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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第3章 ウィルド王国と勇敢なる戦士たちの救世

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第154話 最終防衛ライン①(北軍・グイルSide)

 サーフェの勇士たちが戻ったおかげで、ホーリスやグイルも休息でき、前衛、後衛ともに60機の敵ロボットすべてを撃破することに成功した。


 グイルは前衛部隊に後衛部隊と合流させ、北軍全員にフォンを切断して体を休めるよう指示を出した。


 北軍勝利。


 グイルはその余韻に浸ることもなく、フォンで他軍の戦況を確認しようとした。


 だがそのとき、どこからともなくゴーッという耳障(みみざわ)りな音が聞こえてきた。


「マスター、あれを見てください!」


 ホーリスが東方の空を指し示す。


 その先にあったのは飛行機だった。数は10。


 ウィルド王国に飛行機は存在しないので、間違いなくシエンス共和国から送り込まれた敵である。


 グイルはベントにフォンをつなごうとしたが、すでに通話中のようでつながらなかった。


「マスター、ベント殿に連絡はつきましたか?」


「いや、つながらない。ベント殿のことだから対処はしてくれているはずだ。いまはベント殿を信じてこの場を乗り切るしかない」


 グイルもホーリスも、敵が戦力として飛行機を投入してくる可能性についてはベントから聞いていた。


 シエンス共和国が保有する飛行機のうち、戦闘用は2種類。


 射撃機と爆撃機である。


「マスター、あれはどちらでしょう?」


「一定高度を保ってこちらに向かってくるから、おそらく爆撃機だろう」


 グイルの言うとおり、飛行機は北軍の待機位置に近づいても高度を下げなかった。


 爆撃機という予想は当たっていた。


 グイルはふたたび各員にフォンをつなぎ、指示を出した。


「各自、倒れたロボットの陰に隠れろ! 着弾地点を見極めて、ロボットの装甲を盾とせよ!」


 勇士たちは全速力でロボットの元に走った。そして上空を見上げ、飛行機の位置を確認する。


 みんな生き残るために必死だった。


 だが、冷静に対処すれば確実に生き残れる。


 それはベントが爆撃機の性質を詳細に伝えていたからである。


 迫りくる爆撃機はベントが言ったとおりの飛び方をしていた。


 10機の爆撃機は互いに大きく距離を開けて飛んでいる。それゆえにロボットを盾にしてひとつの爆弾を(しの)げば生き残れる。


 また、爆撃機は風も考慮したうえでロボットに直撃させないよう爆弾を投下するので、直前までどこに隠れるか判断がつかないということもない。


「近くにいる者はここに来い!」


 グイルは声を張りあげてからロボットの陰に隠れた。


 呼びかけに応じた何人かの勇士が便乗する。


「あの、隊長、このロボットで本当に爆弾を凌げるんですか?」


「大丈夫だ。投下される爆弾の威力は高くはない。威力はロボットの装甲を破壊しない程度に抑えられているからな」


 サーフェの勇士にそう答えるグイルもベントからそう聞いただけであり、それ以上の根拠はなかった。


 もはやベントの言葉に北軍全員の命を預けている状態といえる。


 それでも隊長であるグイルが部下を不安にさせるようなことを言うわけにはいかない。一度きりの伝聞を自分の知識として自信満々に言わざるを得ないのだ。


 ただ、ベントに対しては絶大なる信頼があった。だからグイルの表情にかげりはなかった。


「来るぞ! 全員、ロボットに体を寄せろぉ!」


 そしてついに爆弾が投下された。


 勇士たちは着弾の瞬間をいまかいまかと待ち構える。


 そして、着弾。


 瞬間、まるで雷が隣家に直撃したような轟音が響き渡った。


 直後、ロボットと地面を激しく揺らしながら頭上を暴風が駆け抜けた。


 爆撃を凌ぐことに成功し、グイルは大きく息を吐き出した。


「爆撃機、折り返してきます!」


 誰かがフォンを通じて報告してきた。


 通り過ぎた爆撃機が1機、ふたたび北軍の勇士たちの元へ飛んできていた。


 尾翼を見せていたほかの爆撃機たちも遠くでゆっくり旋回している。


「大丈夫だ! さっきと同じように対処しろ!」


 グイルは近くの勇士をともなって、ロボットの反対側に回った。そして身を屈める。


「たいちょおぉ……」


 隣の勇士が目に涙を浮かべてグイルに視線を注いでいた。


「君、名前は?」


 グイルが名前を訊くと、彼は下を向いて視線を右に左にとせわしなく動かした。


「僕は……あの、その……ティム・ティーディ……です……」


 黒い直毛がペッタリと貼り付いた頭は、彼の委縮した心を表しているようだった。


「ティム・ティーディか。弾はいずれ切れる。大丈夫だ」


 グイルはティムの両肩に手を置いて自身の熱を送り込んだ。


 ティムはコクリとうなずいた。

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