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アルガナイ…力を失ったルシファー 学園生活を謳歌する?  作者: T.T
二面

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第59話 これは、自由を得るための行動

「真希、俺は今から『あの二人』を殺す」


 紫苑が動かなければ、殺気を出したのは、あの場に居た颯太の方だったと考え直し、保護するつもりだった。しかし、紫苑は動いた。ならば、容赦はできない。この場には監視の目がある。俺がやるべきことは一つだ。


 俺の言葉の意味を理解した真希は、一瞬ためらったように見えたが、すぐに頷いた。


「睡眠爆弾と音爆弾はあるか?」


 真希はどんな状況にも対応できるよう、常に道具を携行している。たとえお出かけの時であっても、それは変わらない。この世界では、いつ何が起こるか分からない。そんな世界に俺たちは踏み込んでいるからだ。


「あるよ」


 真希は靴下に仕込んでいた小さな爆弾を取り出す。とても小さいが効果は絶大だ。


「いいか、お前がやることは3つ。周囲の人間を眠らせること。俺の合図で音爆弾を投げること。ビルにいる男を始末することだ」


「了解」


 真希は素早く手を動かし、眠りを誘う薄い煙が徐々に広がり始めた。


「少し待ってろ」


 俺は真希の頭に手をポンッと置く。


「うんっ!」


 真希の笑顔を見た後、俺はターゲットへと視線を向ける。

 それと同時に『春歌』へ連絡を入れた。たった一言『仕事だ』と。


 怪我をした足に出血を止めるほどの力を入れ、俺は床を蹴って走り出す。


 ターゲットの戦闘能力は未知数。時間も、もうない。だから、


【悪いが本気を出させてもらう】


 そう決めた俺は両足に今出せる全力を注ぎ、一瞬で間合いを詰めた。


 ターゲットの囮作戦が成功し、紫苑の頭が撃ち抜かれそうになる瞬間、俺は即座に判断し、紫苑の横へと滑り込む。そして、急ブレーキをかけるように体勢を変え、紫苑の横腹に蹴りを叩き込んだ。


 銃弾が俺の髪を掠めて飛び去る。俺は蹴り込んだ足を地面に強く叩きつけ、その反動を利用してターゲットの方へ身体を向ける。右手に力を込め、一撃を叩き込んだ。続けて、ナイフを構えた俺は猛攻を開始する。


 ターゲットが耳が良いと判断し、大きな音を利用して隙を作る作戦は見事に成功した。



 ほんの数十秒……それだけでターゲットを仕留めた俺は、荒い息を吐きながら疲労感を押し殺し、紫苑の元へと足を向ける。


 紫苑はまだ完全に立ち上がれない様子だった。俺は彼女の側に立ち、無言のままナイフを握り直した。そして、一瞬のためらいもなくその刃を紫苑の胸元に突き立てた。

 かすれた声が紫苑の口から漏れる。その言葉を聞きながら、俺は目を閉じ、静かに倒れゆく彼女の身体を支えた。

 ゆっくりと、慎重に彼女の体を床に降ろす。血のにじむ胸元を見つめながら、俺は心の中で繰り返す。


 ……俺は自由を求めてこれからも行動し続ける……

 そして、今の行動は必要なことだった。俺にとっては、避けて通れない道だった。


 紫苑を殺した理由はただ一つ。それは、


「さすが、天野。よくやってくれました」


 広場の中心で、ゆっくりと拍手が響き渡った。その声に振り返ると、Rの関係者たちが姿を現す。俺が紫苑を倒した理由、それは……この広場に集まった5000人の中に、少なくとも100人近くのRの関係者が紛れていたからだ。彼らは状況を見越し、睡眠爆弾のことに気づいていた。そして、口元にハンカチを押さえながら、できるだけその毒ガスを吸わないようにしていたのだ。


 残る5000人はすでに眠りに落ちており、広場には俺とRの関係者たちだけが静かに立っていた。


「その女性は、私たちが引き取りましょう」


「お手数をおかけするので、大丈夫です。俺が処分します」


「ですが、息があるかもしれませんし」


「確実に殺しました。足を負傷していたため手加減ができませんでした」


 俺が本気を出した理由は3つ。


 1つ、大阪の連中ということもあり、アームドを持っている可能性があった。今回  

    は持っていなかったようだが、使われたら面倒だと思ったからだ。


 2つ、睡眠爆弾の煙の広まりは早く、色は透明で気づけるものはほとんどいない。   

    即効性はあるのだが、数分で目覚めてしまうのが欠点だった。そのため、  

    早めにケリをつける必要があった。


 そして、3つ目の理由は、


 『『『 目の前にいるこいつらに、俺の実力を知らしめ、紫苑と大阪の男を確実に引き取るため 』』』



「まだ、分からないでしょう。心臓が多少傷ついているだけの可能性も……」


「こいつは死にました、俺の言葉に偽りはありません。それとも」


・・・「俺の腕に何か問題でも」・・・


 言葉を切り、俺は相手に鋭い視線を投げかける。


「いっいえ、全く。そっそれでは、私たちはこれで」


 相手は慌てて言葉を返し、関係者たちはその場から足早に立ち去った。俺はその姿を確認した後、春歌と真希からの連絡を受け取り、紫苑をお姫様抱っこで抱えた。


 そのまま、俺は【ある場所】へと向かって歩き出す。

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