第61話 プール(表)
真希との買い物があって数日が経ち、今日は8月1日。俺は今、どこにいるかというと。
「早く泳ぎたいなぁ~楽しみだね兄さん!」
「そうだな」
東京にある屋外プールへと来ていた。
今日一緒にいるのは、駿斗、千明、紫苑、夏菜、真希だ。
元々は、千明が駿斗に告白できなかったため、再度機会を得るためのプールだったが、その駿斗が二人で行こうという千明の意図を感じることなく、俺たちを誘ってきたことが今回のきっかけである。
なぜ、真希がいるかというと…………
数日前
「兄さん!?私とのデー……お出かけが台無しになったのに、他の人とプールに行くってどういうこと?」
俺が電話でプールについて駿斗と打ち合わせをしていた時、会話の内容を聞かれたことが原因だった。
「あれは仕方がないだろう。避けられないことだったんだ」
「そうだけど、プールはダメ!よりにもよってあの女(千明)がいるんでしょ?」
「あの女?」
「とにかく!あの願い事はまだ叶い終わっていません。ということで、私もプールに行きます」
「お前の言う通りではあるが」
「よし!決まり!何を着て行こうかなぁ~」
このような流れで押し切られてしまい、現在に至る。
「ねぇ、兄さん。入ったら最初にどこに行くの?」
「まだ、これといって決めてないが……そうだな。流れるプールとかに行こうかと思ってる」
「分かった。じゃあ、着替えたらそこに向かうね。でも、兄さんが待っててくれるなら真希、嬉しいな」
「どうしてだ?」
「だって、水着新調したんだもん。一番最初に見てもらいたい……なんてね。あはは」
「よく分からんが、着替え室の前で待っていればいいのか?」
「えっ………あっ…そうだ…ね」
「二人って、本当に仲がいいよなぁ。兄妹って羨ましいぜ」
「本当だよね。私も姉妹がいないから、ちょっと寂しいなって思う時あるもん」
駿斗と千明がそんなふうに話していると、夏菜と紫苑が驚いた顔で俺たちを見ていた。
「いやいや、二人とも感想がズレてるよ。どう見てもそこは『二人って血が繋がってない兄妹なんだよね』って言うべきところでしょ」
「そうそう。二人とも、ちょっと近すぎると思う……」
「これが『普通』の兄妹の形ではないのか?」
以前、真希に『普通』の兄妹とは何かを教えてもらったことがある。そのとき、色々な例を聞いたが、これもその一つだと思っていた。
「普通ではな……」
紫苑が何かを言いかけたその瞬間、真希が慌てた様子で俺の視界に飛び込んでき た。
「そっ、そんなことよりさっ!ほらっ!ゲートが開いたよ!さぁ、みんなで行こうー!」
真希に腕を引っ張られ、俺は半ば強引にゲートをくぐることになった。




