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告白! 最終回前編

アイミは真剣そのもの。

俺だって…… 気持ちが揺れ動いている。


「ははは…… 元気になったよアイミ。でも少しやり過ぎじゃないか」

俺を救ってくれたのはアイミだった。だからって気持ちが揺れ動くものか?

あまりに単純な自分が情けなくなってくる。


なぜ拒絶しない? 今さっきまでのミライへの想いは何だったのか?

とんでもなく軽薄で間抜け。自分自身を嫌悪さえする。

俺にはミライしかいないとあれほど泣き喚いたと言うのに。

その舌の根も乾かないうちにアイミへ傾く。


それだけアイミの変わりように衝撃を受けてる訳だが。

どうせその内ボロを出すと思っている。あのアイミだから。

ほら今にも大笑いして雰囲気をぶち壊す。それが今までのアイミ。

だがなぜか今のアイミは違う。落ち着いていていつもとは決定的に何かが違う。

何が違うかまでは分からないが俺と同様変化するだけのことがあったに違いない。

成長したのだろう。それは俺には分からないし彼女自身にも分からないと思う。

俺への強い強い想いと深い愛がそうさせるなら素直に感謝しなくてはな。

だとするとやはり俺はアイミに向き合わなけばならない。


「ごめんね海。私あなたの気持ちが分かってあげられなくて…… 」

そう言うとしくしく泣きだす。うん演技派だ。そこまでする?

「いいんだ。でもごめん。今の俺は脱け殻さ。アイミの想いに応えられない。

結局お前はどうしたいんだ? 」

これ以上下手な演技をしてもらいたくない。


確かにアイミは好きさ。でもそれはサマー部の仲間として。

一人の女性ではなく仲間の一人としてだ。

だからどうしても想いに応えてやれない。

大体すべてを受け入れてくれるのか?

ミライを待ち続ける俺をどうやって受け入れると言うんだ?

もう冗談はそれくらいにして欲しい。

無理なのは分かり切ってるじゃないか。


「そうだ。陸は? 希ちゃんは? 」

なぜアイミだけなのかが気になる。途中ではぐれた訳でもあるまいし。

「分からない。二人とも姿を消した。だから今私たちは二人きりよ」

おかしな誘惑を始めるアイミ。それは見れば分かること。

この真っ暗闇を見渡しても誰もいやしないし気配だってない。

まるで俺たちが別世界に取り残されてしまったかのように静かだ。


一人だと孤独に押し潰されそうだがアイミがいてくれるから安心だ。

しかもいつも以上に優しく包み込んでくれる。

戸惑いはあるがそれでも何と言うか感謝している。

それだけにアイミを傷つけたくない。

ただ俺を慰めても復活させても俺がアイミに振り向くことはない。

ミライを忘れない限りあり得ないこと。


「だから俺にはミライがいるんだって! すべてを捨ててミライだけを見ている。

もう俺に構わないでくれ! 俺はお前を傷つけたくない。

どうしてこの気持ちを理解してくれないんだ! 」

酷いよアイミ。もうこれ以上はやめてくれ。

気持ちはありがたいが優しくされればされるほど辛くなってしまう。


「アイミ! 」

「ごめん海。でも今でも好きなの。その想いは変わらない。

あなたから告白されてからわたしはずっとあなただけを見て来た。

だから少しぐらい期待に応えてもいいでしょう? 」

無償の愛ではなく見返りを求めて来た。アイミは本当に強引だな。

だからって応えられるか! 応えられる訳ないだろう!


どうしてこうなった? アイミは本当におかしい。

いつものアイミじゃない。そもそもあんなに優しく寄り添うような人間じゃない。

どちらかと言うと陸同様うるさくて迷惑なタイプで本来なら希ちゃんが相応しい。

だが希ちゃんは俺を見捨てたのか姿を見せない。


「お願い! 抱きしめて! 」

遠慮するはずもなくどんどん要求が増えて行く。

そうこれが本来のアイミの姿。図々しくて自分勝手。

俺が注意したところで変わらないアイミの本性。

でもどうやら今回は本気らしい。躊躇うも彼女の情熱にやられてしまう。

手を繋いだのが痛かった。彼女の温もりを感じてしまった。

すべてを失った。すべてを犠牲にしミライと向き合った。

でもアイミは俺を欲する。だからこれくらいはいい。

腕を取ると堪らずに思いっきり抱きしめる。


「ミライ…… 」

つい漏れてしまう。まさか代わりに抱きしめるとはな。

酷いよな。身代わりなんだぜ。人間の屑さ。

決して触れないし抱きしめることもできないミライ。

そのミライの代わりにアイミを抱きしめる。

やっていいことではない。あまりに屑過ぎる。俺は最低だ。

それでも止めることができない。

抱き寄せて愛を囁く。そしてついに接吻。

もう止まりそうにない。


「海? 」

「ミライ…… いやアイミ。俺はお前が…… 」

「待って! 」

告白しようとしたところをアイミが遮る。

「どうしたんだよアイミ? 今更嫌がることはないだろう? 」

「分かってる」

「ならどうして? 」

ついアイミを追及してしまう。でも悪いのは明らかに俺。

ここは気持ちの整理がつくまで大人しく待つしかない。


「ミライさんの代わりに告白されるのは嫌! 絶対に嫌!

この旅も本当は嫌だった。でも海を助けるためだから。

そして旅の果てにミライさんと別れた。それでも未練がある。

だから私をミライさんの代わりに。

それも本当は嫌だけどでももう二度と会えないならと好きにさせた。

だけど何だか罪悪感があるの。ミライさんに悪い気がして。

あなたたちは決して別れたくて別れたんじゃない。

別れたくなくて心中の真似事までした。そんな二人の関係を邪魔できない」

邪魔できないと興奮するが理解してるのか? もう二度と会えないんだぞ?

邪魔してるのはアイミじゃない。この世界そのもの。



「何を言ってるアイミ? 気持ちは嬉しいけど邪魔も何もないだろう。

それに心中の真似事? そんなことした覚えないが。ははは…… 」

苦笑いでごまかす。

一言だって語ってない。再会して間もないのにどうやって知り得るんだよ? 

「嘘? ミモリさんが二人は心中するかもしれないって…… 」

「バレバレか。さすがは経験者。俺の気持ちが手に取るように分かるってか? 」

「そんな言い方しなくても…… でも海は実際どうなの? 」

「ああやったよ。今更隠す必要もない。でも提案しただけ。

ミライにあっさり断られた。俺たちにはまだ未来があるとさ」

「やっぱり…… 」

心配して大泣きを始める。だから泣きたいのはこっちなんだって。

どうしてそこまで親身になってくれるんだ?

やはりアイミの愛は本物なのか? だが応えられるはずないだろう?


「それでね…… 」

まだ何か言おうとしてるよ。無理するなっての。

泣き止んだと思ったらおかしなことを言う。



               最終回後編に続く

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