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森の賢者の優しい恋のお話  作者: テディ
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番外編 現実

 番外編  現実


 コナーは、シャアルとアリシアに領地に泊まりに来ないかと

誘われていた。以前、アリシアの友達に会わせたいと言われていた約束が、

色々あって、のびのびになっていたのだ。


彼らが新婚旅行から帰ってきたら、実現させようと話していて、

やっとその日が訪れた。

アリシアの友人には、何回か会ったことがあった。でもいつでも

大騒ぎの時か忙しい時で、挨拶をする暇も、よく顔を覚える暇もなかった。

休日2日を、ゆっくり皆で過ごそうとなっており、コナーは楽しみにしていた。

メンバーはコナー、ニコラ、フィル、シャロン、ロゼッタだと聞いていた。

シモンは、夜警が入っているので今回は来られないのだ。

ニコラは、父にかなり粘り今回の泊まりの許可をもぎ取ってきた。

フィルが一緒にいることが、条件だったのだ。


朝から影との打ち合わせがあったので、コナーは1番最後に屋敷についた。

シャアルとアリシアに挨拶し、相変わらず幸せそうな2人に、

自分も幸せな気持ちになる。来て良かったと改めて思うのだった。


「皆、庭にいるんだ。そこでロゼッタ殿の新作紅茶を飲むことになっている」

シャアルにそう言われ、庭に案内された。

「遅くなって申し訳ない」

コナーがそう言って、皆に声をかけた瞬間だった。

金色の豊かな巻き毛を持った女性が振り返った。薄い緑の瞳がコナーを捉える。

その瞬間、コナーは動きを止めてしまった。


……なんて綺麗いな……

皆、口々にコナーに話しかけているのに、コナーの耳には届いていなかった。


シャアルとアリシアは、顔を見合わせた。これは、もしかして……。


コナーはふらふらとロゼッタの元に行き、ひざまづいた。

「君がロゼッタ……?」

ロゼッタの手を取り、そう尋ねた。


ロゼッタは驚いて、しばらく固まった後、真っ赤になった。

「はっ……はいっ……」

何?!……一体、何が起きてるの?!

ロゼッタは驚きながらも、自分に本のロマンスと同じことが起きていることを

悟った。まさか、今?!コナーは人族だったはずだ……。


ニコラとシャロン、フィルも顔を見合わせていた。


コナーは一気に話した。まるでこのチャンスを

絶対に逃すまいと思っているかのようだった。

「ロゼッタ、どうか僕を、お側に置いて?」

ロゼッタは、コナーにささやかれて更に赤くなった。

恋愛小説は、ロゼッタのお気に入りだった。自分にも

このようなことが起こればいいと、胸をときめかせていた。

でも……実際に自分の身に起きると……。

恥ずかしい……!!どうしよう……!!恥ずかしい……!!

いや、待て、自分はささやかれるのに憧れていたはず……。

そうは思っても、ときめく前に心臓が早鐘のように鳴っていた。


シャアルが笑いながら、コナーに話しかける。

「コナー、気持ちはわかるがロゼッタ殿が入れてくれる

新作紅茶を逃す気か?」

そう言われたコナーは、とんでもないと言って

ロゼッタに、どうか紅茶を味あわせて欲しいと言った。

「ロゼッタ?茶葉を蒸らす時間は、気にしないのかい?」

コナーに、優しく聞かれてロゼッタはハッと我に返った。

「もっ……、もう飲み頃だと思うわ」

慌ててカップに紅茶を注いでいく。ドキドキしているので

ポットを持つ手が自分の手ではないかのようだった。


コナーは、嬉しそうにカップを受け取り、まずは香りを楽しんだ。

「ああ、いい香り。君のように甘いフルーツの香りがする」

ロゼッタは、以前のアリシアのように

ボンッと音が立ちそうなくらい真っ赤になった。

そしてアリシア達は、コナーのあまりの甘さに固まった。



ニコラが静寂を破る。

「シャアルもすごかったけど、コナーもすごいな……。

人族の一目惚れも、かなりの威力だね……」

シャアルが答えた。

「殿下、私は人前でささやいたりはしませんでした」

フィルが、優秀な年上の義弟に笑った。

「シャアル殿、あまり説得力がないかと……」

シャロンが呟く。

「ダメだ……、私、こんなに甘いの耐えられないかも……。

(つがい)なら耐えられるの……?」

フィルが、腕を組んで答える。

「俺には、わからん」

アリシアが、にこやかに

「大丈夫よ、皆 その甘さが楽しいと思ったり愛おしいと思うようになるわ」

爽やかにすごいことを言ってのけた。

シャアルが満足そうにうなずいた。



皆が気遣い、2人だけの時間をなるべく長く作るようにした。

コナーは2日間、彼の全ての能力を使いロゼッタに愛を捧げた。

そうして2日目、ロゼッタに(つがい)の魔法が起こるのだった。


ニコラは、唖然として眺めていた。コナーの一目惚れは、

獣族より速く実を結んだのだ。


これは、また新作の本が出版されそうだ。

ニコラは、楽しみにしようと思うのだった。

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