第28話 席決め 傍観
その後、俺は5人の会話を聞き、適当に相槌を打ち、空気を読みながら会話に参加してその場を切り抜けた。
結果として、部屋のメンバーもこのメンバーでいいということになり、体験学習は山登りに決定。
俺たちは、夏菜さんに報告し、その後解散となった。
理由は、駿斗はいつものグループから、バスの席の誘いがあり離れたことだ。
駿斗は俺に向かって両手を揃えながら、頭を軽く下げた。
きっと『悪い!』と言いたかったのだろう。
残りの四人組はそれを見てから、会話を始めてしまった。
同じ班にはなったが、ついさっき話したばかりの相手と再び仲良く、話すというのはなかなか難しい。
ちょうど、四人組とバスの席も決めやすいため、俺を省く判断は正しい。まぁ、班が決まっただけいいだろう。
俺は離島に戻り、黒板に貼られているバスの席割り票をぼんやりと眺めていた。
バスの中央には通路があり、左右に2席ずつ。一番後ろには6人座れる席があり、そこが一番人気だ。
会話や、お菓子の交換、トランプなどのゲームもしやすい。集団で騒げるいい場所だからだろう。
多くのグループが、そこを狙って話し合っている様子だった。
決まった人から自分の机に貼られているネームプレートをバスの席に貼りに行く。
俺も早く決めれば好きな席を選べるが、最後の最後まで俺の隣の席が空いていて、決まらなかった人が嫌々座ることになるのは、こちらとしても気まずい。
それなら、最終的に残った席は一つしかないから、俺はそこに座るしかなかったという方が、隣の人も少しは仕方ないと思ってくれるだろう。
俺は争奪戦が終わるのを待ってから、空いた席に座ることにした。
数分後、ようやく争いが終わり、俺も自分のネームプレートを持ち、残った席に貼ろうとすると、偶然にも隣は紫苑だった。
どうやら、紫苑のグループは三人で、じゃんけんか何かで、余った一人がこの席に座ることになったようだ。
自分の席に戻る際に、少し紫苑の方を向いたが、何やら怪訝そうな顔をしていた。
まだ、委員会のことを根に持っているのか。これは『長引きそうだな』と心の中で思った。
こうして俺のバスの席も決まり、クラス全員の席割りも無事に終わった。




