贈り物
ユキは嬉しそうに紙袋を差し出した。
「玲志様、こちらつまらない物ですが!」
「贈り物で爆笑モノを選ぶ奴はいないでしょー!」
雨宮紬が横から口を挟む。
「黙ってろクソ女」
玲志はため息を吐きながら袋を受け取った。
思ったより軽い。
首を傾げながら中身を取り出す。
一枚の紙だった。
「……なんだこれ」
「婚姻届です!」
数秒の沈黙。
次の瞬間、紬が机を叩いて笑い始めた。
「待って待って! 全然つまらなくないじゃん!」
「証人欄なら私が書いてあげるよ!」
玲志は無言で婚姻届を真っ二つに引き裂いた。
「あーあ。可哀想」
紬が楽しそうに肩を竦める。
しかしユキは全く気にした様子がない。
むしろ感心したように頷いていた。
「なるほど!」
「奥さんにするより、可愛いからペット扱いしたいという事ですね!」
「嬉しいです、玲志様!」
玲志は天井を見上げた。
「無敵かこいつ……」
心の底から疲れ切った声だった。
そんな玲志をよそに、ユキは今度は別の袋を紬へ差し出す。
「あ、雨宮さんにはこちらです!」
「お、ありがとう」
紬は興味津々で中を覗き込む。
「中身は――」
取り出した瞬間、動きが止まった。
「首輪?」
「自分が貰って嬉しい物を贈るべきだと思いまして!」
ユキは満足そうに胸を張る。
「でも雨宮さんに似合う物を探すのは大変でした!」
紬は首輪を眺めながら苦笑した。
「普通は相手が喜ぶ物を選ぶんだよ?」
「喜ばないんですか?」
ユキは本気で不思議そうな顔をする。
「付けたら可愛いと思いますよ?」
「いやぁ……」
珍しく紬が言葉に詰まった。
ユキは追撃する。
「絶対可愛いですよ?」
紬は頭を抱えた。
「もうヤダー……なんで私の周りってこんなのしか居ないのー」
すると玲志が即座に返した。
「それは俺も思ってる」
「なんでこんな上司なんだろうなって」
紬の笑顔が固まる。
「酷くない?」




