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森の賢者の優しい恋のお話  作者: テディ
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第46話 陽の光

  第46話  陽の光


 お互いの気持ちを確かめ合った2人は、まずアリシアの屋敷に

いくことにした。後日、改めて挨拶に行くにしても

大切にアリシアを育てた両親に、1番に伝えるべきだと

シャアルが言うのだ。


シャアルは、カルロスが在宅しているか確認をとる間、

アリシアに話しておかなければならないことがあった。


店を出て、街中をゆっくり歩く。

今日は、自分の心のように晴れやかな天気だった。

広場の噴水の前のベンチに座り、アリシアに説明し出した。


「アリー、先日、君の家族と晩餐をいただいた後、

私とご両親で話していたことがあるんだ」

「サロンでお茶を召し上がった時の事?」

いまだに手を愛でられることに慣れないアリシアが聞いた。

「そうだ。その日の事だ」

「何か、大切なお話をなさったの?」

「ご両親との話では、もしアリーが僕に気持ちがあると

話してくれた時、その時は婚約を正式に進めましょうと

君のご両親と話したんだ。アリーはどう思う?」

アリシアは、目を丸くして固まった。

やっと自分の気持ちを打ち明けられたと思ったら、

両親とシャアルは、その先まで相談していたらしい。


そんな様子のアリシアを見て、シャアルは続けた。

「君が、まだ早いと思うなら別にしなくても良いんだ。

ただ、君のご両親が心配すると思うから

その時は、ご両親によく話してみてくれないか?」

シャアルはグッと自分願望を押し込めて、そう言った。

ここまで我慢したのだ。

こんなに早くアリシアの気持ちが知れたのだから、

焦ってアリシアがよく考えられぬまま事を進めたくなかった。

自分の願望を言ってしまえば、明日婚約、明後日結婚して

屋敷に連れて帰りたいのだ。

この願望、さすがに相手が獣族でも叶わないだろう。

だったら、アリシアに全て合わせてやりたかったのだ。


アリシアは、しばらく考えた。両親はなぜ、婚約を許すのだろう?

伝えたばかりだが、自分はこの先ずっとシャアルと一緒に居たい。

それは確かに、両親のような関係を望んでいることになる。

「シャアル様、獣族の風習ではすぐに婚約するものなの?」

「そうだな、お互いの気持ちが分かれば婚約という形をとる。

なぜなら片時も離れていたくないからだろうし、

自分の気持ちが本物だと示すことにもなるからね。

でも、アリーと私は違う。だから同じようにしなくても良いんだよ」

シャアルは自分でリリアーナに提案したのに、

真反対の事をアリシアに問いかけていた。

我ながら、アリーには甘いな。

そう思って、ふと笑った。


アリシアはそんなシャアルを見て、別のことを考えていた。

シャアル様、楽しそう……っと、いけない。

ちゃんと考えなくちゃ。

アリシアは疑問を口に出した。

「私の両親は、なぜお付き合いではなく婚約と

話したのかしら?」

「君の安全と立場、そして評判を気になさったのだと思う。

それはどこの家庭でも年頃の娘がいれば、気になるものだよ」

「お付き合いだと、評判が悪くなるの?」

「その期間が長くなればね。本当に真剣に考えているのかと

ウワサになる可能性はある。みんな人族とのお付き合いが

どれほど楽しいか知らないからね」

わざと軽い雰囲気になるように話してくれたシャアルに、

アリシアは笑ってしまった。

やっぱりシャアル様は優しい。

そう思ったら、何だか悩んでいることがバカらしくなった。

「シャアル様、私も婚約するので構わないわ。

って言ってもどうやって婚約するのか知らないけど……」

「アリー?もし婚約しても、気持ちが変わったら

ちゃんと私に伝えて」


その言葉を聞いて、アリシアは愕然とした。

それはシャアルがアリシアを気遣って言ったことは分かる。

でも、自分が真剣じゃないように言われたみたいで

とても悲しかった。思わず涙が一粒、こぼれ落ちた。


シャアルは様子の変わったアリシアに慌てた。

「アリー?」

アリシアは、自分はシャアルのそばに一緒に居たいのだからと

気持ちを奮い立たせた。

「シャアル様、私のことを思って言ってくださったのは分かってる。

でも私の気持ちを信じてもらえないみたいで、とても悲しいわ」

シャアルはそれを聞いて、なお慌て出した。

「アリー、君の母上にも言われているんだ。アリーの気持ちが

どう進むか分からない。それでも良いのかと。

私はね、アリーが幸せならば、それで良いんだ」

「シャアル様のお気持ちは分かったわ。分かってる……。

私ね、シャアル様が自分の(つがい)だって

言ってくれた時から、決めていることがあったの。

もちろんこの先もそれを守るわ。

シャアル様に誠実でいようって決めていたの。

だからウソはつかない。約束するから、

もうそんなことは言わないで欲しいの」

いつになくアリシアは、饒舌にきっぱりと話し出した。

「私、簡単に決めたんじゃないわ。自分の気持ちに気が付いたから

待たせるのが申し訳なくて話したんじゃない。

私が、シャアル様に伝えたくて話したの。

だから、私はシャアル様と、両親のようになりたいし

そう思っているから話したのよ。

だから、シャアル様に私の気持ちを分かって欲しいの」


今度はシャアルが愕然とするのだった。不思議なことに

シャアルは、愕然とした後、猛烈に喜び出した。

「アリー、……アリー、嬉しいよ。

君は、やっぱり素晴らしい人だ。私は初めて君に怒られたね。

ああ、嬉しいよ。君が私に真剣に向き合ってくれていることが

よく分かったよ。そうだね、私も約束しよう。

君の気持ちを疑わない。そう約束しよう」

シャアルは、アリシアを優しく抱き寄せた。


アリシアは、自分の気持ちが伝わったのか、伝わってないのか

さっぱり分からなかった。でもシャアルが言ったことを考えると。

伝わってはいるらしい。何だか変な感じがする。

私、さっきまで 悲しかったと思うんだけど……。

今の話は、喜ぶところだったっけ……?

シャアルが父に似ているような感じがして、とても不思議だった。


伝わったんなら、良かったのよね?

アリシアは、たぶん……と思いながらシャアルの腕の中で

考えるのだった。

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