23話 交差する戦場9
ゼストは奴隷兵を逃がす時間を稼ぐためにミーアたちと敵対する。ジェノサイドスレイが許せないという感情も全くない訳ではない。ゼストに残された戦闘可能時間はさほど長くはない。
ゼストの眼には敵にはかつての肉親のミーアの姿が見える。彼女の服装、状況からして戦わされている風には感じない。何よりゼスト自身と同じく覚悟を決めた眼をしていた。それはミーアから見たゼストも同じだった。互いに譲れないもののために戦場にいる。兄妹としての情など両者ともに捨てていた。
ゼスト「……ジェノサイドスレイ、終わらせる!」
ゼストはミーアに対して引き金を引きながら高速で移動し接近する。ジェノサイドスレイとして戦場にいるなら弾など牽制にすらならないと理解はしていた。少しでも近づいて手足の一本でも奪うつもりだった。
ゼストが放った銃弾は瞬時に彼女の能力で切られ、次の能力の標的がゼストになる。能力で彼を切り裂く前に彼は予期していたように空間を裂く場所を最小限の動きでかわしていく。感じる殺気と空気の僅かな流れを読み、攻撃の狙いを予測していた。そこにはミーアの性格を知っているゼストだからできたことも含まれていたかもしれない。
彼と彼女の距離は縮まり、彼にとっての有利の近距離になる。
ミーア(いつの間にこんな近くに!? 能力の狙いも定まらない! やられる!)
危険を感じていたミーアにシェリーが援護射撃を行う。それをかわすために再びゼストは距離を空ける。
ゼスト(敵はミーアだけではないな。決して数は多くはないが相当な手練れのようだ。)
シェリー「お前が不殺の悪魔か。お前によって多くの仲間が苦しめられた。廃人になった者の大勢いる。何の罪もない女子供を人質にとり心と体に大きな傷を負わせた! お前だけは許さない!」
ゼスト「何人が地獄を見ても俺はそんなことはどうでもいい。俺にとってジェノサイドスレイは許せない存在だ。」
シェリー「自分が正しいとでも思っているのか!?」
シェリー自身もジェノサイドスレイが正しいなんて思ってはいない。それでも彼女は目の前の存在を認める訳にはいかなかった。
ゼスト「正しさなんてこの世のどこにもありはしない。間違いだろうと俺は構わない。俺は俺自身のために戦い続ける。邪魔するものは全てか消し去る!」




