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森の賢者の優しい恋のお話  作者: テディ
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第57話 確認

 第57話  確認


 シャアルは、どんな物事でも仕事に関する事は

最後まで自分で1つ秘密を持っている事にしている。切り札というやつだ。

切り札を使わずに済むことの方が多いが、あるに越した事は無い。

大抵の仕事は、切り札は向こうからやってくる。

シャアルは淡々とやらねばならぬことを片付け、待っていれば良いのだ。


今日も影からの報告を、この間のメンバーで聞いていた。

コナーが珍しく、執拗に疑問を投げかけていた。

結局、()()()()()()黒幕はハワード伯爵で間違いなかった。

彼は、なぜかとても調子に乗っていた。

まるで証拠を集めてくれと言わんばかりだ。

羽振りもよく、領地も良く見回り、経済を回すための努力もしている。

ただ裏では、怪しげな薬草を、ひと財産になる程の値段で売っている。

事を初めたものは、野生の薬草を使っていたのだろう。

まだ効果の加減も知らなかったのだろう。

100年前は急死している者が何人かいた。

なぜ、彼はそんな事に手を染めたのか。

コナーは影へ、疑問を投げかけていた。

「だってね、おかしくないですか?騎士団では問題があったようだが、

領地はきちんと治められる。なぜ急にそんな薬草で一儲けしようと思ったのか?

多少、彼が愚鈍だとしても、そんな危ない橋を渡るほど窮地にも陥っていない」

「コナー様、そこは私に問われても、何とも答えようもなく……」


集会のリーダーはハワード家にかなりの借財があった。

手伝えば借財を無しにすると言われているらしい。

薬草を栽培しているものは、行き倒れになったところを

助けてやったとかで後ろ暗い所もある者で、恩を感じているとなっていた。


シャアルは、らちがあかないと影に念を押した。

「ハワード伯爵の後ろに誰か、知略にたけた者はいないのだな?」

「今の所、把握できておりません」

「陛下は何と?」

「引き続き、何名かは探索に残すようにと。他のメンバーは

別の件に戻るようにとおしゃっておいでです」


ニコラは質問を引き継いだ。

「君に違和感はないの?」

影は首をかしげる。

「殿下、違和感と申しますと?」

「君たちは、日常にない部分を探さないといけないだろう?

その時に役に立つのは感性だ。その感性の部分に違和感はないのかい?」

影は、しばらく黙っていたが首を振った。

「いいえ、ございません」


ニコラは、ジッと影をみて答えた。

「分かった。君の感性を信じよう」

影は、

「では、よろしくお願いいたします」

と、父に報告があるとかで、部屋を下がった。



皆、しばらく無言だった。

父からは、報告に来ている影は、これで別の件に回すと聞いていた。

ニコラは、静かに話し出した。

「これで、決定だね。証拠もいくつか上がってきている。

いつでも動ける準備をしておいて。コナー、人族の安全は

完全に確保できそう?」

「何人か、特徴に合わせて護衛を入れ替えていただいたので

まず問題ないかと思います」

「シャアルは、夜会の方の準備を」

「レモンドは、その他の手配を」

「フィルは僕の護衛隊との擦り合わせを」

全員が、うなずいた。

「承知しました、殿下」


ニコラはしばらく黙っていた。でも何かを振り払うかのように

笑顔を見せる。

「シャアル、アリーのドレスは何色にするの?」

シャアルは、少し微笑んで答えた。

「それが、私はアリーにドレスを贈れなくなりました」

「それはまたどうして?」

「アリーが、初めての夜会なのでご両親に選んでもらいたいと……」

ニコラは、笑った。

「なるほどね、社交界デビューだからね。でも残念だったね」

そう言うと、レモンドが笑って答えた。

「殿下、ご心配なく。この男の事です、他のものを身につけさせるでしょう。

そうだな、シャアル?」

「当然だ。婚約式の時の指輪をつけている。それからドレスに合わせる宝石類は

私から贈ることになっている」

ニコラは笑って言った。

「何だ、やっぱりそうか」

コナーがそう言えばと口を開いた。

「殿下、殿下もデビューのお歳ですね?」

それを聞いたニコラがうなだれた。

「そうなんだよ……。僕はもっと後が良かったのに……」

「まあまあ、殿下。今の内くらい気楽に踊っても、楽しいですよ」

「母上が、山のようなリストを持ってきているんだ。

この上、女性の名前や、背景なんて覚えられないよ……」

そんなニコラに、皆 微笑んだ。

「殿下、殿下が色々な女性とお知り合いになると言うことは、

フィル殿が(つがい)を見つけることに繋がりますので」

レモンドがそうアドバイスすると、ニコラはパッと顔をほころばせた。

「そうだ、そうだね!!フィル、僕 頑張るよ!!」

そんなニコラにフィルはゲンナリした顔をした。

「護衛の最中に(つがい)を見つけたら、仕事にならんだろ。

頼むからやめてくれ」

「大丈夫だよ、シャアルは色々掛け持ちできたもの」

「俺は(つがい)を見つけた時に、働きたくない」

腕を組んで、鼻息荒いフィルに、皆で大笑いした。


ニコラは、やはり思うのだ。皆が幸せになりますように。

王子の願いは変わる事は、ありえないのだった。

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