第40話 最後の
それから店を移動して、串カツ屋に行ったあと解散した。いつものように、奏也が去り文香も家に帰り、わたしと類斗が残った。
手を繋いで並んで夜の街を歩く。取り壊し予定の小学校の辺りを歩く。それから類斗とまた中学校に行って、底がないみたいに愛し合った。
「あっ……あっ……」
「ゆり……大好き……」
真っ暗な中過ごす教室は、現実からはかなり距離があった。宇宙にいるみたいな不思議な感覚だった。もしここが宇宙なら、法律なんか存在しなくて、ただただ類斗と一緒に過ごせるのだろうか? 何者でもない、ただのひととして。生きるだけの行為をして。
「ああ……イク……」
少しだけ顔を歪ませながら、類斗が果てる。それからすぐに後ろからまた入れられて、わたしは喘ぎ続ける。そして正常位でまた果てた類斗としばらく抱きしめ合って過ごす。
「俺、本気やから」
「うん……わたしも」
それから、窓の外に雨が当たる音がして、あっという間に雨足が強まっていった。わたしたちは傘を持っていなかったので、しばらくくっついたまま何も話さずにそばにいた。
そして、衣服を身につけて、座って外を眺めてから校舎を出た。
冷たそうな、しとしととして雨が降っていた。わたしたちはずぶ濡れのまま歩く。
「やばいなー」
「ゆりーごめんな」
「類斗のせいちゃうやん」
「そうやけど、もっと早く帰らせたらよかったわ」
「大丈夫、大丈夫。帰ってすぐお風呂入るし」
「明日は旦那さん迎えに来るんやっけ?」
「うん……」
「よかったよかった、家まで送ってもらえたら安心やわ。ふたりも連れては大変やろ」
この話題は話せば話すほど、類斗を傷つける気がしたから、わたしはなにも言えなかった。
「だけど、ここどうしても今日は来たくて。まあえっちなことしたかったのが1番の理由なんやけど、実は取り壊しの日が決まって、ここに家が何軒も建つみたいやねんなあ」
「ここに?」
「スーパーもこっち側に。嘘みたいやろ」
「そうなんや……どんどん変わるなあ」
「だから最後に、どうしてもここでゆりともう1回えっちなことしたくて」
公園も学校も、思い出の場所がどんどん壊されて別の形に変わってしまう。寂しい気持ちでいっぱいやけど、でもわたしが何を言っても決まってることやしって変に冷静やった。
「類斗」
「思い出の場所がなくなっても、変わらへんで。わたしの気持ちは」
「うれし」
そんな話をしてたら、わたしの家の近くについていた。わたしが中に入るまで類斗は見届けてくれた。そして、踵を返して、アパートに向かって行った。




