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能力社会  作者: コイナス?
1章 憎しみの世界
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13話 旅立ち

 キルからその言葉が告げられた一、二秒後に上の方から大きな音が聞こえた。それと同時に天井が崩れ落ちた。ジークは一瞬自分の目を疑った。天井が落ちるなどあり得ない。そのことからジークはこれがキルの仕業だと理解した。自分を殺すために仕掛けた罠だと。ジークは天井の破片が落ちてこない場所に避難しようとした。しかし、この辺一帯キルのいる場所を含めて全て崩れ落ちてくる。


ジーク(逃げ場がない!さっきの言葉は爆弾を起爆させるタイミングの合図だったのか!)

キル (二階の床を爆弾で壊すことによってその瓦礫などがここに落ちてくる。これで奴は俺と共に生き埋めだ!!)


 一階の天井はなくなり二階へとつながった。天井の瓦礫は二人を生き埋めの状態にした。キルはあがいて抜け出そうとするが力が足りないため抜け出せなかった。しかし、ジークは瓦礫の量が少なかったこともあり少し時間が掛かったが抜け出すことができた。体のあちこちに破片などが刺さって怪我をしていたが、それも能力ですぐに治った。


ジーク「まさか、こんな手を使うとはな。だが、私は生きている。残念だったな!」


 ジークは生き埋めになったキルを見て勝利を確信した。それなのにキルは、


キル「ふははははは!!今だ、殺せ!!」


 こんな状況でも笑う。いやむしろこんな状況だからなのか。


ジーク(罠が失敗に終わって気でも狂ったか?正直、私もかなり危ないところだったが新たな能力のおかげで何とかなったな。もう、これだとキル・コープスは抵抗できない。残った者もキル・コープスが倒されたことによって抵抗する意思はないはず。

やっと終わった!これで死んだ者たちも少しは救われるか?いや、違うか。これは私が背負っていかなければならない、私の罪。後で職員たちの遺族に謝らなければならないな。死んでいった奴隷たちの墓もこれからは作るようにしよう。もう二度とこんな悲劇を起こさないために!!)


もう勝敗は決したも同然だった。決意したジークがふと二階を見た時だった。それはジークのとって最悪の光景だった。二階には銃を持って横一列に並んだ奴隷たちがいた。その奴隷たちは間違いなくジークを狙っていた。


ジーク(キル・コープスは始めからこうするつもりだったのか……。完敗だな。結局、私は誰も救えなかったか……。みんな、すまない。)


 一人が引き金を引いた後、それに続き他の者も銃を撃つ。全員の銃が弾切れになるまで撃ちまくった。弾切れになったころには頭に命中しており、既にジークは絶命していた。いくら怪我の治りが早くても頭を撃たれれば治すことはできない。もうジークの復活は有り得ない。

 生き埋めの状態のままキルはジークの死亡を目視で確認した。確認が済んだ瞬間、キルは狂喜した。これで本当に殺せたと、本当にやり遂げたんだと。


キル(今度こそ殺せた。でも、俺も動けないから俺も終わりか。……いやだ、まだ俺は終わりたくない!終われない!まだシンプルを殺した奴を、奴隷制度を殺すまでは!!)


 キルは必死に瓦礫の山から出ようと試みる。先ほどもできなかったからできるとは思えないが、それでもやろうとした。結局、キルは力が尽きそのまま意識を失った。



 しばらくたってキルは目を覚ました。体のあちこちに痛みがしたが、応急処置はされていた。

シークレット「やっと、起きた。」

クリーン「よかった、無事で。」

シークレット「クリーンは心配しすぎよ。心臓も動いていたし、息もしていたじゃない。」


 クリーンは少し目が赤くなっていた。彼なりに今回のことで責任を感じていたのだろう。キルは心配してくれたことがとても意外だった。今まで自分自身を気に掛けるものなどシンプル以外にはいなかったからだ。


