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こんふぇす

おれさ、紗絵さえちゃんに告白こくはくするなんだよ。こころとものおまえ見守みまもってほしいんだ……」


なんでもこの悪友あくゆう学年がくねんトップクラスの美少女びしょうじょ告白こくはくしようとしているという。


この春己はるきというおとこについてだが、クラスのムードメーカーで人懐ひとなつこい性格せいかくをしている。


ゆえにクラスのみんなからかれるあいされキャラである。


ルックスもあながちわるくはない。


ただ、致命的ちめいてき欠点けってんがある。


三枚目さんまいめのイメージがつよすぎるのである。


面白おもしろいけど恋愛対象れんあいたいしょうにならない男子だんし。そんな評価ひょうかである。


だからいつきとしてはこの告白こくはくについてはおもいとおもわざるをなかったのだ。


かといってたのみを無下むげにするわけにもかず、結局けっきょく屋上おくじょうとびらうしろにかくれてその様子ようす見守みまもることにした。


(はぁ……なんでおれがこんなこと……)


枝垂高校しだれこうこうはド田舎いなかなので洒落しゃれたロケーションなどはなく、告白こくはく屋上おくじょう体育館裏たいいくかんうらである。


ロマンティックさの欠片かけらもなにもあったもんではない。


すると、春己はるきこえをかけはじめた。


「お、はじまる……」


いつきがボソリとこえしたつぎ瞬間しゅんかん


鮮血せんけつのようないろをしたぶりなつきのようなものがジリジリとそらのぼってきた。


それは太陽たいようおおうようにしてあかるい陽光ようこうさえぎった。


そしてあたりは一面いちめん薄暗うすぐらくなってしまった。


あまりの異常事態いじょうじたいいつきみだした。


そしておもわず屋上おくじょうす。


突如とつじょ正体不明しょうたいふめい天体てんたいらしきものが出現しゅつげんしたのだ。無理むりもない。


「な、なんだこれ……」


しばらくしてわれにかえったいつき春己はるきのほうをた。


すると、告白こくはくされた紗絵さえ春己はるきにもたれて、きついているではないか。


しかもかなりガッツリと抱擁ほうようしている。


いつき二重にじゅうおどろいて白黒しろくろさせた。


成功せいこうしたのか?……にしてもきつくのがはやくないか?」


一方いっぽう春己はるきかおあからめてずかしかっていた。


「そ、そんなぁ。いきなりだなんて。紗絵さえちゃあん。おれうれしいけどさぁ……」


紗絵さえにぶいうめきごえを上げた。


「あぁ……あ、あ、あァ!! ゴリッ!! ゴリッ!!」


なにかをくだくような異音いおんこえる。


一気いっき春己はるきいた。


「ギリッ……ギリッ……ブチィッ!!」


なんと紗絵さえ春己はるき首筋くびすじらいついているではないか。


ちょっとむというレベルではない。あきらかにいちぎっている。


人間にんげんちからはかなりつよいとはあたまではわかっていても、これはその想像そうぞうはるうえをいった。


まるで骨付ほねつきチキンをむさぼるように紗絵さえ春己はるきくびにくみちぎった。


少年しょうねんくろ制服せいふくにじてドスぐろまっていく。


そしてふと血管けっかんやぶられると同時どうじ友人ゆうじんから鮮血せんけつした。


にもかかわらず、少女しょうじょ一心不乱いっしんふらん少年しょうねんらいつづけている。


よっぽど美味おいしいのかと思えるくらいに。


春己はるきにはさけ時間じかんさえあたえられなかった。


「あ……あ″……あ″、ヒューッ、コヒューッ……」


かれなにおうとしているらしかったが、喉笛のどぶえをやられていて空気くうきとおおとしからなかった。


「い……ヒューッ……い……カヒューッ……」


いつき恐怖きょうふあしがすくみ、うごけなくなってしまった。


紗絵さえ春己はるきくび半分はんぶんほどいちぎると、その頭部とうぶはらって首無し死体くびなししたい胴体どうたいごしにこちらを凝視ぎょうししてきた。


げ出されたこうべ無惨むざんにもにもゴロゴロところがる。


「ひッ!!」


さっきまできていた人間にんげんれのてだ。


美少女びしょうじょかおかえと、肉片にくへんにまみれてミートソースにあたまをつっこんだようになっていた。


彼女かのじょ無表情むひょうじょうだったのだが、次第しだいににこやかになり、そしてニタリニタリと満面まんめんみをかべた。


「はぁるきくぅん、″あじ″はわるくなかったよ。″あじ″は」


