100話 絶望、降臨
エースグは作戦通りリザたちを追う。仕掛けられた罠は知っており難なく解除していく。あっという間にエースグはリザたちに追い付く。
エースグ「もう観念しろ。奴隷解放団!」
相手は一人だが、奴隷解放団は大勢いる。能力は不明だが数では圧倒的に有利だった。
リザ「あの煙も火事も貴方たちの仕業ね。」
エースグ「ああ、そうだ。煙はあの場所からここまで誘導するために仕掛けた。そして、少なからず吸った。」
あの煙は特殊な煙で吸えば時間差で体を麻痺させるものだった。
エースグ「あれは俺の能力で精製したものだ。気に入ってくれたか?」
リザを含めた奴隷解放団は体が痺れて動けなくなってくる。
リザ「やられた……」
しかし、スジュンだけが効果がなかった。スジュンはそのままエースグの隣に移動する。
エースグ「ご苦労だった。スジュン。お前が食事にも毒を仕込んでいたおかげで全てうまくいった。」
エースグの言葉に奴隷解放団全員が理解出来なかった。追い討ちをかけるようにスジュンが続けた。
スジュン「お前たちはバカだな! 俺が今までジェノサイドスレイに情報を教えていた。おかげで俺はジェノサイドスレイの一員になれる。」
リザ「嘘でしょ、スジュン……さん。」
バゲージ「仲間だったんじゃないのか……!?」
裏切り者がいることなど想定していなかった。考えれば不自然なところはあった。
リザ「信じていたのに……。」
絶望を叩きつけられた気分だった。
エースグ「スジュン、お前の役目はここで終わりだ!」
エースグはスジュンの横腹に銃を突きつけ、引き金を引いた。スジュンはその場で倒れて赤い液体を流す。
リザ「どうして仲間を撃ったの?」
エースグ「仲間なわけがないだろ! 利用して捨てるだけだ。」
エースグの合図で他のメンバーが大勢現れる。救えるはずだった、助けるはずだった奴隷たちは囲まれていた。もう奴隷解放団に動けるものもいない。信じていた者にさえ裏切られ、何も救えないまま終わる。
これは神でない悪魔に決められた運命。少し狂いはあれど全てはたった一つのシナリオ通りに進む。抗うことはできない。
そんな様子を彼らがあざ笑うかのようにこちらを見ていた。
エースグ「お前たちは後回しだ! 先に見せしめとしてこいつらを処刑し絶望させた後で殺してやる。最高だろ? それがお前たちの運命だ!」
リザ「最低!」
しかし、今の彼女には言葉を吐き捨てるくらいしかできない。その間に囲んで処刑できるように銃口を奴隷である彼らに向けた。
メンバー「これで一斉射撃すれば全て終わりです。」
一人一人に細かく指示して囲むような陣形。逃げることなど不可能であった。
もう生きることを諦める者、泣き叫ぶ者、絶望する者、奴隷たちはさまざまな思いを抱えたまま死を覚悟した。
奴隷「もう終わりだ。俺たちはここで死ぬ。でも、助けようとしてくれてありがとう。」
奴隷の一人がリザたちに感謝の言葉を伝えた。死ぬことは変わらなくても変えようと助けようとしてくれた人たちがいることが、彼にとって生きたことへの意味だとも思えた。
リザ(どうして!? どうして私は誰も救えないの!?)
彼女は感謝よりも彼らに生きて欲しかった。救いたかった。
リザ「誰か、彼らを助けてよ!!」
リザはこの絶望の中で叫んだ。誰にも届かにと知りながらそれでも希望を求めた。
エースグ(絶望したまま死んでゆけ! 奴隷ども!!)
エースグ「撃て!」
その言葉とともになるはずの発砲音はならず、代わりに上空から煙幕が周囲を覆い尽くす。その煙幕が原因かは不明だが大きな音が鳴り響く。その状況に同然困惑する。
ゼスト「間に合ったようだな。あの時の借りを返しに来た、奴隷解放団。」
煙幕の中から現れたのはゼスト・アライブ。ロケットに乗って空から舞い降りてここに来た。
今までは運命ごときに翻弄されてきた。しかし、今回は運命を作り出す者としてこの場に立つ。
ゼスト「救ってみせる! 今度こそ!!」
お読み頂きありがとうございます。沢山の読者のおかげでここまで書くことが出来ました。これからも頑張って投稿していきます。