キル「二人が瓦礫から助けてくれたのか?ありがとう。」

シークレット「全くとんでもない無茶して!打ち所が悪かったら死んでいたかもしれないのに。」

キル「奴を殺すためにはこれしか手はなかった。」

クリーン「それにしても初めて聞いたときは聞き間違いだと思ったよ。キルごと職員を生き埋めにするなんて。」

キル「俺一人では絶対に不可能だったことだ。」

シークレット「話は変わるけどこれからどうするの?」

キル「まずは後始末、それが終われば情報と物資を手に入れる。そして、俺はここを出て奴隷制度を破壊する!!」


 二人にとってキルの言葉は衝撃そのものだった。二人はここを出てからのことをあまり深く考えてなかったからだ。


クリーン「キル、本気なのか?」

キル 「当然だ。俺はどんな手段を使っても奴隷制度を破壊する!」

クリーン「分かった。俺も協力させてくれ。シークレットはどうする?」


シークレット(あまり考えてこなかったけど、今の私たちは奴隷。ここから出てもそれは変わらない。働くどころかまともに住むところもない。いずれ奴隷倉庫からの脱走がばれてみんな捕まって逆戻り。普通に考えれば私たちに未来も希望もない。

 でも、奴隷制度を破壊すれば私たちは本当の意味で自由になれる。職員を倒したキルなら本当に成し遂げるかもしれない。私は人殺しだ。だから、もう戻れないし戻るつもりもない!)


 シークレットは自らの行いを思い出す。あの時、決めた覚悟も一度は揺らいだ。また揺らぐかもしれない。だけど、あの時とは違いもう彼女は戻ることはできないし、許されなかった。


シークレット「キル、私も協力するわ。奴隷制度を破壊して世界を変えてやるわ!」

キル「よし。そうと決まれば後始末と情報収集だ。今までこなかったことから生き残った職員が警察に通報はないだろうが、奴隷倉庫の異変に気付く者もその内出てくる。だから、ここに滞在するのは三日だ。それまでにここの情報だけでなく、パソコンやらテレビで一般常識や今の社会情勢を学ぶ。」


 キルは再びこれからの行動を二人に説明した。二人もキルの言っていることが納得できたし、情報収集は必要だと思った。奴隷になってからの十年間は外の世界のことをほとんど知らないため学ぶ必要があった。キルはシンプルからかなりの知識を得ていたがその知識も古いもので情報収集は一番彼が必要としている行為でもあった。

 情報収集の前に引き続き、中断していた作業を彼らは行った。キルは二人以外の奴隷には指示を出さないまま作業を行った。シークレットが奴隷倉庫をくまなく捜索したが、生きている職員は一人もいなかった。これにより奴隷たちの勝利が決定づけられた。その報告を聞いたキルは自分でも知らないうちに涙を流していた。


キル(なんだこれは?なんで俺は泣いているのだ?もう戦いは終わったんだ……。なのになぜ?こんなにもなぜ止まらないんだ!?)


 戦いが終わったことによりキルは一時的に重圧から解放されたことへの涙だった。彼にとってそれは耐えがたい重みだった。命を奪うことはできても自らの命が奪われる危険に耐えられなかった。キルといえども命を奪われる覚悟がなかったわけではない。しかし、覚悟があっても彼にとってそれは何の役にも立たなかった。彼はまだこの涙の意味を知らなかった。


 クリーンは管理室で作業しながら今までのことを改めて考え直していた。


クリーン(今までの俺はずっと役立たずだった。でも、今回の戦いではほんの少しでも役に立てた。たかが、爆弾を起爆させるだけだったけど、こんな俺に役割が与えられたことがこんなにも嬉しいなんて思いもしなかった。これからも頑張らないと!)


