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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第3章 ウィルド王国と勇敢なる戦士たちの救世

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第153話 超硬装甲②(中央軍・セルフィートSide)

 セルフィートの視線の先にあるのはキャタピラーガードだった。そこがドリル戦車のパーツのなかでもっとも弱そうに見えるのだ。


 セルフィートが槍を構えると、ギレスがドリル戦車から離れた。


 レーザー・ランスに青い光が灯る。


「はあっ!」


 セルフィートがキャタピラーガードの端に向かって真横から槍を振る。


 ――カンッ!


 鋼鉄の装甲は槍の穂を受けとめた。

 よく見ると青い光の触れた部分が赤熱して熔けているが、そのスピードはあまりにも遅かった。


「おいおい、マジかよ。ベントが作った武器でも斬れねーのかよ」


 ギレスが天を仰ぎつつ左手でひたいを押さえて嘆いた。


 ウォルグは沈黙している。


 セルフィートは槍を引いて青い光を消した。


「これはてごわいな。弱点を探そう」


 セルフィートはドリル戦車の周囲を歩き回り、じっくりと観察した。


 キャタピラーとガードの間にはほとんど隙間がない。巨大ドリルと車両の隙間も同様。


 車両後部には何もない。無人兵器なので入口も存在しない。


「どうだ、攻略の糸口は見つかったか?」


 ウォルグの問いかけにセルフィートが顔を上げる。


 そこで彼女の目がグラビティー・ハンマーに留まった。


「ああ、いま見つけた。ウォルグ、そこを代わってくれ」


 セルフィートが車両上部に飛び乗り、ウォルグがハンマーの重量増加を解除して得物を引き上げた。


 セルフィートがふたたび槍に青い光をまとわせ、それを車両上面に突き立てる。


 当然ながらカンッという抵抗音が響くが、彼女はそのままの姿勢を維持した。


 じわり、じわりと鉄が熔けていく。


 槍がゆっくり、ゆっくりと沈んでいく。


「これくらいか……」


 セルフィートが槍を引き上げた。


 ウォルグが彼女の隣に来て覗き込む。


「おい、途中じゃねえか。あのまま続けていたら貫通しそうだっただろ」


「いや、あれ以上は槍が熱に耐えられん。あの青い光は槍の穂の部分には触れないようになっているが、熔かした鉄のほうが穂に触れてしまう。熔解した鉄に加熱されて穂が熔けてしまうのだ」


 実際、セルフィートの槍は穂先も穂の刃も丸くなっており、それ自体の切れ味を失っていた。もうレーザーを起動することでしか敵を斬れない。


「そうか。武器を損なわせちまって悪かったな」


「いや、構わんさ。元々この武器はこの戦争に勝つためにもらったものだ。それより、そのグラビティー・ハンマーをもう一度使ってみてくれ」


 セルフィートの作戦は亀裂を入れた場所に荷重をかけ、亀裂を破壊の起点とすることだった。


 それを理解したウォルグは亀裂の上にハンマーを置き、重量増加のボタンを押した。


 ――ミシッ、ミシッ。メキッ……ギギギ……ギギ。


 金属の悲鳴が聞こえてくる。装甲もさっきよりたわんでいる。


 ギレスも車両上に乗ってきて、3人でハンマーの沈み具合を見守った。


「おお、今度はいけそうだな、兄貴!」


 ――ギィ。


 そして、ドリル戦車が最後の悲鳴をあげる。バリバリバリバリと鉄を千切るような騒音とともにハンマーが一気に沈み、車両部分に大穴が開いた。


 前方のドリルも息を引き取るように回転を止めた。


「よっしゃ!」


 ギレスがガッツポーズを決めた。


 その横でウォルグがセルフィートに拳を差し出す。


 セルフィートは目を見張った。彼女がその反応を見せるのも無理はない。


 レフトフット、ライトフットという強い派閥意識を持つウォルグは、ライトフットであるセルフィートのことを敵対視すらしていた。

 そんな彼が同胞に対するものと同じ振る舞いを彼女に見せたのだ。


 セルフィートはすぐに応えた。ウォルグと拳を突き合わせ、難敵撃破の喜びを分かち合ったのだった。


 しかしドリル戦車はあと2両ある。ロボットの侵攻はピオニールの勇士たちが抑えているが、ドリル戦車だけはウィルド王城に向かって突き進んでいる。


「俺は前衛部隊と合流する。ふたりとも、ドリル戦車のほうは頼んだぜ」


 ギレスはそう言って中央軍の待機位置へと走っていった。


 それを見送りつつ、セルフィートとウォルグは北のドリル戦車を目指して走った。

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