外伝 紫苑 6 死の先に
ずっと任務で探し求めていた人物、Rの関係者。それが金星だった。
その金星は、Rに所属しながら、Rを壊滅させようとしている。それでは、ワタシが所属している組織「I」の目的「世間には言えないRの恐ろしい計画を止めること」と同じ。
ワタシはどうすればいい。
このまま金星の下につくのか、それとも、抵抗して「I」の兵器として最後を迎えるのか。
けれど、ワタシはショッピングモールで自分の正体を明かした。そして、あの男に負けそうになった。そこを金星に助けてもらったけど、殺されて、生き返って、ここにいる。でも、狙撃をしようとしていた奴が、きっとこのことを「 I 」の団長に報告をしているはず…………待って。
「金星、ショッピングモールの件は結局、どうなったの?」
「その件は表沙汰になっていない。理由は単純だ。24歳以上の者には洗脳の効果を用いて記憶が改ざんされ、それ以下の者は全員「処分」という形で排除された。ショッピングモールの出入り口を封鎖していた大阪の関係者や、近辺にいた一般人も同様の措置が取られた。さらに、SNSに投稿された情報は全て徹底的に改ざんされ、事件に疑問を持つ者はRの手で完全に沈黙させられた」
「そんな…………酷すぎる」
ショッピングモールで人質をとって立て籠る事件を完全になかったことにしたということ?そんなことまで、できるなんて…………
「これがRにとっての『普通』だ。俺たちはこれを止めようとしている」
「……事情は分かったよ。Rがどれだけ酷いことをしてきたのかもね。でも、ワタシが戦力に加わったところでどうせ………」
ワタシは兵器。他の組織の連中に捕まった時点で用済みの立場。ここで、金星の戦力加わったところで、次は「I」が金星たちの敵になる。それだと、ワタシはただのお荷物でしか…………
「お前がどこの組織に所属しているのか興味はある。どんな事情があるのかも含めてな。だが、少なくとも、今回の件がお前の組織に知れ渡っていることはない」
「えっ?」
「お前を狙撃しようとしていた奴は、真希が処分したからだ」
「そうなんだ…………真希ちゃんが…………」
そうだよね。金星がRの関係者なら、真希ちゃんも関係者だよね。
ワタシは少し安心してしまった。ひどい話だ。仲間が死んだというのに、自分の身が安全だとわかった途端、つまり組織に私がしくじったことが知られていないと確信した瞬間に、こんな気持ちになるなんて。
「改めて言うぞ、紫苑。俺たちの戦力に加わってくれ」
金星が私に向かって手を差し出してきた。
目的が同じなら、金星たちをこのまま『 I 』の組織に連れていって、仲間に加えればいい。そうすれば、仲間も増えるし、あれだけ強い金星が味方になれば心強い。少しそう思ったけれど、すぐにその考えを諦めた。
だって、『 I 』の中にRの関係者を入れたら、きっとみんな受け入れてくれない。それほど、皆『 R 』のことを嫌悪している。
特に、千明は……。
ワタシは千明がずっとRの関係者、つまり、おばあちゃんの仇を探しているのを知っている。
もしかしたら、金星、春歌、真希ちゃんの中にその仇がいるかもしれない。そうだとしたら、いくら強い金星でも『千明を止められるか』どうか分からない。
だったら、ワタシがやるべきことはただ一つ。
「分かった。協力するよ」
ワタシは金星の手を取った。




