105話 不殺の悪魔
ゼストは全ての死体を簡易的に火葬して倒れた死神の前に立った。今は眠っているとはいえ、ゼストは今すぐ殺したい気分だった。
ゼスト(よくも数多くの人の死を踏みにじったな! お前だけは!)
死神の首を思わず掴んで絞め殺そうとしてしまう。しかし、誰も死なせないという思いが彼の行動を止めた。
ゼスト「生き地獄に堕ちろ!」
さっきの影響で目を覚ました死神の目をえぐりとる。叫ぼうとするその口を焼いて閉じる。両耳や手足もあえて激痛を感じるように引き裂いた。その上で死なさないように注射で処置を行う。
ゼスト「せいぜい苦しめ! 偽りの死神。」
ゼストは拠点の通信機でジェノサイドスレイに呼び掛ける。
ゼスト『今動ける者はさっさと地下通路から逃げるがいい。だが、再び人殺しをしようとするなら近くに転がっている連中と同じ目に合わせてやる。』
指揮系統も崩壊したうえ、死神も動けない状態ではジェノサイドスレイに選択肢などありはしない。内通者も含めた無事なメンバーたちは退却していく。
だが、地下通路に退却している最中に彼らは次々と倒れていく。通路にはゼストが仕掛けた催涙弾が仕掛けられていた。内通者もそこまでは知らされていなかった。
ゼスト「ジェノサイドスレイは逃がさない。」
倒れた彼らの目を全て潰し、ゼストは去っていった。
数時間後にはいくつもの救急車が駆けつけ、ジェノサイドスレイたちは一命をとりとめることができた。
死神とエースグ、他数名はゼストが呼んだ者に運ばれていく。彼らの行き先は研究施設だった。人としてではなくモルモットとして彼らは生かされることになった。
ゼストは隠してあった時計を出して時間を確認する。
ゼスト「時間……はもう……すぐか」
大量の汗と激痛に耐えながら古い隠れ家の地下室に入っていく。水分を摂取し、鎖で自らの体を拘束した。一日後には外れるようにタイマーをセットする。
ゼスト「後は耐えるだけだ……」
間もなくして薬で肉体と能力を強化した代償が襲ってくる。彼にとっては何度も実験で経験していた。
「あああああああああ!」
全身が裂かれる痛みと幻覚、幻聴が永遠に等しい時間続く。正気を失っているのに気絶はできない。暴れ狂い叫ぶしかできなかった。
しかし、これではあまりにも安すぎる代償だった。
二日間経ってジェノサイドスレイの内通者を従わせていた人質を解放した。人質はジェノサイドスレイではなかったが、目と手足を奪われていた。それを病院で聞いた元内通者たちはゼストに激しい殺意と憎悪を抱いた。
「許さない、言う通りに協力したのに何で娘がこんな目に!」
あの戦場では死者は出ていない。それなのに死者が出る戦場より悲しみと憎悪が渦巻くことになった。ゼストにとって死者を出さないことだけが目的だった。それ以外はいくら犠牲を払おうと構わなかった。
この戦いはすぐに世界中に広まり、ゼストは不殺の悪魔と呼ばれることになる。




