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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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22話 話し合い

 部屋にたった一人でリリアがいた。なぜゼストにあんなひどいことを言ったのか彼女自身ですら分からなかった。彼女自身の心は今不安定な状態だった。ある日突然婚約を突きつけられ戸惑いながら今ここにいた。今の彼女に自由などない。まるで鳥かごの中の小鳥。かごの中では自由にできるがそんなものは自由と呼ぶには程遠い。


リリア「ごめんなさい、ゼスト。でも、私にはこれしかできない。これしかないの!」


 リリアは一人で後悔し続けた。あの日の約束すら叶えることのできなかった自分の愚かさに嘆いた。



 ゼストは部屋を出てからすぐにこの家から帰ろうとした。もう自分は必要ないと、これでいいと思い込ませた。


ゼスト(結局俺のしたことはリリアにとって迷惑でしかなかったのか。……誰かのためといいつつやっていることは全て自分のため。レイスの時も同じだった。誰かを救った気になっていただけ。本当は分かっていた!あのデータで誰かが不幸になるってことが!!犠牲者がでることも!警察があの手段までして追っていたものだ。まともなはずがない。愚かにも程がある!)


 昔から何も変わらない自分にゼストは心底嫌気がさしていた。そんな最悪の気分で出口から出ようとすると声を掛けられる。


ガイア「ゼスト・アライブっていったか?少し話がある。構わないか?」

ゼスト「誰ですか?」


 ゼストにとって声を掛けてきた男は写真で見覚えがあったが今はまともに思い出せる心境ではなかった。


ガイア「これは失礼。俺の名前はガイア・キルーズ。リリアさんの婚約相手だ。」

ゼスト「お前が強引に婚約を申し込んだ奴か。」


 ゼストはガイアに対して敵意を表していた。ガイアはゼストを応接間まで誘導した。


ゼスト(こいつがガイアか。こいつさえいなければこんなことにはならなかった!)


ガイア「待て、待て。そう睨むな。今回のことは急でお前にも迷惑をかけたと思っている。質問があれば答える。可能な限りだが。」

ガイア(この男がゼスト・アライブ。親父からの聞いていた印象とは違うな。まさか、リリアさんと関わりがあったとはミスったな。)

ゼスト「なぜ俺の名前を知っている?」


 婚約相手の家族構成は調べるが普通は幼馴染や友人までは調べない。それにゼストがここに来たのは今日が初めでガイアが知るはずがない。


ガイア「リリアさんから聞いた。婚約者で同じ家にいるのだから当然だと思うが?」


 ゼストは僅かな違和感をガイアの言葉から感じ取っていた。ゼストはそのことを言及しようとすると今度はガイアが質問し返す。


ガイア「今度はこちらが質問する。ゼスト・アライブ。お前は何者だ? それとも誰かという方が適切かな?」


 ゼストにはガイアの質問の意味が分からなった。何かを試しているようにも感じられた。ガイアをよく見るとゼストを警戒している節があった。彼は服の内ポケットに左手をしのべている。


ゼスト「意味が分からない。俺はゼスト・アライブでただの平民だ。」

ガイア「さっきの答えは嘘だ。俺が聞いているゼスト・アライブはただの平民ではない。俺は詳しいことは聞かされていないが、親父の会社の上の会社の存続に深く関わったと聞いている。下手すればこの世界の常識すら軽く覆るくらいやばいことらしい。一体何をした? 何が望みだ?」


 ガイアの話の真の目的はこのことだった。ガイアはデータのことを知らない。無論データの中身など想像もつかない。彼の父親ですらこのことは知らされておらず知っているのはゼスト・アライブの名前くらい。だからこそガイアはゼストのことが気になっていた。彼が何をなしたのか、その行動、彼自身に。


ガイア「まあ、この話はリリアさんの婚約とは関係ない。俺自身、興味も持ったからだ。」

ゼスト「すまない。このことについては話しすることはできない。理由はおおかた推測できているだろう?」


ゼストは先日のレイスの件のことは口にせず相手が察してくれるのを待った。細かいことは知っている風ではないが、この件がやばいことくらいは誰でも分かることだった。


ガイア「分かった。この件の話はなかったことにしよう。だが、ゼストお前は親父の会社を救ったも同然だ。ある程度の薬品なら優先的に回せるかもしれない。」


ゼストは思わずガイアのその言葉に食いついた。これでリリアの叔父が救えるかもしれない、そう思った。


ゼスト「それは本当か!!」

ガイア「それくらいなら親父でもできるだろう。しかし、所詮は薬。治癒能力者が治すのとは全く別だ。治らない可能性だってある。」

ゼスト「それでも治る可能性はあるのだろう?」

ガイア「ああ。」

ゼスト「本当にありがとう!」


 先ほどの敵意が嘘だったかのようにゼストはガイアに感謝した。


ガイア(こいつにとってリリアさんの叔父は赤の他人のはずだ。なぜこうも喜ぶ?俺には分からない。)

ガイア「しかし、婚約の件はそのままだ。」

ゼスト「……やはりそうか。」


 さすがに婚約のことは他の事情が絡んでいるため簡単には破棄はできない。


ゼスト「でも、ガイア。お前のことを勘違いしていたよ。いい奴なんだな。リリアに薬のこと伝えてくるよ。」


 そういってゼストはガイアに頭を下げ応接間から出た。


ガイア「俺はいい奴ではないさ……。」


 ガイアは一人小さくつぶやいた。

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