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森の賢者の優しい恋のお話  作者: テディ
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第34話 古文書

 第34話  古文書


 いつも通り仕事をすすめた日の午後、

お茶休憩の時間にアリシアは同僚皆に質問をはじめた。

「この間、友達に聞かれてそう言えばって思ったんだけど、

人族の残した古文書ってあるのかしら?」

みんな、それぞれ顔を見合わせて、はて?と首を傾げた。

それを見たコナーが、休憩を一緒に取ろうと言ってきた。

以前、視力を保つためにアリシアと交代で

休憩に入ることになっていたのだ。

「今日は、僕は以前の休憩時間でいいよ。

面白い話だし参加したいなぁ」

そう言ったので、皆でゆっくりすることにした。

ルベンが首をひねって話し出す。

「そう言えば、人族が書き残した文献は見てないな」

マチューもウンウンとうなずく。

「メキディスは見たことあるのか?」

「ここの仕事では、見たことはないな。コナーは?」

「僕も見たことがないなぁ。でもあるって聞いたことはあるよ」

全員が、ほんとか?!と色めき立つ。

「うん、人族が人族のために書いたものもあるし、

いつものように仕事や、市政のことについてのもあるって」

ルベンはますます首をひねった。

「なんで、一回も見たことがないんだ?」

コナーは確か……と記憶を掘り起こすように話し始めた。

「時代がそんなに古くないからと、僕が入るまで

この部門に人族が居なかったからって聞いた気がするよ」

それを聞いたアリシアは、嬉しそうに話した。

「その古文書は今どこにあるのかしら?」

「そう言えば、どこに保管してあるんだろうね。王宮内なのかな?」

「ニコラか宰相閣下に申し出れば、見せていただけるのかしら?

もちろん仕事以外の時間に読むわ」


古文書の部門は、責任者がいなかった。それぞれが研究者の

扱いになり、上下は作らなかったのだ。

ただ管理する者が必要なので、宰相に許可をとるか、

王族に許可をもらうことになっている。


コナーとルベンは、う〜んと悩んでいた。

難しいのかしら……?アリシアがそう思っていると

マチューが笑って話し出した。

「物は試しって言うだろ?やってみれば?

ダメなら、また機会をねらえば良いじゃないか」

ルベンも、うなずいた。

「そうだな、別に研究に使っていない資料だ。

そう難しくないかもしれんしな」

コナーがアリシアに、尋ねた。

「アリシア、なぜその文献を見てみたくなったの?」

「一番は……好奇心」

正直に答えたアリシアに、皆は笑い出してしまった。

「そりゃあ、許可が降りるかな?もっともらしい理由を

考えようぜ。そうだな、例えば人族の風習についてとか」

ルベンはまだ笑っている。

「アリシア、ニコラ殿下には見抜かれると思うから、

返って本心を話した方がいいかもしれんぞ?」

皆もハタと思い返し、それもそうかも?となった。

結局、アリシアは終業後に

ニコラに正直に相談いくことにした。


 アリシアが終業後に訪れた時、ニコラはお茶を飲んでいた。

ナラタナ王国は、多くの国民がお茶を飲む習慣がある。

紅茶、薬草茶、豆茶、なんでもお茶にしていた。


「ニコラ、忙しい?それなら手短にするわ」

そんなアリシアにニコラは笑って言った。

「アリー、やめてよ。君が来てくれたから

仕事を終えられるのに」

アリシアも笑って、返した。

「そう?じゃあ、少しは役に立ったかしら?」

そう言ったものの、この後にも仕事はあるのだろうなと

アリシアは思う。ニコラは日に日に、仕事の幅を広げているのだ。

「あなた、無理はしていないの?いくら優秀だからって

仕事がありすぎるように見えるけど?」

アリシアは少し顔をしかめて聞いた。

「う〜ん、まだそんなに中枢に関わってはいないからね。

父上の雑用係みたいなものだ」

ニコラは肩をすくめて笑った。

「ところでアリー、古文書について聞きたいって?」

「そうなのよ。人族の残した古文書を読んでみたいの。

もちろん仕事時間以外に読むわ。どうかしら?」

ニコラは、フッと笑顔になり聞き返した。

「仕事時間以外に読むの?どうしたの?」

アリシアは、少し照れながら

「うん。……正直に言うわ。ルベン達にもそう勧められたし……。

この間、出かけた時にシャロンに人族の残した古文書はないの?って

聞かれたの。そう言えば見たことが無いと思って、部署で聞いてみたのよ。

そしたらコナーがあるって聞いたことはあるんですって。

あるなら、読んでみたいの。でも……、ごめん、

これは私個人の好奇心にしか過ぎないの」

ニコラは優しく微笑んだ。

「正直に言ってくれて、良かったよ。

人族の残した古文書はあるんだ。ただ、今は見せられる時期じゃなくてね。

もう少ししたら君とコナーに頼む予定だったんだよ。

だから、頼める時になるまで待ってもらえるかい?」

アリシアは顔を輝かせた。

「もちろんよ!!やっぱりあるのね。きちんと待てるわ」


ニコラはアリシアから、この間出かけたレストランや、

プレゼントを購入した文具店の話を聞きたがった。

レストランはともかく、文具店は行ってみたいな……。

しかめっ面したフィルの顔を思い浮かべながら、

どうやってお忍びで行くか、作戦を練るのだった。

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