第42話 慣らし保育
4月の2週目の入園式を終えると、慣らし保育がありぼちぼち颯太は幼稚園に通い出した。
「俺も行ける時は行かせて、用意も覚えたいし」
と蒼くんは言ってくれるのでありがたい。
颯太がそばにいないのは不思議な気分だった。1ヶ月は制服ではなく体操服での登園だったが、大きなリュックを背負い、ゆらゆらと揺れながら園の玄関から入って行き先生と一緒に姿を消してしまう。
緒采と一緒に見送る。
「にいに、あいあい」
「いってきます」
颯太はどんどん頼もしくなっていく。車に乗せて--しかも高級車に--通園しているひとは多かったけどわたしたちは家も近いので歩いて来ている。
「よろしくお願いします」
と先生方に声をかけて、わたしは緒采と来た道を歩く。それから公園に行って、ちょっと遊んでから買い物に行って家に帰ったらあっという間に颯太の迎えの時間になっていたので驚いた。
再び、緒采を連れて園に戻る。迎えの場所に行くと、名前を呼ばれて歩いてくる。
「おかーさん、楽しかったよ」
「ほんまあ、よかった」
「颯太くん、しっかりしてますね。全く泣くこともなくがんばってましたよ」
担任の先生からも声をかけてもらる。
連れて来た時よりも、成長を感じるぐらいだった。子供ってすごいな、と思いながら手を繋いで3人で帰る。
「おへんじもできたよ」
園に来ていた父兄の方々は、なんていうかみんなお金持ちそうだし、品が良さそうだった。化粧をして、身なりを整えてから来ている。
そりゃ入学金も月々のお金も高いしなあって思いながら、颯太の話を聞いた。
わたしみたいにすっぴんで、そこそこの服のひとなんかおらんねやろなーって思う。まあ、ママ友って大変そうやし、適度に距離あるほうが助かるから少し浮いてるぐらいでいいっかって開き直る。
颯太はすぐに園に慣れて行き、迎えに行くと色々と教えてくれた。お友達の話もするから、なんか驚いた。だって……つい最近まで赤ちゃんで話すこともできなかったのに、成長したなって思う。
そして同時に、この成長をそばで見守れるのもあと少しかもしれない、と思う。
2人がお昼寝している間に、わたしは類斗と電話で話をした。
「愛してるよ」とか「早く会いたいね」とか、ほんとにその程度の話しかしてへんのに嬉しくなる自分がいる。
慣らし保育も終わり、いよいよ本格的に通園が始まった。午前中に仕事がない時には蒼くんも送ってくれたり、準備もしてくれるし、家事もしてくれるから助かる。
緒采との時間が増えていった。颯太よりも活発でできることもどんどん増えるから毎日驚く。おしゃべりも女の子だからか早い気がする。




