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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第2章 剣聖ホーリスと風の射手アルチェの救国

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第94話 謁見②

「ベント殿、続きを」


 コミス伯爵に促され、ベントは説明を再開した。


「私には技術的知識がありますが、それを形にするには設備が必要となります。そして不法入国者である私には、そのツテを作ることは難しいはずです。だからシエンスは私をウィルド王国に出しても問題ないと判断したのでしょう。それに近い将来、ウィルド王国はシエンスのものになる公算ですので」


「なにっ!? それはどういうことだ?」


 ベントはシエンス共和国が(くわだ)てている侵略計画についても包み隠さず話した。


 資源枯渇問題を解決するためにウィルド王国に侵略し、その領土をシエンス共和国のものと画策していること。


 その手段として投核弾なる大量破壊兵器の開発を進めていること。


 表立っては言っていないが、戦争の大義名分のもとに人口を減らしたいという思惑があること。


「信じられん……。シエンス共和国は民主主義国家だろう。殺戮も民意だというのか。シエンス人は合理性を突き詰めすぎて人の感情を失ったか」


「シエンス共和国は民主主義の皮をかぶった組織的独裁政治をする国です。利己主義的な権力者たちが自分たちの地位を盤石に固め、まっとうな民意すら情報操作でねじ曲げてしまうのです」


 この惑星には大国はシエンス共和国とウィルド王国の2国しかない。


 他国の目を気にして体裁を(つくろ)う必要がないのだ


 いわば天秤。少しでもパワーバランスが傾けば、限界まで傾く。


 シエンス共和国はその限界点を目指して、粛々と科学技術を独占し、発展させてきた。


「人口を減らしたいのであれば、シエンスは降伏も受け入れまいな。どうしたものか。投核弾が投下されれば、この王城すら一瞬で消し飛ぶのだろう? 打つ手がない。余の手にも余る……」


 ウィルド王は頭を抱えた。ひたいに押し当てた手が、サンバイザーのように目元に影を落としている。


「ご安心ください。その対策をここにいるベント殿が進めているところです」


「ほう、まことか!」


 ウィルド王は立ち上がった。

 おもむろに小階段を降りてきてベントの正面に立った。


「はい。投核弾に対処するための秘策があります。ただ、いまはその具体的方法については伏せさせていただきます。シエンスは観測技術が優れているので、その情報が漏れたら一巻の終わりですから」


 ウィルド王がコミス伯爵を一瞥(いちべつ)すると、コミス伯爵は真剣な眼差しでうなずいてみせた。


「その方法については私も聞いておりません。シエンスのことを熟知するベント殿の言うことです。信じましょう」


「うむ。わかった。だが、投核弾を防いだとて、そのあとに直接の進軍もあるのではないか?」


 ウィルド王は今度はベントを見ている。


 シエンスに関する有識者として、ベントは予測を述べた。


「あるでしょうね。それについては全ギルドの勇士たちで迎え撃つしかないと思います。もちろん、こちらが有利になるよう私もできる限りのことはしますが」


「うむ」


 ウィルド王はしばし目を閉じ、そして次に目を開けたときには、よりいっそう強い光を宿していた。


「ベント殿、ウィルド王国はそなたへの援助を惜しまない。費用は出せるだけ出そう」


「ありがとうございます。いまのところじゅうぶんにまかなえていますが、もし必要になればお願いします」


 ベントの返答にウィルド王は一瞬だが面食らったような顔をした。


「そうか。出資の代わりというわけではないが、国からの誠意として、戦争に突入した際にベント殿が自由に動けるよう便宜を図ろう。具体的には、騎士爵に相当する何らかの特別な爵位を用意し、それを授けるつもりだ」


 騎士爵相当ということは、準貴族になることを意味する。


 しかし、ベントに与えられるのは騎士爵ではない。ベントだけのために新設される新たな爵位である。


 ウィルド王によると、それは戦争に突入した際には全戦力の指揮権を有し、その際の権威は王に次ぐものにするということだった。


「たいへん光栄に存じます。必ずやシエンスを撃退し、そのあともウィルド王国発展への貢献に努める所存です」


 ベントはウィルド王の差し出した手を握った。

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