外伝 紫苑 3 数秒間の戦闘
いける!後はこの男だけ!
「ほお~すごいなぁ~あれだけの人数を」
男が叫ぶと同時に、床を蹴り、猛然と突進してくる。刃が風を切る音が耳元をかすめる。ワタシはその場で回転し、攻撃をかわしながら反撃の蹴りを繰り出す。
「まぁまぁやなぁ」
男は蹴りを受け流し、ナイフを渾身の力で振り下ろす。ワタシは瞬時に身体を反らし、刃先を紙一重でかわす。そしてそのまま足を軸に一回転し、側頭部に踵を叩き込む。
「よぉ回るのぅ~」
男は腕でワタシの蹴りを受け止め、台から後ろへ飛び下がる。その瞬間を見逃さず、ワタシは短剣を構え、空中にいる男を狙う。
「逃がすか!」
「アホゥが!」
男は右手から3本のナイフを放つ。その動きに反応し、ワタシは素早くそれらを弾き返す。しかし、それは罠だった。ナイフを弾いた瞬間、男が銃を発砲してきたのだ。
「しまっ!」
「ドンッ!!!」
銃声が響くと同時に、衝撃がワタシを襲い、横へと吹き飛ばされる。床に叩きつけられ、そのまま滑りながら止まった。
「いったぁー……うぅぅ……だっ、誰……」
視界がぼやける中、頭を上げると、信じられない光景が目に飛び込んできた。
「きっ、金星!?」
そこには、金星が男の顔面に拳を叩き込んでいる姿があった。
「ぐっ……な、なんやお前!!!あいつの仲間か!」
「……違う」
男は大きく、吹っ飛んだが、受け身を取ることに成功していた。その時、金星は信じられない速さで追撃を仕掛ける。
「くっ、こいつ!」
男は咄嗟に銃を構え、弾を乱射する。数発が至近距離で発射されるが、金星はナイフでそのすべてを弾き飛ばす。その動きは異常ともいえる速さと正確さだった。
「バケモンか、お前!!!」
男は叫びながら後退し、素早くナイフを取り出して構える。
金星は男に向かってまっすぐ突進し、その動きに反応した男はナイフを振り下ろした。しかし、金星は身体をひねりながらその軌道をかわし、鋭い蹴りを腹部に叩き込む。
「ぐあっ!!!」
男が大きく吹き飛ばされるも、その隙を逃さず金星は瞬時に間合いを詰める。男が必死に反撃の一撃を繰り出そうとするが、金星のナイフがそれを一瞬で無力化する。
「こいつ、どんな動きしてんねん……!」
男は焦りを隠せない表情で再び銃を構え、乱射する。弾丸が次々と空気を裂き、火花が広場のあちこちで弾けた。しかし、金星の動きはさらに速さを増し、弾丸が彼の体を掠めることすらない。
わずかな手首の動きだけで複数の弾丸の軌道を逸らし、それらが地面に突き刺させる。その動きには無駄がなく、一切の躊躇もない。弾道を見切る視力、そしてそれに対応する反射神経が常軌を逸していた。
「……化け物が……ッ!」
男の額には冷や汗が浮かび、動きに乱れが生じ始める。その焦りを見逃すはずもなく、金星はわずかな隙を突いて相手の懐に飛び込んだ。
「やれ」
金星が低い声で短く言い放つ。その瞬間、大きな音が広場全体に響き渡った。
「がぁっ!」
それは高周波の耳鳴りのような音だった。男は驚愕の表情を浮かべながら一瞬動きを止めた。その鋭敏な聴覚が災いし、音の衝撃で平衡感覚が崩れ、白目を剥きそうになる。
次の瞬間、金星のナイフが輝き、男の手元を正確に狙う。一瞬の閃光のような動きで、銃が宙を舞い落ちる。そしてその勢いを利用し、金星は男の心臓に刃を突き刺した。
「ぐはっ……!」
男は血を吐きながら後ろへと倒れ込む。彼の意識は徐々に薄れ、その身体は金星の足元で完全に静止した。
金星はナイフをゆっくり引き抜き、鋭い目つきのまま私の方へと向かってくる。




