外伝 千明 10 決意
あの事件があってから三年が経った。
私と同じ小学校の生徒たちは全員監視を終え、Rとは無関係の一般人と分かった。
しかし、最も怪しかった駿斗だけは未だに、中学に通う生徒共に監視を続けている。
駿斗を怪しいと感じ、監視を始めてからもう少しで四年が経過する。
できる限りの情報は掴んだ。駿斗は一般人。これが四年間の監視と調べ上げた成果だ。
結局のところ、無駄だったと言えるけど、一般人と分かった今なら、堂々とあの時のことを聞くことができる。
あんな衝撃的なことを忘れるわけがないため、今度またごまかすようなことがあればその時は、『拷問をしてでも聞き出す』覚悟はできてる。
ラーメン屋で出会ったときは、自分の心を押さえつけるのに精一杯だった。
今にも気絶させて情報を吐かせたいという欲を必死に抑えていた。
私は幼馴染の金星に告白を手伝ってほしいと嘘をつき、二人きりになる作戦を考えてもらった。
なぜ、こんな回りくどいことをしなければいけないかというと
私が駿斗の次にRとかかわりがありそうな人物が『金星』だと思ったからだ。
もちろん、監視もしたし一般人であることには間違いないと思うのだが、金星には妙なところがある。
それは体育や勉強、交友関係、習い事、全てにおいて普通過ぎるのだ。
あまりにも普通の一般人小学生男子なのに、隙がない。いや、正確には実力で勝てる気しかしないのだが、何か妙なのだ。
………まるで、わざと隙を作っているような感じ………
情報だけを信じるなら間違いなく一般人だ。けれど、私の本能が『危険』だと
そう思わせてくる。
今まで何度も遊びに誘ったり、食事に言ったりして確かめた。図書室や、お泊り会でも、わざと二人っきりの状況を作り、至近距離で様子を伺った。
しかし、何もしてこなかった。
何かしらの反応があってもいいはずなのだが、普通の中学生の反応しかしてこなかった。
『金星』は『一般人』と言ってしまえば楽なのだが、一応手元には置いておきたい。そう考えた。
金星とは幼馴染という近づきやすい言い訳もあるし、それに駿斗と仲がいい。
今回の告白という嘘のきっかけも作りやすかったため、わざわざ遠回りをしたのだ。
嘘でも、これから告白をすると知っている『金星』が指定してきた裏庭に来るわけがない。
場所も時間帯も完璧だ。これで確実に二人きりになることができる。
金星にカラオケを教えて、借りを返しもした。
『まぁ元々、全て自分でできたことだけど。自分の正体を偽るためには、これくらいはしないとね』
後は、林間合宿で駿斗にあの事件について問いただすだけ。
もしかしたら、Rについて何か知ることができるかもしれない。
そして、おばあちゃんを殺した奴の情報を知ることができるかもしれない。
そう考えると、私は誰よりこの林間合宿を楽しみにしていると言える。
………
ーーーーようやくだ。待っていろ、『必ず私の手で殺してやる』ーーーーー
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