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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第3章 ウィルド王国と勇敢なる戦士たちの救世

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第156話 天からのアドバイス(南軍・ベントSide)

 ベントはモニター越しに奇妙な光景を見つけ、ズームしつつ、すぐにフォンで南軍の主要メンバーにコールした。


 主要メンバーとは、軍隊長のカリナーリ、前線部隊長のジオス、それからカリナーリのそばに控えているバーキング幹部3人衆である。


「ベントちゃん、何か用? いま舌鼓(したつづみ)を打っているところなんだけど、邪魔しないでくれる?」


 やけに強弱のある声が、フォンから蛇のようにヌルヌルと耳に入ってきた。


 声の主の正面には、長テーブルの上で仰向けになった右眼帯の肥満男がいた。彼の大きな口が即席麺の器にされている。

 さっき、カリナーリはそこからすくい上げた麺をすすっていた。


 ベントはカリナーリの申し入れを無視してジオスに命令した。


「ジオス、寝ているやつの鼻をつまみなさい」


「お、おう……」


 ジオスが長机の上で仰向けになっている肥満男の鼻をつまんだ。


「んぐっ…………バフォッ!」


 肥満男は口の中の液体と麺を盛大に吹き出した。


 自分の主人にかかってはいけないと思ったのか、カリナーリとは反対方向に顔を逸らした結果、ジオスの顔に黄色いネットリしたものがかかった。


「ゲホッ、ゲホッ! オェッ!」


「おい……」


 ジオスが加害者を見下ろして低い声を落とす。


 だがそのジオスに対し、カリナーリが低い声をぶつける。


「『おい』はおまえだよ、ジオス。ボクちんがいっちばん嫌いなのって、調理と食事の邪魔をされることなのよねぇ!」


 カリナーリの顔が怒りに(ゆが)みすぎてしわくちゃになっている。


 さすがのジオスも恐怖のために怒りが吹き飛んだようで、勢いよくのけぞって尻餅をついた。


「いや、俺は命令されただけ……」


 一瞬の沈黙を挟み、カリナーリが首をカクッと曲げて天を見上げた。


「ベントちゃん、ひどいじゃない。まだひと口しか食べてなかったのに」


「ひどいのはあなたの趣味ですよ。もう少し品性を大事にしなさい」


 ベントの言葉を受けてカリナーリが反論しようとしていたが、ベントはそれに被せて別の人物に呼びかけた。


「それより、太っちょさん」


「なで肩のストロキンです」


 なで肩のストロキンは口元をそでで(ぬぐ)いながらのっそりと起き上がった。


 彼も天を仰ぎ、ベントが用件を口にするのを待った。


「あなたはさっさと参戦してください。すきっ歯さんと鷲鼻さんと3人でエアバイク改に乗って爆撃機を撹乱してきてください」


「はーい」


 なで肩のストロキンはエアバイク改の方に駆けていった。


 すきっ歯のギャットと鷲鼻のイーゴルもエアバイク改に乗ったまま彼についていく。


 やがて3人は爆撃機が迫りくる東の方角へと走っていった。


 ベントはズームアウトしてモニターにウィルド平野の南部全体を映し出した。


 西側の3つの緑の点と東側の10の白い点が接近していく。


 固まっていた緑の点が散開し、蛇行してから東側へと抜けた。


 白い点はそのまま西側へ直進する。


 両者の間で10の爆発が起こった。


「こちらギャット。すべての爆撃機を反応させることに成功しました。しかし爆撃機は直進。こちらもすぐに追いかけます」


 報告どおり、白い点は直進している。


 エアバイク改の3人の役割は爆撃機に無駄撃ちさせて弾切れを起こさせることだったが、爆撃機は人の多い南軍待機位置に狙いを定めたようだった。


「こちらベント。エアバイク改では爆撃機には追いつけないので待機していてください」


 ベントがそう伝えると、半ば被せ気味に甲高い声が割り込んできた。


「ちょっと、ちょっとぉ! あいつらにやらせたことは意味がなかったってこと!?」


「いえ、爆撃機に再装填させるぶん、多少の時間稼ぎはできたと思います」


「時間稼ぎになんの意味があるの! ボクちんたちは無防備なままなんだけど、どうすんのぉ!?」


 カリナーリにもエアバイク改はあるが、さすがにひとりだけ逃げるという選択肢はないらしい。


 もし彼が逃げたら自分のギルドの勇士たちを失ってしまう。軍隊長としてよりもマスターとして逃げられないだろう。


「あなたたちにできることは、ただひとつ……」


 ベントにはモニター越しに南軍全体が見えているため、これからどうなるかを予測することができる。


 いろいろと脳内処理をしながら話しているため、少しもったいぶるような話し方になっていた。


「それは、なぁに?」


 カリナーリは相変わらず抑揚の激しいしゃべり方をするが、彼にしては珍しく期待と不安が入り混じったような声だった。


「天に祈ることです」


「はぁあああ!?」


 さっきの高音とは打って変わって強烈なダミ声が流れ込んできた。


 ベントは構わずウィルド平野全域が映るまでズームアウトし、北軍と中央軍の状況を確認した。


「あ、大変!」


 リゼがベントの隣で大声を発した。


 彼女の視線は中央軍に釘付けになっている。


 ベントの視線も彼女と同じものを捉えた。


 南軍に構いすぎて、ほかの軍のフォローが(おろそ)かになってしまっていた。


「カリナーリ、私は忙しいので、あとはお任せします。それではご武運を」


 ベントはすぐに中央軍の危機的状況に対処すべく、思考を切り替えた。


「ちょっと! 大変って、何が!?」


「ディスコネクト」

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