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洞窟探索 最終回後編

まだ何か言おうとするアイミ。無理するなっての。

泣き止んだと思ったらおかしなことを言いだした。

「私やっぱり正々堂々と戦いたい」

「はあ? 誰と何の試合? 」

「だからミライさんと直接戦って海を奪い取るの! 」

ダメだ。理解が追いついてないらしい。

それが不可能だから絶望してるんだし心中の真似事もしようとした。

いくらアイミが馬鹿でもそれは俺の神経を逆なでする行為。分からないのか?

決して許されない。俺はよくてもミライに悪い。できるなら苦労してないさ。


「どう言うことだよ? きちんと説明してくれアイミ! 」

ない希望に縋る。そんな俺はどうかしてる。

「だから会いに行こうよ海。ミライさんの棲む世界に! 」

簡単に言ってくれるぜ。さすがアイミだがそれでも僅かながらの可能性を夢見る。

やはりアイミは簡単に考えてるんだろうな。いやまったく何も考えてないのかも。

それができるなら悩んでない。今すぐにでも出発してるだろうさ。

アイミにいくら説明しても納得しようが意味がない。空しいだけ。


「できるなら結婚でも何でもしてやる! 」

おっと我慢の限界。自分ですべての可能性を捨てる暴挙に出る。

どうしたんだろう? やはり余裕がないからか?

当然本気ではなく勢いに任せて口に吐いた言葉。だがアイミは真に受ける。

「言ったわね? だったら招待してもらいましょうか。さあこっちよ! 」

まさか本気なのか? 不可能が可能になる? そんなことあり得ない。

アイミにより僅かばかりの希望の光が見えた。もちろんそれは勘違いによるもの。


「おいどこに行くんだよアイミ? アイミってば! 」

「もう夜は遅いから。今夜は鶴さんの家に戻るの」

そう言うと無理やり引っ張っていく。

どうやら明日が勝負らしい。


すぐにミモリが姿を見せる。後ろには陸と希ちゃんの姿も。

「おお無事だったか? それから海もよくやった! 」

まさかミモリからお褒めの言葉を頂くとはね。

「済みませんミモリさん。俺結局何もできなかった。ミライを救えなかった」

後悔の言葉を口にする。

「ほら無理しないでね海」

本当にアイミは献身的だ。まるで希ちゃんのようだけど違う。

二人は明確に違う。違うのになぜか似てきてしまう。


急いで戻る。

これで少しは気持ちよく寝れそうだ。

ついに明日運命の日を迎えることに。

これでいい。準備万端。さあ洞窟に向けて出発!

ミモリと鶴さんは不参加だそう。当然そうだよな。


ついにあの禁断の地を目指す。


翌朝洞窟へ向かう。

先頭を陸に希ちゃん俺で最後にアイミがついて来る。

さあここから果てない旅が始まる。

昨日までのことは一旦忘れて冒険の旅に踏み出そう。


希ちゃんは何だかぎこちない。

遠慮がちにこちらを見て決して目を合わせようとしない。

仲間を巻き込んであれだけの騒ぎを起こしたからな。

きっと失望したんだろう。言葉もない。


「離れろって! 」

後ろからアイミが引っつくから暑くて仕方がない。

「ほら恥ずかしがらない。私たちの仲でしょう」

さっそく昨日のことを持ち出す。それを言われると弱い。

「おい陸! どうだ? 」

「そろそろ見えて来たぞ。どうする? 」

「入るぞ! 」


洞窟入り口。

ここまでの詳しい地図を異能に書いてもらい迷わずにやって来た。

昨夜鶴さん宅に戻る前に頼み込んだ。抜かりはないさ。

今のところトラブルらしいトラブルはなく拍子抜けするほど順調。

まだ昼だからな危険は少ないのだろう。


「よし皆入ろう! 」

指示を送るのは俺の役割。きちんと一発で分かるように大声を張り上げる。

元気に振る舞うが本当は限界ギリギリ。どうにか立ってる状態。

間違いなくアイミのお陰。感謝しなくては。

うっとうしく寄りかかるのは我慢しよう。


「いいか? 運がよければ俺たちはミライの世界まで行ける。

昔は繋がっていた。洞窟からも行けるんだからな。さあ恐れずに行こう! 」

気持ちを強く進もうとするが一歩が中々踏み出せない。


まずは一本道。そこには当然奴らがいるはずだ。

俺の隙を突いて集団で襲って来る吸血鬼。コウモリだ。

きゃあ!

アイミが狙われた。急いで屈むように指示するも無意味。

奴らは集団で襲い掛かって来た。


「きゃああ! 海どうにかして! 」

そう言って抱き着いて来る。

「やめろ! 俺はコウモリが苦手なんだよ! 」

「馬鹿何やってるんだ! 急いでこっちへ! 」

石を投げて混乱させてから陸のところまで走る。

こうしてどうにか第一関門を突破。


「ねえこの音って水? 」

冷静な希ちゃんが前方にある泉を発見。

ここで一旦休憩。

「ねえ海。まっすぐの道だよね。他に行き方はないの? 」

「ああ。序盤の序盤だからな」


「ちょっと見て来るわ」

そう言って陸が泉に飛び込むが一分もせずに騒ぎ出した。

「おい手を! 」

よく考えれば奴は泳げないんだった。まったく少しは考えてくれよ。

どうする? ここから以外に道は通ってないよう。

うーん。対策を考えることに。


「そうか! 確かにここからは無理だ。でも違う入り口ならどうだろう? 」

「うん。海冴えてる! 」

こうして別の入り口を探すことに。


昼も過ぎ二時となり暑さもピーク。急がなければ。

「おいあったぞ! 」

執念で探し当てる陸。どうも入り口を土で固められていた。

それを素手で引っ掻きながらどうにか人が通れるまで剥がし落とす。

凄いな陸の奴。手を怪我してないか?

  

「さあ行くぞ! 」

今度は一本道を曲がり角まで。

問題はここから。五つに枝別れしている。

「よしこっちだ! 」

陸の勘を信じて後を追いかける。

進むとすぐに道がなくなっていた。どうやらここは違うらしい。


そうやって三か所ほど行ったり来たりを繰り返しようやく曲がり角。

多数決で左に行くことに。

だが道がなくなってしまう。急いで右に。


最後の道は徐々に狭まっていきこのままでは陸は抜けられない。

俺だって危ない。もし嵌ったら抜け出せないかも。

「おい誰か? 」

陸が挟まりそうになる。

「ふう助かったぜ! 」

陸を助け出し事なきを得る。


結局先へ進むことは叶わなかった。残念だが諦めが肝心。

話し合いの結果引き返すことに。こうして無駄な一日を過ごす羽目に。

本当についてない。と言うよりそう簡単ではなかったらしい。


「きゃあ! 虫! 虫! 」

希ちゃんとアイミが騒ぎ出す。

「うん。でっかいな! 」

得体の知れない虫をためらうことなく素手で掴む。

さすがは陸。頼りになるな。でも素手は危険だよ。毒があったらどうする?

陸が持ったままふざけて追いかけ回すから逃げる羽目に。


「おいやめろって! 」

その騒ぎで三十分は無駄に使ってしまった。

案の定アイミからビンタを喰らい大人しくなる陸。

本当に迷惑な奴だ。


「帰るか」

洞窟に二時間。陸の悪ふざけで五時近くになった。

これ以上ここにいても無駄。暗くなる前に戻るとしよう。

まだ時間はあるんだ。最後まで諦めて堪るか。


                 エピローグ前編に続く

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