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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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21話 すれ違い

 ゼストは三時間かけてリリアの婚約者のガイア・キルーズの家の門の前まで来ていた。キルーズの者にもリリアにすら今日来るとは連絡は一切していない。家には誰もいない可能性も考えたが電話などで事前に連絡すると門前払いされると思いゼストはこの行動に出た。しかし、いざ家の前に立つと緊張で声すら出なくなっていた。

彼が住んでいる家とは比べものにならないくらいの家でゼストは改めて自分たち平民と貴族の差を思い知らされる。キルーズ家の者は貴族しかいないがアライブ家はミーアしか貴族はいない。

 貴族というだけで国から多額の補助金が貰えるため家族に貴族がいるかいないかだけでも貧富の差ができる。そのため、貴族の子どもを作るためだけに子どもを産む者すらいる。七歳の時の審査で身分が決まるため、覚醒するために虐待まがいのことをしたり審査員に賄賂を贈るなど犯罪行為まで行う者まで存在する。全員がそうするわけではないが、割合は決して低くはない。それほどまでに貴族制度も闇が深いとも言える……。上記のことはニュースなどでゼストでも知っていた。だが、これらは氷山の一角に過ぎない。キルーズ家もその一部でもあった。

 ゼストはそんなキルーズ家を訪ねる覚悟を決めインターホンを鳴らす。


ゼスト(ついにやってしまった!? ガイア・キルーズは一体どんな人なのか?とにかく失礼にならないように!)


 ゼストは内心焦りつつも応答を待つ。するとインターホンのモニターが表示されこの家の執事と思われる者が対応した。


執事『失礼ですがどちら様ですか?』

ゼスト『突然失礼います。ええっと、ゼスト・アライブと申します。リリア・ケーラインさんの友人です。ケーラインさんに用があって来ました。もし、いらっしゃるのでしたらお逢いすることは叶いますか?』


 ゼストは慣れない敬語(?)を使い執事に用件を伝える。普段全く使わないため余計にたどたどしくなってしまう。それを察した執事がこう返す。


執事『リリア様の友人ですね。失礼しました。ゼスト様は客人ですので堅くならないでください。今すぐ門を開けますので少しお待ちになってください。』


 そう言われ少し待つと自動で門が開く。その後先ほどの執事が現れゼストを家の中に招き入れる。


ゼスト(これが貴族の家! 一体いくらかかったんだろう?)


 初めて入る貴族の家に圧倒されながら案内された部屋まで進んだ。


執事「ここで失礼させていただきます。何か御用があれば何なりとお申し付けください。」

ゼスト「ありがとうございます。」


 ゼストは部屋に入る。そこにはリリアが椅子に座っていた。そんなに日数は経っていないはずなのにゼストには凄く久しぶりに思えた。


ゼスト「ごめん、急に押しかけてきて。」

リリア「ううん、私こそ急にいなくなったりして悪かったわ。とりあえず座って。」


 両者はテーブルを挟んで椅子に座ったまま話を続ける。


ゼスト「おじさんとおばさんから聞いたよ。」

リリア「そう、それで何しに来たの?」


 リリアの問いに真剣な表情でゼストは答える。


ゼスト「リリア、お前と話しに来た。どうしても直接会って話がしたかった。」

リリア「私を連れ戻すつもり?」

ゼスト「それは話を聞いてから考えるつもりだ。」

リリア「私と話をしても私の両親から聞いたことと同じよ。私は叔父さんを救うために婚約を決めた。」

ゼスト「本当にそれでいいのか!?」


 ゼストはリリアの本心を聞き出そうとする。するとリリアは声を荒げて本心をぶちまけた。


リリア「いいわけないじゃない!! だけど、この方法しかないの! 貴族だからって何でもできるわけじゃない!! どうにかできるっていうの!!? 婚約が失敗すれば叔父さんは死ぬかもしれない! ……そんなこと言いにきただけなら帰って!」


 初めて見るリリアの姿に驚きを隠せなかった。ゼストはそのまま何も言わず退室した。

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