いつき心臓しんぞうるほどおどろいた。


しゃべった!?」


偏見へんけんではあるのだが、こののクリーチャーは人語じんごかいさないと勝手かっておもっていたからだ。


そうこうしているうちに紗絵さえ犠牲者ぎせいしゃ胴体どうたいてるようにばした。


「ビターーーンッ!!」


もはやそれはただの肉塊にくかいでしかなかった。


「おーい。つぎはおーまーえーだーよォ〜〜〜?」


相手あいてあきらかに異常いじょう怪力かいりきっていた。


とてもではないが、正面しょうめんからやりあっててはしないだろう。


ここはげるしか無かった。


ふるえるあしでなんとかがっていつき屋上おくじょう階段かいだんへともどった。


そしていそいで鉄製てつせいとびらじ、背中せなかでもたれかかり体重たいじゅうあずけた。


少年しょうねんくろがくランの首元くびもとあらっぽくゆるめた。


いくらなんでもこれだけ分厚ぶあつ金属板きんぞくばんを、そう簡単かんたんやぶれるわけがない。


するとあたまよこ鉄板てっぱんがものすごいいきおいでボコリとがった。


どうやらこうがわから素手すでなぐっているようだった。


少女しょうじょだが、あの怪力かいりきでは屈強くっきょう男性だんせいでもころされてしまうだろう。


となるとここはもう三十六計さんじゅうろっけいげるにしかずだ。


階段かいだんりるようにくだり、いつきは3年生さんねんせい廊下ろうかた。


すぐにいきころしておくほうると何人なんにんか、人影ひとかげがウロウロしている。


だが、あきらかに挙動きょどうがおかしい。


おな場所ばしょをグルグルまわっていたり、かべをひっかいたりしている。


時折ときおり校舎こうしゃのそここから不気味ぶきみわらごえさけこえが聞こえる。


″ああなった″のは紗絵さえだけだと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。


この調子ちょうしではあのバケモノ、いや、バケモノになった生徒せいとたちが校内こうない徘徊はいかいしているのは間違まちがいなかった。


しかし、どうしたものか。まともに相手あいてをしていたらいのちがいくつあってもりない。


いつきあたまをふりしぼってもいいあんてこない。


万事休ばんじきゅうすである。


そんなとき背後はいごからだれかかこえをかけてきた。


熊谷君くまがいくん!! こっち!! みんなこっちにいるよ!! はやく!!」


手招てまねきをしてきたのはクラス委員いいん三沢みさわ真子まこだ。


メガネをかけた利発りはつそうな女子じょしである。


いつきのこりの存在そんざいにホッとした。


それにすがって三沢みさわあとをついてった。 


すぐにむようにしていつき自分じぶんのクラスに入った。


部屋へやに入ると背後はいご三沢みさわがカギをかけた。


「……ガチャリ」


すぐにいやかんじがして少年しょうねん身構みがまえた。


においとなにかがくさったようないやにおいががツーンとはなをつく。


ぐるりと部屋内へやない見渡みわたすと、そこには″やつら″が3人ほどゆらゆらとっていた。


三沢みさわ!! どういうことだ!!」


くとここに案内あんないしてきた少女しょうじょ不気味ぶきみにニッタリとみをかべていた。


「どうって……みんないるでしょ? クラスのみんながさぁ……」


部屋へやすみにくだまりはクラスメイトのものだとでもいうのだろうか。


彼女かのじょはこうやって人間にんげんのふりをして″獲物えもの″をせているのだ。


わなである。こいつらはおもいのほか、ずるがしこかった。


呆然ぼうぜんとしているといつきは、教室きょうしつゆかたたきつけられた。


「ぐうえぇッッ!!」


するとバケモノたちがワラワラとってきた。


そのかおはグチャグチャで、もはや男女だんじょ区別くべつもつかない。


らうのがたのしみだとばかりにわせてガチガチとらしている。


「こ……こんなところでわるのか……?」


人間にんげんときはあっさりしたもんだといつきおもった。


しかし、厭世感えんせいかんにまみれたものざまとしては妥当だとうともいえる。


先程さきほどげがクリーンヒットしたせいでいきができない。


そうこうしていると段々(だんだん)と意識いしきとおくなっていった。


ああ、今度こんどこそ、おしまいだ。


いつきはゆっくりひとみを閉じた。

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