。ただの一目ぼれだったがそこに嘘はなかった。かなり強引で卑怯な婚約の結ばせ方だというのは百も承知だった。好きだったからこそこんな愚行に及んだ。

それでも彼は心のどこかで迷いがあった。だからこそ、この決闘に結末を委ねた。


ガイア「やっぱり俺では無理だったのかな?俺はあの嫌っていた貴族と同類だったのかな?傲慢で愚かで……。」


 リリアとはこの何日間一緒に暮らしていたが婚約者という関係であるのに手を繋ぐどころか話すらろくにしていなかった。彼はリリアとどう接していいか分からなかったのだ。あまりに彼は臆病過ぎた。


ガイア「これは……俺が始めた!俺が終わらせなきゃ誰が終わらせられるというんだ!!……リリアさん短い夢を見させてくれてありがとう。」


 ガイアは一人呟き作業を続けた。

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