 しかし、クリーンは起爆の意味を正しく理解できてなかった。このたかが起爆一つの動作で何人もの人間が死んだのか?爆弾の起爆は銃の引き金とほぼ同じかそれ以上の効果があった。起爆は遠隔のため直接殺さないし、罪悪感も皆無といってよかった。クリーンは無自覚にキルの共犯者、そして人殺しとなってしまった。



 多くの奴隷たちが自由行動している中、ソウインはキルを探していた。今までほとんど行動していなかったソウインだが、今の状況なら行動しても不自然に思われないと思ったからだ。作業を終えたキルを見つけたソウインは後ろから彼に声をかける。


ソウイン「キル、そこで止まって!」

キル 「何の用だ?」


キルが後ろを振りかえようとした時、


ソウイン「通信機を切って床において。後ろを向いたまま両手を上げて!」

 キル 「どういうつもりだ!?」


 キルは訳が分からなかったが、ソウインの言う通りにした。ソウインはキルを警戒したままキルに用意していた拳銃を向けた。


ソウイン「今からいくつか質問するわ。正直に答えて。嘘を言ったり、抵抗しようとすれば命はないと思いなさい。」


ソウイン(こいつがこのまま大人しくするはずがない。情報を聞き出した後は始末する!)

 キル (こいつの目的は情報か?ならば普通に聞き出せばいいはず。何か他の目的があるのか?このままだと危険だな。職員以外に厄介な奴がいたとは!幸い拳銃は持っているしこいつはそれを知らない。隙を見せたら即奴を殺す!他の奴隷共には逃げたとでも言えばいい。)


ソウイン「まずは一つ目の質問。あなたのここでの名前と本名、役割を教えて。ここに来る前は何をしていたのか、能力のことも。」


 一つ目の質問は本人確認の意味合いもあった。能力を聞き出したのは知っていた方が何かと有利だと思ったからだ。


キル 「俺はキル・コープス。本名は知らん。役割は奴隷の死体の処理。ここに来る前の記憶はない。能力は使えない。」

ソウイン(能力が使えないことはにわかには信じがたいけど、外で作業する死体の処理をしていることから職員からの警戒は薄かったはず。外でのは脱走の危険が高いため能力が使えないこいつが選ばれた?そう考えると不自然ではない。でも、能力の可能性は捨てずにこのまま警戒する!)

ソウイン「次の質問、あなたの目的は何?」

 キル 「奴隷制度を破壊することだ!」


 ソウインはキルの答えを全く想像していなかった。ソウインはキルの目的がここ奴隷倉庫の脱走だと思っていたからだ。しかし、それは目的のための手段でしかなかった。ソウインは動揺を隠そうとしながら次の質問に移った。


ソウイン「この戦いで何人殺したの?それと誰を殺し、どういう風に殺したか詳細まで教えて!」


 ソウインはいよいよ本題の質問に入った。この答えによっては生かす可能性もあった。もし、誰も死んでないならそんな有り得ないともいえる考えが彼女の心のどこかにあった。


キル 「何人殺したなんて知らないし、いちいち数えてない。骨で刺し殺したり、爆弾で殺したりもした。中々死ににくい奴もいたな。」

ソウイン「貴様!!」

 その言葉を聞いたソウインは一瞬我を忘れていた。そのことに気付いたソウインは必死に怒りを抑えようとする。


ソウイン(私としたことが!まだ聞かなければならないことがあるのに!)


 ソウインは落ち着きを取り戻し、銃口を一時的に下に向ける。その瞬間を狙ってキルは即座に回ってソウインに拳銃を向け撃とうとした。しかし、キルが引き金を引く前にソウインがキルを蹴り飛ばす。


キル「ぐはぁ!」


 全く予期せぬ反撃をくらったキルは今までの傷と蹴られたダメージで動けなくなっていた。拳銃は蹴り飛ばされた衝撃で手元から離れていた。それでも何とかして動こうとするがソウインに取り押さえられる。キルは振りほどこうした。だが、キルと同世代である関わらずソウインの方が力は強いため不可能だった。


ソウイン「油断も隙もないね!私は言ったよね?命はないって。」


 ソウインはキルの頭に銃を突きつける。キルは心の中で慌てていた。


キル (まずい!このままでは間違いなく殺される!殺されてたまるか!!)

キル 「待て、本当に殺すか?」

ソウイン「この期に及んで何を!?」

キル (このまま会話を続け時間を稼げ!何か突破口はあるはずだ!)

