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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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17話 悪魔の種

 ゼストは持っていた蓋をしていないペットボトルを落としたまま両手を上げ男の正面に向いた。落としたペットボトルの液体は地面に撒けた。


男「大人しくしろ!!」


 男は銃をゼストに突きつけたまま倉庫の中に来るように言った。しかし、ゼストはそこから動こうとしない。その時のゼストは密かに笑みを浮かべて芝居がかったセリフを口にした。


ゼスト「今の状況が分かりますか?」

男「何を言ってやがる?お前の発言を許すつもりはない!」

ゼスト「さっきここにガソリンが撒けました。そして、俺の能力は炎です。あなたが撃つより先に俺が炎を出すほうがでしょう。そうなったら……分かりますよね?」


 ゼストの言ったことが正しければたちまち炎が燃え盛る可能性があったが、液体は地面に少ししみ込んでいるためうまくいく保障などない。しかし、ゼストは賭けに出ていた。そもそもあえて男をここにおびき寄せるために声を出した。後は男の出方しだいであった。


男「この俺を脅しているのか?だが、残念だったな。ガソリンを撒いたつもりだろうがこれはガソリンじゃない。不燃性の別の液体だろ。匂いで分かる。」

ゼスト「元のガソリンの匂いなんて人工的に付けたものですよ。匂いをごまかすことなんて簡単にできます。」


 男はゼストの言葉を聞いて笑った。ゼストが男の思っていたより考えていたからだ。しかし、所詮はその程度だとあざ笑う。


男「ガキにしてはよくやった方だな。だが、こんな小細工でどうにかできると思っていたのか?こんなガソリンの量じゃせいぜいズボンに火が付く程度だ。それといいことを教えてやろう。俺の能力は液体を見極める能力だ。俺が相手じゃなきゃお前が勝っていたかもな?」


 男は勝ち誇ったような顔で言った。しかし、ゼストは表情を変えなかった。


ゼスト「何も分かっていないですね。これはただの時間稼ぎです!レイス、今です!!」

男「何!」


 男は慌ててゼスト以外の周囲を警戒した。だが、レイスは来ない。それこそがゼストの狙いであった。ゼストは隠し持っていたもう一つのペットボトルから液体を数滴手のひらに乗せ能力を使うとともに液体を宙に散らばせた。一瞬のみだが、空気中で発火し光を放った。それが男にとっては目くらましとなった。男はゼストを再び警戒し後ろに下がろうとした。しかし、さっきの液体のせいで滑りやすくなっており男は滑って倒れてしまう。咄嗟に起き上がろうとするが、ゼストが動く方が速かった。ゼストは銃を蹴飛ばし倒れたままの男の頭を右手で抑えた。


ゼスト「無駄な抵抗はよせ。殺すことはできないがこの至近距離なら眼球や耳くらいなら焼ける。無傷では済まない。」

男「貴様、一体何者だ!?」

ゼスト「俺はただの高校生、と言いたいとこだが警察の貴方には正直に話そう。私はアース帝国イギリス軍の特殊部隊隊長のゼスト・アライブ。いわゆるテロ組織に対抗する秘密組織さ。」

男「嘘だろ?こんなガキが!?」

ゼスト「貴方をこうして倒したことが何よりの証拠。それにただの子どもがこんなことに首を突っ込むわけがない。

あの箱のデータには犯罪組織のメンバーの情報が入っている。そして、彼女と貴方たちが人質に取った者はこちら側が送りこんだスパイだ。これ以上邪魔するなら部隊の威信にかけて貴方たちを滅ぼしますよ?」


 ゼストの脅しは男にとって非常に効果的であった。男はデータのことについて詳しいことは知らない。だからこそ、不審に思い部下と共に独断で追っていた。しかし、それが軍のものだと知ってしまったために警察では手が出せなかった。軍が動くほどの案件だというのなら警察は到底手に負えるものではない。そう理解した男は今までの行為を謝罪し人質を解放した。これで事件は無事に解決した。


 レイスはお礼も兼ねてゼストを家まで送った。


レイス「ありがとうゼスト。今回は本当に助かったわ。それにしても微かに聞こえたけど軍人だったなんて驚いたわ。」

ゼスト「あれは嘘。ああいう状況で言えば信憑性があるだろ?」

レイス「……貴方だけは何があっても敵にしたくないわね。でも、もうあなたと会うことはもうないでしょう。今日のことも早く忘れることね。」

ゼスト「……そうだな。」


 ゼストも薄々だが彼女の立場は勘付いていた。レイスは表舞台に出てくるような人間ではない裏社会の人間なのだ。ゼストもそれにわずかながら足を踏み入れた。しかし、今ならゼストはまだ戻れるところにいた。彼は今の居場所に残ることを選んだ。


レイス(私はもう進むしかない。たとえこの手を汚そうとも、これは私が選んだ道だから!)


レイス「ゼスト、さようなら。」

ゼスト「ああ、さようなら。」


 二人は最後に別れを告げた。ゼストは日常に、レイスは裏社会に戻っていった。



その後、データは研究所に届き、それをもとにさらなる人体実験が行われ多くの血と悲痛なる叫びが研究所に響いた。その結果、新薬の開発が進んだ。


研究員「やっと試薬品が完成した!肉体強化と能力強化!!これを使えば最強の人間兵器、いや生物兵器が作れる!これで世界のバランスが変わる、変えられる!!」


 これがある悪魔の誕生のきっかけとなる。しかし当事者を含め誰一人としてそんなことなど想像すらしていなかった。

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