第119話 情報屋の秘密①
プログレスの面々はグイルから話を聞いた。
ギルドの備品を買いに出ていたグイルとリゼは、途中までは一緒だったが、時間が押していたため途中からふた手に分かれることにした。
グイルは自分の担当を終えて待ち合わせ場所で待った。
だが、いつまで経ってもリゼが来ない。
周辺を探しても、どこにも姿は見えない。
リゼが行く予定だった店に行って尋ねてみても、彼女は来ていないとのことだった。
店の周辺を探し回っても見つけられず、待ち合わせ場所に戻って改めて周囲を探しても、やはり彼女の姿はなかった。
「さらわれたのかもしれません」
ベントは真っ先にその可能性に言及した。
「そうだよね。リゼちゃんは家出するような娘じゃないし、事故だったら見つからないのはおかしいもんね」
アルチェがベントに同意した。
ふたりの考えに異を唱える者はいなかった。
「手分けして探しに行こう」
フォルマンが切り出し、ホーリスもすぐにそれに乗る。
「そうだね。ボクはピオニールにも情報がないか確認してくるよ」
そうしてプログレス総出でリゼを探しに行くことに決まった。
「僕も探しに行きます。マスターはお疲れでしょうから、ホームに残ってください」
ホームにはクレムと入れ替わりでグイルが残ることになった。
ベントはグイルにもフォンを渡し、簡単に説明を済ませた。
「では、行ってきます」
ベントたち5人はリゼを探すためにギルドを飛び出した。
捜索はフォンで連携を取りながらおこなった。
アルチェは伯爵領内の酒場を回り、クレムはギルド周辺のあらゆる店を回った。
フォルマンは独自のツテを使って調べるとのことだった。
ホーリスはピオニールのギルドホームで勇士たちに話を聞き、さらには侯爵領の酒場でも手がかりになりそうな情報がないか探った。
ベントはカリナーリに命じ、バーキングの勇士を使って子爵領内全域を調べさせた。
その一方で、自分は重装エアバイクの高高度飛行モードで空から伯爵領内を捜して回った。
陽は落ちているので辺りは暗いが、重装エアバイクのセンサーを使えば闇に紛れた人影を見逃さず、さらには探し人かどうかの識別判断も可能である。
捜索は明け方まで続いた。
さすがにみんな疲労で限界だったので、ホームに集合することにした。
「おう、おかえり……」
ベントがホームに戻ると、目の下に大きな隈を作ったグイルがベントを迎えてくれた。
料理が片付けられたテーブルには、アルチェとクレムが突っ伏して寝ていた。
ホーリスは侯爵領から戻るのに時間がかかると連絡が来ている。
フォルマンからはまだ連絡がない。ほかの誰もわずかな手がかりさえつかめていないので、頼みの綱は彼だけである。
しかも彼は情報屋なのだ。なおさら期待がかかる。
だが、彼がいつ帰ってくるのかはわからない。
独自に調査すると言って、彼だけはフォンによる連携から外れていた。
「ベント殿、気を揉んでも仕方がない。情報が入ったときにすぐに動けるよう、ベント殿も仮眠を取ったほうがいい」
「そうですね……」
グイルに促され、ベントもテーブルに顔を伏せて仮眠を取ることにした。
***
ベントが目を覚ましたとき、ギルドホームにはリゼを除いてプログレスのメンバーが全員そろっていた。
全員起きているが、顔はやつれている。
「すみません。寝すぎてしまいました」
「そんなことないさ。外は明るいが、まだ昼にはなっていない」
グイルがベントの肩に手を置いた。
ベントはマスターの気遣いに礼を述べ、すぐに切り出した。
「みなさん、お疲れでしょうけれど、私にも詳しい報告を聞かせていただけますか?」
ベントは自分以外の間では報告は済んでいると思ったが、そんなことはなかった。
みんなベントが起きるのを待っていたのだ。
フォンでは収穫の有無しか聞いていなかったので、詳細な報告を聞けば手がかりが見つかるかもしれない。
まずアルチェとクレムの報告を聞いた。
グイルと一緒にいるリゼの目撃情報はあったが、ひとりになってからは誰にも目撃されていなかった。
次にホーリスが報告する。
「ボクはピオニールの勇士たちに訊いてみたけれど、侯爵領内で活動していた者、領外の各地で活動していた者、それぞれ誰もリゼ殿を目撃していなかった。あと、関係ないかもしれないけれど、リベールが失踪したらしい」