キル 「お前はすぐに俺を殺さなかった。それは何故だ?俺を殺す以外に俺に用があった。そうだろう?」

キル (俺がこいつの立場なら不意打ちですぐに殺す。それが確実なはず。それをしないというのは何かしら生かしておく理由があったから。それを利用しこの場を切り抜ける!そして、速やかにこいつを暗殺してやる!!)

ソウイン「情報を聞き出すだけよ。それが済んだ今用はない。」

 キル (ここまでか?ここで終わるのか?……違う!まだ手はある!!)


 追いつめられて焦っていたキルが急に笑い出した。


ソウイン「何がおかしい!?」

 キル 「俺がただ死ぬと思ったか?俺が死ねば倉庫中に仕掛けた爆弾が作動するようになっている。これで一体何人の無関係な人間が死ぬだろうな?お前のせいで!」

 キル (当然ながらハッタリだ!だが、お前には効果あるだろう?たとえ嘘だと思っていても嘘だと確かめようがない。これでお前は俺を殺せない!)

ソウイン(やられた!おそらく嘘。しかし、万が一嘘じゃなかったら大勢の人が死ぬ。それだけは避けなければならないわ!)


 ソウインはキルを取り押さえたまま銃を下した。しかし、彼女は決して諦めたわけではなかった。


ソウイン「でも、動きを封じることはできる。」

 キル (しかし、なぜこいつは俺を殺そうとする?誰かが俺に殺されたのか?しかし、俺が殺したのは職員と……そうか!あの奴隷の仲間か!!だとしたらなぜ俺が殺したことを知っている?それを知っているのは俺だけのはずだ。状況から見れば職員共が殺したように見える。職員共と何か話したか?職員共とこいつはつながっていた?カマをかけてみるか!)

 キル 「クリスティーナ・マーティンを知っているか?」

ソウイン「どこでその名を聞いた!?」


 このソウインの反応でキルは確信した。ソウインと職員は繋がっていると。奴隷倉庫の職員の名前は職員同士で呼び合っているのを聞いて奴隷たちでも覚えることはできるが、フルネームでは知らないはず。


 キル 「その様子だと知っているようだな。そいつは俺が殺した。油断していたところを銃で襲ってやったよ!なかなか無様な姿だったよ!!」

ソウイン「やはり!貴様が姉さんを!!!許さない!!」


 ソウインは挑発だと分かっていても抑えきることができなかった。再び銃をキルに突きつけた。殺せないことは分かっていたけれどそうせずにはいられなかった。


ソウイン「姉さんだけじゃない!他の職員のみんなも、同じ奴隷のみんなさえも!!貴様だけは生きてはいけない!!貴様はここで私が食い止める!!もう誰も殺させはしない!」

 キル (動けないのでは何もできない!ならば一時的に交渉しかない!何か交渉材料はないか?そういえばさっき……。確信はない。でも、やるしかない!)

 キル 「ソウイン、交渉だ。」

ソウイン「この状況でなにを?」

 キル 「このまま俺たち奴隷が外の世界に行ったって居場所などない。だから、俺と協力してこの奴隷制度を破壊してみないか?無論、犠牲者は出さないようにする。誰の血も流させることなく成し遂げてみせる!信用できないなら俺を監視でもすればいい。」


 ソウインの姉は平民でソウインは奴隷だった。彼女たち姉妹は身分制度によって一度は引き裂かれここで再び出会った。それでも以前のような暮らしはできなかった。こんな不幸を、理不尽をこれ以上許さない気持ちが姉と同じようにソウインにはあった。しかし、そんな勇気も力も今のソウインにはない。でも、姉の仇でもあるキルを利用すればそれができるかもしれない。ソウインの心は揺らいでいた。


ソウイン(このままじゃダメだってずっと思っていた。だけど……。)


『いつか子供の時みたいに一緒に暮らせるようにするから。待ってて!』


 ソウインはかつての姉の言葉を思い出した。この瞬間、彼女の思いは決まった。


ソウイン「……分かった、協力するわ。ただし、私か私の仲間が常に監視するわ。」

 

 ソウインはキルを解放し、二人は握手した。それは同盟のような意味だったと思う。監視を常に行うことは本当は無理だがキルに伝えておくだけでも効果はあると思った。


リザ「それと私の本名はリザ・マーティン。リザって呼んでくれて構わない。」

キル「よろしく、リザ・マーティン。」


 キルはリザにパソコンで情報を集めるように促しリザが見えなくなるまで彼女を見つめていた。


キル(これで一件落着か。お前の仲間を暴き出しまとめて殺してやるよ、リザ・マーティン!俺が犠牲者を出さないわけないだろ?平民も貴族も俺の邪魔するものは誰だって一人残らず殺してやる!ふはははは!!)


