外伝 千明 12 追い詰めた
私は林間合宿の裏庭で、駿斗から聞き出すことができなかった。
このプールで再度機会を伺おうと駿斗を誘った。でも…………
プール前日の夜、駿斗からメールが来た。
『伝え忘れていたけど、明日のプール、金星と真希、夏菜と紫苑も来るからよろしくな』
ここで質問、この時、私が思ったことを当ててみて。
1:死ね
2:殺すよ
3:絶対に殺すよ
どれでしょう?正解は全部
『確かに二人っきりで行こう!とは言わなかったけれど!誘いますか?普通?他の女子を!何の連絡もなしに!それも前日に報告って!!!…………えっ?殺すよ?」
ただでさえ、人の目があるプール。それに知り合いもいるとなると、二人っきりになることは困難。
でも、私はこの時に決心した。もう我慢ならない、絶対に聞き出すと…………
プール当日
金星は、今日私が駿斗に告白をすると知っている。
だから、どこかのタイミングで私と駿斗が抜け出したとしても察してくれるだろう。
でも、前回のことがあったから、今回は協力を頼んでいない。「私一人で頑張ってみる!」そう伝えてある。
二人っきりになれる機会をずっと探していると、紫苑と真希が金星を賭けて勝負を始めることになった。
全員で50mプールへ向かうタイミングが訪れたとき、私はそっと駿斗を呼び止めた。
「駿斗君……ちょっとお手洗いの場所が分からないから、連れて行ってほしいんだけど」
少し戸惑った様子を見せたものの、駿斗は頷いて私をトイレのある場所まで案内してくれた。
トイレの前まで来たところで、私は彼に向き直る。
「駿斗君」
名前を呼ぶと同時に、人目を盗んで、私は彼の腕を引いて多目的トイレの中に連れ込んだ。
「お、おい!何してるんだよ!」
驚く駿斗を押し込むようにして、私は素早くドアの鍵をかける。
「駿斗君……」
その言葉とともに私は彼に抱きついた。
「千明?…………」
困惑した声が耳元で響く。
そんな中、私は水着に隠していた『自白剤』が入っている小さめの注射器を取り出し、駿斗の背中へと優しく打ち込んだ。
この『自白剤』は山本からもらったもので、痛みはなく、即効性が非常に高い。これを打たれた相手は、すぐに力がなくなり、そして効果が効いている間の記憶がなくなるという。もちろん、嘘は付けず、本当のことしか話せなくなる。
ここまでは優秀なのだが、欠点もある。
相手に聞けるのは二つまで。
そして、一度打った相手には二度と効果が効かない。
だから慎重に使う相手を見極めなくてはならない。
けれど、駿斗のその心配はない。5年間も監視をしてきたんだから。
駿斗はその場から徐々に私の方に倒れてきた。私は少しずつ駿斗の体を支えながら、目の前に正座させた。
そして、私はついに聞くことにした…………
【小学3年生の時、6月5日、あの事件の時、あなたに変装していたのは誰?】




