エピローグ 王子の祝福
エピローグ 王子の祝福
それは快晴の日だった。ニコラはシャアルの屋敷に招かれ
結婚式に参列することになっていた。
アリシアの同僚たちが、結局早く結婚を決めた氷結の賢者について
笑いながら話していた。
「さすが、猛禽類。結局、普通の獣族のカップルと
変わらなかったな」
コナーが笑っていた。
「そりゃぁ、シャアルだもの。逃すわけないだろう?」
レモンドも、その輪に加わっていた。
「きっと作家から、物語にしていいか問い合わせが来るよ」
「俺たちが凍った話は、ぜひ入れてほしいな」
そう言って笑いあっていた。
ニコラは、皆が楽しそうな様子を眺めていた。
自分の友達は、今日はほとんどがアリシアの手伝いに回っている。
自分も手伝いたいと話したのだが、カルロスからも
シャアルからも丁重に断られてしまった。
そんなニコラに、アリシアが1つ頼みごとをした。
自分の髪飾りの1つを、ニコラにつけてほしいと話したのだ。
それなら誰にもみられないし、大丈夫でしょう?というアリシアに
さすがに、シャアルに聞いてみると言ったのだ。
シャアルは笑いながら、私は祭壇の前で誓いをたてるまで
アリシアを見られない決まりだから、お願いしたのですがと言ってきた。
アリシアがドレスに着替え終わり、お化粧もすんだ頃、
ニコラはシャロンに呼ばれて、支度部屋に入った。
鏡の前に座るアリシアは、とても清楚で美しかった。
アリシアの希望で、ベールの下は薄緑の花、濃い緑の葉で飾ることになっていた。
「アリー、綺麗だよ。今日はおめでとう」
「ニコラ、来てくれてありがとう。あなたを待っていたのよ。
この花を私の髪につけて」
ニコラはピンを挿した花を手に取った。そしてマリーが凝りに凝って
ゆった髪にその花を挿した。
「アリー、幸せに。幸せになるんだよ」
「ニコラ、ありがとう。私、あなたを友人に持てて
とても幸せだわ。いつも感謝している。ありがとう」
ニコラは、アリシアのベールをおろしてやった。
式が始まった。デヴォン家は天気が良ければ、大きな木の下に
祭壇を作り、そこで誓い合うことになっていた。
祭壇へ続く道に、ロレーヌとマルコムが大きな花や花びらを
嬉しいそうにまいていく。その後ろにカルロスに連れられて
ゆっくり歩くアリシアは、ベールの下でとても幸せそうだった。
祭壇ではシャアルが待っていた。
アリシアは、愛しい自分の番を見上げた。
シャアルの銀色の髪は、光に照らされて今日も美しかった。
誓いの宣誓書にサインして、2人は夫婦になった。
シャアルはゆっくりとベールをあげ、アリシアを抱き寄せて
誓いのキスをした。
その瞬間、参列者からドッとお祝いの言葉と拍手が沸き起こる。
今度は、皆がお花係になったらしい。花びらのシャワーだった。
ニコラは、幸せな気持ちで見ていた。美しい、心のこもった結婚式だ。
王国に、また新しい家族が増えた。
皆、幸せになりますように。
ニコラはいつもの通り強く願うのだった。




