第31話 眩しい
わたしは予定日よりも1週間ほど早く、元気な女の子を出産した。蒼くんも立ち会って手を握ってくれたおかげで本当に心強かった。だけど、同時に類斗の顔が浮かぶ。類斗がいてくれたらなって。
マンションに戻ると、お母さんが来てくれていた。
「やん、小さいなあ……蒼くんに似てるわ」
おくるみに包まれた赤ちゃんを、大事そうに抱っこしてくれる。颯太が不思議そうに赤ちゃんを見ていた。
「お兄ちゃんやで」
蒼くんが颯太に声をかける。
それから蒼くんは仕事に出かける前に出生届を区役所に届けに行ってくれた。
名前は「緒采」に決まった。
颯太よりも少し小さく生まれたけれど、順調にすくすく育ってくれた。ふたりの育児は大変やったけど、お母さんが2ヶ月ほど滞在してくれたのですごく助かった。
「今日もまた卵焦がしちゃってさ」
「また?」
類斗との昼と夜の電話は癒される。類斗は仕事もサッカーもかなりがんばっているようだ。
早く会いたいけど、類斗もがんばっている。ここはわたしも踏ん張らないと、と思いながら洗濯物を干す。わたし自身の体も順調に回復していて、たまに外に買い物にも行けるようになっていた。
颯太もぐんぐん成長する。緒采も成長するのが早い。2番目で心の余裕もあるからだろうか、可愛さがやばい。だけど、類斗には言えない。
お母さんが帰るタイミングに合わせて、わたしと子供たちは一緒に帰ることになった。なんてったって、蒼くんがツアーやフェスへの出演でほとんど家にいなくなるからだった。
ということは……。
「実はさ、来週地元帰るねん」
「まじ?」
「うん、蒼くんが仕事忙しいから」
「よっしゃ。とにかくちょっとでも会おう」
夜にみんなが寝てからわたしは類斗と電話をした。類斗も嬉しそうにしてくれる。にやける。類斗に会えるってだけで。
それだけで、わたしは家事も育児も捗る。
緒采はまだまだ夜中にも起きるけれど、少しずつ授乳の間隔もあくようになってきたから助かる。なによりもいっつもおとなしいから助かる。女の子だからかもしれない。颯太よりも小さな声で泣く緒采が可愛くて仕方ない。
颯太はおむつを持ってくるのを手伝ってくれたり、寝かせる時にはトントンしてくれたり本当に優しい。だけどその分我慢もさせているような気がして、わたしは颯太とふたりで出かけることを心がけている。
蒼くん、わたし、颯太でもお出かけをした。公園でおにぎりを食べるだけで颯太は嬉しそうだ。蒼くんは疲れているはずやのに、思いっきり颯太と遊んでくれる。ふたりが本当に眩しい。




