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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第3章 ウィルド王国と勇敢なる戦士たちの救世

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第155話 最終防衛ライン②(北軍・グイルSide)

 そして、2度目の爆弾投下。ふたたび轟音と爆風が地上を駆け巡る。


 グイルはすがりつくようにロボットの胴体に手を触れた。


「――ッ!」


 グイルは反射的に手を引っ込めた。ロボットの装甲が熱かったのだ。


 白かった装甲は黒く焦げついていた。その光景と爆撃機のゴーッという飛行音に恐怖心を煽られる。


「隊長……このロボット、あと何回耐えられるんですか?」


「わからん……」


 ティムが顔を青くしていた。


 そのとき、ふたたびフォンに爆撃機の折り返しが報告される。


 東側の空では爆撃機たちが旋回してこちらに向かってきていた。


「もう……無理です!」


 ティムが風を切って駆けだした。


「あ、おい!」


 ティムがウィルド平野を西方へ、ウィルド王城がある方角へと走っていく。


 グイルはとっさに彼を追いかけた。


 このままでは爆風に晒されるし、生き延びたとしても爆撃機をウィルド王城に誘導してしまう。なんとしても止めなければならない。


「ティム、戻れ! 大丈夫だから!」


 なかなか追いつけないグイルだったが、どうにかティムの肩に手をかけた。


 しかし、もういまからは戻れない。爆撃機が近くまで迫っていた。


「ごめんなさい。ごめんなさい!」


 ティムは泣いていた。うつむいた顔からポトポトと落ちた涙が地面に吸い込まれている。


「いいんだ、ティム。君はこの戦場に立っている時点で勇敢だ」


「隊長……」


 ティムはグイルの大きな胸板にすがりついて泣きじゃくった。


 グイルはそんな彼を強く抱きしめた。


「俺の体は大きいが、ロボットほど強くはない。だが、ないよりはマシだろう。このままじっとしていろ」


 爆撃機の飛行音がいよいよ近くなって、グイルはそちらに背を向けた。


 いよいよ、そのときが来る。


 そして、鳴り響く爆音。


 それは空からだった。


 グイルが空を見上げると、爆撃機が煙を吹きながら高度を下げていく。


「隊長、お待たせしました! 北軍後衛・エルフ隊、到着しました!」


 グイルとティムを救ったのはディーアだった。


 彼女のうしろには大勢のエルフたちが矢を弓につがえて空に狙いを定めている。


 そして、それはいっせいに放たれた。


 大きめの矢尻を備えた矢が大量に空へと昇っていく。


 あるものは下から直撃し、あるものは放物線を描いて上から刺さり、それらが爆撃機に触れた瞬間、大きな爆発を引き起こした。


「おお、すごい威力だな」


 彼らが使う矢の矢尻は爆弾になっている。


 これもベントが作ったものである。


 その危険物を運ぶために慎重になり、彼らは遅れてきたのだった。


 矢に撃たれた爆撃機は高度を下げていき、墜落した瞬間に爆発して自らの抱えていた爆弾を在庫処分した。


「うわっ、あっちのほうが威力すごいです」


 遠方とはいえ爆発の威力は高く、飛んできた風がグイル、ディーア、ティムの髪やケープを激しく揺らした。


「マスター、聞こえますか?」


 グイルのフォンにホーリスの声が入った。


「ホーリスか。後衛が到着した。爆撃機は全機撃破したぞ」


「はい。こちらからも見えていますし、フォンでも聞こえていました。それより、敵ロボットが新たに出現しました。数は30です」


「そうか……了解した!」


 グイルはフォンを北軍全体でつなぎなおした。それから前衛を北軍の待機位置に呼び戻して合流した。


「師匠、お待たせしました!」


「ディーア、エルフのみんな、よく来てくれた!」


 ディーアとホーリスが手を振り合い、再会を喜んでいる。


 そんななか、グイルが咳払いを入れてメンバーに傾注させ、これからの方針を伝えた。


 前衛はかなり消耗しているので、新たに現れたロボットにはエルフ隊に応戦してもらうことにした。


 爆弾矢は大量にある。


 ロボットたちは無駄撃ちを避けたいのか、かなり近づかなければ撃ってこないので、射程に関してはエルフ隊に()がある。


「敵はロボット30機だが、その後も戦力を追加投入してくる可能性がある。エルフ隊は常に矢の在庫を確認すること。前衛部隊は水分やエネルギーを補給し、次の戦いに備えよ」


 ロボットたちは着々と前進してきているが、接敵までには少し時間がある。


 ディーアがホーリスに駆け寄り、改めて挨拶をした。


「師匠、エルフはウィルド王国の一員として国を守ります!」


「うん。よろしく頼む!」


 赤色の髪と紫色のケープ、緑色の髪と赤色のケープ。


 それぞれを穏やかな風にそよがせながら、ふたりは固い握手を交わした。

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