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アルガナイ…力を失ったルシファー 学園生活を謳歌する?  作者: T.T
世界の一端

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第26話 いいんかい(表)2 教室

「部活終わりに悪いな。いきなりだが、お前は噂のこと、どう思っている?」


 さすがの駿斗も、小学校からずっと言われ続けて限界が来ているのだろう。


「嘘と確信している。駿斗がそんなことをするわけがない」


「ありがとう。そう言ってくれるだけで支えになる」


「小学校の時に解決したはずのことが、中学校でも同じように起きるのは、さすがに面倒だな」


「あぁ、まったくだ。たとえ犯人が分かっても、一部の人間はずっと俺を嫌い続けるだろうな」


「そうかもしれないが、犯人が見つかったことで多少は収まっただろう。今回も誰かが犯人を見つけてくれるだろう」


「そうだな。前向きに考えないといけないな。犯人が見つかるまで、俺の愚痴に付き合ってくれよ」


「分かった」


 それ以降、駿斗の愚痴を聞くようになった。

 誰にでも好かれていそうな駿斗でさえ、特定の誰かに嫌われ、ただ異性と一緒にいるだけで誤解され、その話が広がる。


………これが中学校という世界だ………


 俺は傷ついてもいいのだが、紫苑に迷惑をかけたくない。 

 昼休みになり、俺は紫苑のことを考え一緒に行かないという選択をした。

 二階にある二年生の教室に向かうため、他の生徒とすれ違わないように階段を上がった。


 教室に着くと、すでに何人かの生徒は席に着いていた。初めて二年生の教室に来たが、一年生の教室は6×6席で、廊下側と窓側に二人ずつ並んでいる。


 しかし、席は5×5席しかなかった。


 教室の広さはほぼ同じだが、席が少ない分広く感じたのだ。

 先輩たちは特に気にする素振りもなく座っていたが、どこか暗い雰囲気を感じた。


 退学する生徒が多いのか?いや、それにしても数が多すぎる。元々入学する生徒が少なかったのか?それとも………

 後で他の二、三年生の教室を見なければと思った。


 俺が考え事をしている間に、全員が集まり、保険の星崎先生が話を始めた。内容はこれから行う仕事についての説明だった。


 『今日の帰りの会に、健康観察シート(体温を測り記録する紙)をクラス全員に配布すること』


 『前日に保健委員がシートを回収し、保健室に持っていく。体調が悪く、合宿に参加できない生徒がいれば生徒に伝えること』


 『合宿中の朝、クラス全員に体温を測らせて記録し、熱が高い生徒を保健室となる場所に連れていくこと』


 この三つの仕事が与えられた。

 今までの保健委員の仕事は、発育測定の際、男子は俺が、女子は紫苑が記録を取り、二枚の紙にまとめて先生に提出することと、具合が悪くなった生徒を保健室に連れていくことだけだった。

 保健委員会の仕事がこの二つだけなら、どれだけ楽かと思ったこともあったが、それはフラグでしかなかった。各クラスの保健委員に健康観察シートが配られた後、すぐに解散となった。

 帰りも一人で帰ろうとしたその時、背中に軽い衝撃を感じ、振り返ると紫苑が立っていた。


「ねぇ、なんで置いていくの?」


「とりあえず、場所を変えよう」


 紫苑は不満げな表情を浮かべながらも、仕方なくついてきてくれた。

 俺が向かったのは校舎の屋上だ。どの校舎も屋上への出入りは可能だが、この時間帯はほとんど人が来ることはないだろう。

 理由は単純だ。残り7分ほどでチャイムが鳴り、五時間目の授業が始まる。わざわざ授業直前に屋上へ足を運ぶような物好きは、そういないはずだと踏んだのだ。

 俺たちは屋上に足を踏み入れ、扉を閉めた。


「駿斗の噂、知ってるか?」

 

 急に質問を投げかけられた紫苑は、体がビクッと震えた後、すぐに答えた。


「うん。学年委員の夏菜と付き合っているっていう噂でしょ?」


「そうだ。その噂が広まっている中で、俺と紫苑が廊下で一緒に歩いていたら、きっと同じように誤解されると思ったんだ」


「だから、私と一緒にいるのを避けたと………分かったけど、それ前もって伝えて。嫌われたと思った」


 紫苑は両腕を組み、ドアが付いている壁に背をつけて俺を睨んだ。


「悪かった。次からはちゃんと事前に言う」


「はぁ~。次からは気を付けて」


 ため息をついた紫苑は扉を開けた。


「先に教室に行ってくれ、三分くらいしたら俺も行く」


 俺の話を聞いた瞬間に足を止め、再び俺の方を睨みつけて、ドアを思いっきり閉めた。


「そこまでして、私と付き合っているって勘違いされるのが嫌なの?」


「そうじゃない。ただ、紫苑が迷惑をかけたくないと思っただけだ。俺と付き合っているなんて噂、されても困るだろう」


「なんで?私の好きな人でも知っているの?」


 彼女の予想外の返答に、少し戸惑った。てっきり『当たり前じゃん』的な言葉で返されると思っていた。


「いや、知らん。でも、もし好きな人がいるなら、俺が邪魔になるんじゃないかと思ったんだ。それにいなくても、これから好きな人ができた時に、俺の存在は結局、邪魔になるだけだろう」


「そんなにいろんなこと考えられるのに、大事なことは事前に伝えられないってどういうこと?」


「………何も言い返せん」


「分かった、分かった。じゃあ、これからも委員会の集まりの時は別々ってことね」


「頼む」


 紫苑は、扉を開けて、足音を大きく鳴らしながら階段を降りていった。

 


『教室を見ながら帰るとするか………』

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