 キルにとってリザは敵以上の邪魔者でしかなかった。そんな思惑などリザは知らないままキルと協力することとなった。


 それから奴隷倉庫出るまでの三日間は外部に怪しまれないように他の奴隷たちにも外には出ないように指示した。食料などの受け取りは職員に変装した奴隷などが受け取るように工夫した。それだけでなく、パソコンのデータの改ざん、消去、などありとあらゆる手段も行っていた。当然、それらの行為で法に触れるものは数多くあった。ここから去っていった職員たちにはまるでジークが生きているようなメールを送り今回の件は他言無用と伝えた。これで職員たちが余計なことをすることはないとキルは思った。

 そして、キルは三日目の最終日には宅配にきたトラックを襲撃し、外の世界に行く準備を着々と進めていた。トラックには食料、日用品だけでなく拳銃や爆弾などの武器を詰め込んだ。トラックの運転手はキルによって殺害され携帯電話や金品、服など奪えるものは全て奪われていた。リザやその仲間にばれないようにキル単独でこれらを行った。トラックへの積み込みは終わり、ただ一つのことを除きもう奴隷倉庫に用はなかった。

 キルは奴隷倉庫にいる全員の奴隷を呼びだし集めた。


キル「これから外の世界の街に行こうと思う。そこで一か月間ホテルに滞在してこれから各自どうするか考えてもらう。仕事を探すも住むところを探してもかまわない。だが、俺は奴隷制度を破壊しようと思う。みんなには強制はしない。これからも俺と共に戦う者は一か月の滞在期間に決めてほしい。」


 それを聞いた一人奴隷が質問する。


奴隷「どうやって奴隷制度を破壊するつもりだ?」

キル「まず、今から行く街の奴隷たちを救出する!それと同時に動画を配信し、この世界に宣戦布告する!その後、同志を集め『奴隷解放軍』という組織を作るつもりだ!この世界の全ての奴隷を救うために、そして正義のために!俺は立ち上がる!!」


 キルは考えていた計画の一部を発表した。しかし、彼の言葉には嘘偽りが混じっていた。聞こえの良い言葉を入れ、あたかもキルの行いが正義であるかのように。


キル(我ながら調子のいい言葉を並べたな。これで一人でも捨て駒が増えればいいがな。)


 キルの真意を知らない何十人の奴隷たちがキルに協力しようとした。まだ、考える時間あるにも関わらずその場の雰囲気に流されていた。もう犠牲になった二人の奴隷のことはほとんどの人間が覚えてなどいなかった。シークレットとクリーン以外はキルが二人を殺したという事実を知っているにも関わらず。


リザ(私はまだキルを信用していない。仲間すら殺した貴様を信用してなるものか!)

キル(これほど賛同するものがいるとはな!意外とちょろいものだ。これで計画は実行できる。まずはこの世界を混乱に陥れてやる!)


 

 トラックの荷台に何人か乗せ、トラックの運転をできる奴隷に運転を任せた。一回で全員を運ぶことはできないため複数回に分けた。キルは最後に乗ることにした。まだやるべきことがたった一つ残っていたから。

 キルは焼却炉の近くの骨置き場にいた。もうどれが誰の骨か分からない。それでもキルはシンプルに誓った!


キル「シンプル、待っていてくれ。奴隷制度を、この世界を破壊して、そしてすべてを終わらせてから、俺はたとえ死んでもここへ帰ってくる!それまでお別れだな。」


 キルはシンプルに別れを告げ、最後の便のトラックに乗った。


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