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アンダーサイカ -旧南岸線斎珂駅地下街-  作者: 唄うたい
第10章 哩【とおいところ】
33/39

10-1

――ピピピピピ……



ぱちん、いつもの調子で目覚まし時計を止める。

午前7時。いつもと同じ、爽やかな朝の目覚めだった。


「んん~…、よく寝たぁ。」


ひとつ伸びをする。

…本当はもう一回気持ち良いブランケットの中に戻りたいんだけど、今日は潤ちゃんと拓くんと約束があるんだ。


これから図書館に行って夏休みのグループ研究の案を練らないと。

今のままだと、潤ちゃんの苦手な麻里ちゃんチームと同じ、草花の調査になっちゃう。

それは嫌だ。

…かと言って、何か良い案があるわけでもないんだけど。


リビングに出ると、お父さんを送り出すお母さんの姿があった。


「…あぁ、あなたちょっと待って。

悪いんだけど、このゴミを出してきてもらえない?」


「ああ、分かった。」


お母さんは腰をちょっと屈め、雑誌やプリントなどの束を紐で縛り始めた。

私はなんとなくその光景を眺めていたけど…、


「お母さん、そのお祓いのパンフレットも捨てちゃうの?」


理由もいつかも覚えてないけど、お父さんとお母さんが突然貰ってきた寺社のパンフレット。


「ええ。

…そういえば、どうしてこんなもの貰ってきたのかしら?ついこの間まで必要な気がしてたんだけど、忘れちゃったわ。

もしかしたらお祓いするはずだった幽霊がいなくなったのかもね。」


「…ふぅん…。」



「それじゃあ、行ってくる。」


雑誌の束を片手に、お父さんがドアを押し開ける。


「行ってらっしゃい。」


パタパタ…と手を振る私。

いつもならそれでおしまいだ。


でも、


「――………ねえお父さん。

前に私にさ、何かしちゃダメって怒らなかった?」


「え?」


自分でもどうしてこんな質問をしたのか分からなかった。

お父さんは数秒間無言で考え込んで、


「いいや、覚えてないな。」


結局はそんな答えを返した。


「………そう。」


心に少し残る(わだかま)り。

でもその正体なんか知るわけもないから、私はお父さんの答えで自分自身を納得させることにした。


―――なんだろう。なんだか…、


―――何か大切なことを忘れているみたいな、変な感じ……。

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