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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第3章 ウィルド王国と勇敢なる戦士たちの救世

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第149話 野蛮で勇敢な戦士たち(南軍・ジオスSide)

 ウィルド平野南部では、白と青と緑が入り乱れていた。


 白はシエンス共和国から攻めてきた敵ロボットの色であり、青と緑は南軍を構成する勇士たちのケープの色である。


 本来、青はギルド・シクレシーのテーマカラーだが、シクレシーは秘密裏に解体されてしまっているので、その偽装としてベントがエアバイク改製造工場の工場員たちに青いケープを着けさせたのだ。


「おい、後衛のテメーらは下がってろよ、緑野郎!」


「あ? 裏切りもんが誰に口利いてんだ、コラァ!」


 ジオス・アウトロは頭を抱えていた。

 なぜか後衛の緑ケープが前線に出てきている。


 青のケープをまとう工場員は元々はバーキングに所属していた勇士である。


 当然ながら現バーキングの勇士とは旧知の仲。


 野蛮で粗暴な彼らが(たもと)を分かてば、こうしていがみ合うのも必然だった。


「誰に、だと? テメーらは社長の手下の手下だろーが!」


「それはおまえらも同じだろうが! マスターにビビってた褐色シラガに使われて、なっさけねーな」


 変なあだ名をつけられたジオスはこめかみに血管を浮き上がらせた。


 だがいまは目の前の敵に集中しなければならない。


 敵ロボットが銃弾を撃ち尽くしたことを確認し、近づいて左腕の鉄球ハンマー攻撃を誘い出す。


「おらぁ!」


 ジオスが担いでいるのは刃が回転する大剣、グレートチェーンソー・ソード。


 それはベントがエメル・ポーア用に開発していた武器だが、使用者が不在となったためジオスに流したものである。


 ロボットの左腕が苛烈な火花とけたたましい騒音をまき散らしながら切断された。


「それにその青いケープでシクレシーになりすますのはやめろ。おまえらは紫がお似合いなんだよ」


「はあ? いまは紫が大ギルドで緑が小ギルドなんだが」


 ジオスはロボットのふところに入り、胸部を回転する刃で斬りつけた。


 刃が胸部中央まで入ったところでロボットは停止したが、そこで止めると剣を引き抜くのが大変なのでさらに斬り続けた。


 胸を完全に裂かれたロボットは倒れ、さっきとは別種のけたたましい騒音とともに上下に分かれた。


「おい、おまえら。うるせーぞ!」


 ジオスはロボットを倒してから、近くで騒ぐ勇士たちに声を飛ばした。


「おまえがうるせーよ!」


 緑のケープからそのまま返ってきた。


 彼らは騒いではいるが、しっかりとロボットとは戦っている。


 青のケープ3人が右腕の重機関銃にまとわりつき、緑のケープ3人が左腕の鉄球ハンマーにまとわりついている。


 セオリー無視のかなり危険な戦い方だが、敵ロボットはやがてバランスを崩して地面に倒れた。


 そこを6人がいっせいに攻撃する。


 首と四肢の関節部を叩き潰し、胸部の装甲を剥がして中の装置を叩き割る。


 ジオスはベントから「死者や怪我人が出ないよう、しっかり管理してくださいね」と言われている。


 死者が出ようものなら、ベントに何をされるかわかったものではない。


「あー、あー、軍隊長殿、聞こえますかー?」


 ジオスは軍隊長であるカリナーリにフォンをつないだ。


「あら、ジオスちゃん、何か用? ボクちん、いま忙しいのよねぇ。しょうもない用事だったらぶち殺すわよ」


 ジオスはひたいに青筋を立てた。


 こめかみとつながって、おでこに茨のティアラが出来上がりそうだった。


「いや、あんたんとこの勇士がこっちに来てるんだが。後衛まで引かせてくんねーか?」


「バーカ。そいつらはボクちんが送り出したのよ。バーキングの勇士がボクちんの命令に背いて勝手に行動するわけがないじゃない」


「いや、あんたらは後衛だろ。勝手に前衛に参戦されて状況をかき乱されても困るんだよ」


 フォンの奥からジオスの耳に深いため息が流れ込んできた。


 音だけが伝わるはずなのに、どこかネットリしていた。


「ねえ、ジオスちゃん。〝蟲毒の箱〟って知ってる?」


「いや……」


「これはボクちんがいまより若いときに聞いた話なんだけどね」


 カリナーリが昔話を読み聞かせるように語りだした。


 いまはそこかしこでロボットとの戦闘が繰り広げられている。


 ジオスもベントから託された強力な武器を遊ばせているわけにはいかないのだが、相手がいまの直属の上官なので、仕方なく耳を傾けることにした。


「とある貴族がお付きの騎士に『この世界で最強の生物は何?』と訊いたらしいのよ。そしたら騎士は『凶獣は強いですが、人や虫に負けることもあります。なので、凶獣、人、虫のそれぞれで最強を決め、それを互いに戦わせたら最強の生物がわかるのではないでしょうか』と答えたの」


 カリナーリはその昔話を淡々と語った。


 その内容はこうである。


 貴族はまずは最強の虫から決めるよう騎士に命じた。


 騎士は国中から強そうな虫を集め、それを頑丈な箱に入れてフタをした。


 そのままの状態で待つこと3日間。


 貴族も見守るなか、騎士がついに箱のフタを開ける。


「で、ジオスちゃん、そのあとどうなったと思う?」


「クイズかよ……。そりゃあ、いちばん強いやつが残ったんじゃねーのか?」


「ブッブーッ! 外れ外れ外れ外れ、ブッブッブッブー、ハ・ズ・レ! 不正解!」


 ジオスは舌打ちをしたが、上機嫌なカリナーリには聞こえていないようだった。


「で、正解は?」


「正解は、箱を開けたとたんにすべての虫が人間に襲いかかった、でした。この話で得られる教訓は、圧倒的な数で襲いかかれば、どんなに強い相手でも蹂躙できるってこと」


 カリナーリは抑揚の強い楽しそうな口調で答えを明かした。


 さらに、貴族と騎士の死体だけが見つかって虫の死骸はひとつもなかったことを補足した。


 ジオスがふと戦線に目を向けると、60機の敵ロボットがすべて破壊し尽くされていた。

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