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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第2章 剣聖ホーリスと風の射手アルチェの救国

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第109話 オールラウンダーの戦い②

 双曲刀。2本の刀は同じ形をしている。刀身は長くはないが幅が広く、弓なりに曲がっている。


 それを手にしたセルフィートは駆けだした。まっすぐ、ベントの方へ。


 力で押し負けるうえに手数を増やされては厄介。

 タイ剣とAIシールドで防御したとしても、浮遊するAIシールドは遠くへ弾き飛ばされる公算が大きい。


 ゆえに、セルフィートを近づかせたくない。


 換装ドロイドも脚をシャカシャカと動かして移動し、セルフィートに追随している。


 だがこれは彼女との距離を一定に保つだけで、それ以上の何かをしてくる気配はない。

 セルフィートの武器換装を許容するなら無視してもよさそうである。


 ベントは左手の光線銃と空中のAIレーザーを同時に発射した。


 鏡面小盾はひとつなので、ふたつのレーザーはさばききれない。


 そのはずだった。


「これが双曲刀を選んだ理由だ!」


 光線銃のレーザーは鏡面小盾でベントに跳ね返った。


 AIレーザーのほうは曲刀の腹でベントに向けて反射された。


 レーザーの同時攻撃を受けたのはベントのほうになった。


 ベントはセルフィートの両手の動きを見た瞬間にそうなると気づき、AIシールドと万能AIスーツにそれぞれレーザーから身を守れと命じていた。


 AIシールドが片方のレーザーを彼方へと弾き飛ばし、もう一方は体の動作サポートで身をひねってやり過ごした。


 だが無事に対処できたと安堵する暇はない。セルフィートが間合いを詰めるべく走ってくる。


 いまの攻防はそのための一過程にすぎないのだ。


 ベントはAIレーザーに攻撃位置の変更を命じた。


 AIレーザーをセルフィートの頭上に行かせる。


 こうすれば光線銃とAIレーザーを同時に視界に入れることはできず、レーザーの同時発射に対応できない。

 いわば直角の挟み撃ちにするのだ。


「セルフィートさん、視界が狭いでしょう? そのゴーグルは外したほうがいいんじゃないですか?」


 セルフィートの返事はない。


 彼女は足を止めることなく、右手の曲刀を上段に構えながら、視線はAIレーザーのほうを追った。

 視線の方向はゴーグルの向きで逆にわかりやすくなっている。


 ベントも返事を待つ気はさらさらなかった。


 AIレーザーに発射を命じ、同時に光線銃も発射した。


「ふっ……」


 天から落ちる光は曲刀の腹に反射してセルフィートの後方の彼方へと消えた。


 正面からの光は鏡面小盾が弾いて地面を焦がした。


 見えないはずの攻撃を正確に防御された。


 さすがのベントでもそのカラクリに気づくのに少し時間がかかった。


 セルフィートは上段の曲刀を斜めにして、そこに反射して映るベントの姿を見ていたのだ。

 曲刀越しにAIレーザーも視界に納められる。


 彼女に死角はなかった。


 ベントがセルフィートの機転に感心している間に、彼女は距離を詰めてベントの目前に迫っていた。


「また間合いに捉えたぞ」


 左手の曲刀がAIシールドを叩き落とした。


 次は右手の曲刀が来る。


 ベントは右手の曲刀が勢いに乗るまえにタイ剣をぶつけた。


 競り合う気はない。ぶつかる瞬間にタイ剣を手放す。


「ん?」


 タイ剣は柔軟なネクタイに戻り、勢いのまま曲刀に巻きついた。


 セルフィートはお構いなしに追撃の姿勢を見せる。


 だがベントが素早く後退し、その場所に上からレーザーを降らせたので、セルフィートは足を止めた。


 ベントが光線銃ごと両手を白衣のポケットに突っ込んだので、その瞬間にセルフィートは左手の曲刀を地面に刺した。


 視線を上空に向けてAIレーザーを警戒しながら、空いた左手で巻きついたネクタイを取ろうと手を伸ばす。


 その瞬間、ネクタイがピンと伸びた。


 その衝撃で右手の曲刀が飛ばされた。


「それ、体温に反応するので不用意に触らないほうがいいですよ」


 こうなるよう仕向けておいて言っているのだから、その助言は煽りでしかない。


 だがセルフィートの動きに動揺は見られない。


 即座に左手を曲刀に伸ばして引き抜き、それから宙に舞ったもう片方の曲刀を追った。


「あちっ!」


 セルフィートが左手の曲刀を手放して立ちどまった。


 その曲刀の腹には緑色の虫のようなものがくっついていた。


「それは脳波連動AI搭載型熱源バッタ。通称、熱源バッタです。バッタというのは太陽系地球に生息する、跳躍を得意とする昆虫です」


「これが熱を発しているのか?」


「そうです。足の部分が吸着していて簡単には外せません。そもそも熱くて触れないと思いますが」


 セルフィートがハッとした様子でもう一方の曲刀を探す。


 曲刀はすでに地面に刺さっていて、熱源バッタが刀身の腹にくっついていた。


「2匹? いや、何匹いるんだ!」

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