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アルガナイ…力を失ったルシファー 学園生活を謳歌する?  作者: T.T
世界の一端

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第27話 班決め 自席という離島

 次の日の昼休みが終わった。


 今日の五時間目と六時間目は、合宿について話し合う時間になり、

授業が実質休みのようなものだ。

 いつもなら、教科書やノートを開いて真剣に授業を受けているはずの教室が、今は別の空気に包まれている。

 生徒たちは席を離れ、机の間を行き来したりして、普段とはまるで違う雰囲気が漂っていた。

 教室の至るところで飛び交う声や笑い声が響き渡り、お祭りのように騒がしい。 


 先ほどまで授業をしていたため、開放感がある気持ちは分かるが、もう少し静かにできないだろうか。先生の怒りの咆哮の巻き添えを食らいたくはない。

 しかし、担任は騒がしい教室の中、怒ることなく黙々と黒板に四行ほど書いた。その後、落ち着いた声で指示を出した。


①共に行動する班(1つ班に最低6人)

②部屋のメンバー(1部屋、最低6人)

③体験学習

④バスの席


「この4つのことを五、六時間目に決めてください。もしも決まらなかったら、先生がランダムに決めます。後は学年委員の二人が司会をしてください」


 先生の指示のもと、委員会決めと同様に、学年委員の駿斗が司会をするため黒板の前に出た。事前に話し合っていたのか、同じく学年委員である夏菜もノートを持ち、教卓の横の机に座った。


「はい、みんなちゅうもーく。これから、林間合宿の行動する班から順に決めます。みんなでそれぞれ好きな人と班を組んで、できた班から体験学習まで、話し合ってくれ。決まった人から夏菜に伝える。その後は、自分の席に座って待機してほしい」


 二か月も学校で過ごしていると、授業のグループワーク、給食、掃除などの日常を通して、クラスの人たちがどういう人なのかがある程度わかるようになってきた。


 しかし、たとえ少し関わりがあっただけで、林間合宿という最初かつ大きなイベントで誘うのは、ハードルが高い。

 それに、班は最低でも5人集めないといけない。

 駿斗と紫苑は、いつも一緒にいるメンバーと組むだろう。そうなれば、俺は残り物として、どこかの班に加えてもらうしかない。

 メンバーがどんなに酷かろうと、受け入れるしか選択肢がなさそうだ。文句を言う権利もない。言い訳をして、自分から行動に移していないのだから。


 俺は自分の机という離島から、クラスの様子をただ傍観することに決めた。


 だが、予想外なことに、駿斗はクラスに向けて指示を出し終えると、俺の席に真っすぐ向かってきた。


「なぁ、一緒に組まないか?」


 クラスのみんなは驚いた表情を浮かべる。

 一番人気の駿斗が、いつも一人でいる俺に話しかけ、『組もう』と言ってきたのだから当然の反応だ。


 教室内からはすぐに『駿斗君優しいー』『どこまでもイケメンやん』という声が聞こえてきた。その瞬間、俺は察した。この行動は駿斗にとって得でしかないということを。


 俺は班決めで一人になっていただろう。

 駿斗はそれを見越して、俺を誘うことで、クラスのみんなから仲間外れを救ったという印象を与えたのだ。

 これで、駿斗に対する悪い噂を耳にした人たちもこう思うだろう。『駿斗君、本当はすごくいい人なのかもしれない』と。


 つまり、駿斗は俺を利用して、クラスの中での評価を上げようとしているわけだ。 

 まぁこれで、少しでも、駿斗の噂が和らいで、彼の負担が軽くなるのなら、友人として協力するのは当然だろう。

 それに、俺も班に知っている奴が一人でもいると心強い。


「いいのか。俺で?」


 俺がそう確認すると、駿斗は軽く笑いながら即答した。


「もちろん」


「ありがとう」


 『どこまで考えていたんだ?』俺が小声でそう言った瞬間。


「おう!」


 「のってくれ」と小声で返してきた。

 駿斗は他人をうまく使う。ただ、それは人を傷つける方法ではなく、むしろお互いが得する形で物事を進める。

 そんな駿斗を見ていると、彼は上に立つべき人間なんだろうなと、自然に思う。

 俺が頷いたのを見てから、駿斗はみんなの方を振り向いた。


「他に俺たちと組んでくれる人いないかー?」


 駿斗が教室のみんなに向かって声をかけた。

 クラスメイト全員の視線が駿斗に集まる。そして、同時に俺にも視線を送ってくる。

 駿斗と同じ班に入れたのは確かにいいが、みんなこう思っているのではないかとふいに考えてしまった。


『駿斗と同じ班に入るのは良いけれど、おまけでクラスのぼっちがついてくる、と。ぼっちさえ居なければ』と。


 考えすぎだとは思いたいが、教室中からの視線が鋭いのも事実。

 もし今、1000円払って他人の心が読めるなら、迷わずに払ってしまうかもしれない。

 女子からは手が挙がらなかった。

 きっと、手を挙げれば駿斗のことが好きだからと露骨にアピールしているように見えるからだろう。


 そんな中、男子の一団が手を挙げ、こちらに歩み寄ってきた。

 彼らは四人組で、よく一緒に行動しているグループだ。

 俺たちと組みたい理由は分からないが、きっと四人で組んでいて、人数合わせのために駿斗と俺を選んだのだろう。主に、駿斗がいるというのが大きいと思うが、そこを気にしたら切りがない。


 『俺たちと組もうぜ』と言ってきたため、駿斗が一瞬俺のことを見た。

 目で『こいつらでいいか?』と問いかけている。

 俺は頷き『いいぞ』と返す。

 すると駿斗が笑顔になり四人に向かって返事をした。


「おぉいいぞー組もう組もう」

 

 こうして、俺の班は決まった。


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